言霊と美しい国 2007年06月30日 思索 「侘びと寂び」、「清めの思想」のエントリーで、日本人の美意識が環境を守ると書いた。 また、「六道輪廻と経済活動 再考 ①~⑤」のエントリーで、日本の伝統は国を天国に押し上げる力にもなるとも書いた。 ここまで考えてから、よもやと思って、安部首相の「美しい国へ」を読んだ。 不思議なことに、本文中に「美しい国」という記述はどこにも見当たらなかった。 (単に見落としているだ…続きを読む
孤独のアメリカ 2007年06月29日 時事 昨日のエントリーでも触れたけれど、慰安婦決議案の修正条項の中での「日米同盟がアジア太平洋地域に占める重要性の確認」という点に注目している。歴史修正主義は許されないというと同時に日本にヘルプを求めているのではないのかとふと思った。 超大国ではあるが、中東や南米、世界の至る所で恨みを買っているアメリカ。小泉前首相がブッシュ大統領との最初の首脳会談(二〇〇一年六月)で、有名になったハイヌーン外交…続きを読む
慰安婦決議案と赦しの力 2007年06月28日 時事 とうとう、慰安婦決議案が米下院外交委で可決されたようだ。ただ、マイク・ホンダ議員の案から修正された。修正案の中に 「(1)日米同盟がアジア太平洋地域に占める重要性の確認」 が入っている。 要は日米同盟を大事に思うのであれば、戦前の日本が悪の権化であり、それをアメリカに開放してもらったと認めろ。歴史修正主義は許されないということ。 これを切っ掛けに真実を明らかにすべき、正々堂々と反論せよ…続きを読む
日本の生き筋と地獄の解消 (六道輪廻と経済活動 再考 最終回) 2007年06月27日 思索 六道輪廻と経済活動 再考 ④ の続きのエントリーです。 今回で「六道輪廻と経済活動 再考」は終わりです。 ○ 日本の生き筋と地獄の解消 世界への日本の商品や援助のあり方は、他の国の地獄を通過する手助けとなるものを目指すべき。日本の生き筋はここにある。 たとえば、餓鬼道へ売る商品を考えたとき、ただの食料は、餓鬼道の世界内で消費・維持するためのものであって、通過を手助けするものじ…続きを読む
六道世界のあり方 (六道輪廻と経済活動 再考 その4) 2007年06月26日 思索 六道輪廻と経済活動 再考 ③ の続きのエントリーです。 ○ 六道世界のあり方 六道世界の住民はおのおのの住む世界を通過するにしたがって、求める経済行為が異なる。その世界を通過すると次の世界の経済行為が始まる。 地獄道の住人は、生命の安全が確保されて始めて、水と食料を求める。餓鬼道の住人は、水と食料が確保されてから、より良い生活を求める。畜生道の住人は、最低限の生活が保障されてか…続きを読む
伝統の値段 (六道輪廻と経済活動 再考 その3) 2007年06月25日 思索 六道輪廻と経済活動 再考 ② の続きのエントリーです。 ○伝統の値段 畜生道・修羅道を通過することは実に大変。住民のモラルが対象になるので、教育の普及、法治の徹底を行わなけいといけない。時間も金も手間も掛かる。途上国と先進国の間にある畜生道・修羅道の壁は、とても高かったりする。 日本の敗戦後の歩みは、地獄道・餓鬼道の世界になった国土からのやり直しだったにも関わらず、わずか40~…続きを読む
天国と地獄の壁 (六道輪廻と経済活動 再考 その2) 2007年06月24日 思索 六道輪廻と経済活動 再考 ① の続きのエントリーです。 ○ 天国と地獄の壁 六道世界を通り抜けるときには、おのおのの世界ごとに必要な通過コストが発生する。 地獄道を通過するためには、住民の生命の安全を保障しなくてはならないから、治安維持機構と軍の保持コストが発生する。 餓鬼道を通過するためには、住民を飢えさせないために、水と食料の安定供給装置として、各種ライフラインと資源…続きを読む
六道と国の輪廻 (六道輪廻と経済活動 再考 その1) 2007年06月23日 思索 今日から、5回に分けて、「六道輪廻と経済活動 再考」をエントリーします。 ○六道と国の輪廻 仏教思想に六道輪廻というものがある。この世に生を受けた迷いのある生命は死後、生前の罪により、地獄道(じごくどう)、餓鬼道(がきどう)、畜生道(ちくしょうどう)、修羅道(しゅらどう)、人間道(にんげんどう)、天道(てんどう)の六つの世界のいずれかに転生し、これら六道で生死を繰り返すと言う。 …続きを読む
派遣社員の構造 2007年06月22日 時事 ビジネス 派遣社員が問題になってる。ワーキングプアの温床だと。 正社員との明らかな給与格差。保障もなにもない。正社員として雇用しろとか、正社員並みの待遇に改善すべきとか言われてる。 外資系企業だと、業績が悪くなると、速攻で首を切る。情が入る余地がない。それに対して、一昔前の日本企業は終身雇用制を取っていた。終身雇用制は、好況のときは良かった。いくらでも人は欲しいから。 でも、失われた…続きを読む
歴史は勝者が綴る 2007年06月21日 時事 政治 思索 米下院で、慰安婦決議案が26日採択されそうだとの報道があった。本当がどうかは別として、米紙に出した例の全面広告が引き金となったらしい。 戦前の日本を悪と断じてきた以上、自分も同じじゃないかと面と向かって言われて、はいそうですという国ではないことは判りきったことだから、ある意味当然の反応といえる。 議会なんかより、この全面広告に対する、一般のアメリカ国民の反応が知りたい。まず、知ってい…続きを読む
清めの思想 2007年06月20日 思索 日本人にとって、穢れなき姿とは、神様にお会いするための作法。神社は掃き清められた聖域。参拝者は鳥居をくぐって、本殿に向かう前に手水で手を洗うけれど、本来的な意味は身を清めること。 穢れ無き姿、穢れ無き心でもって、神様にお会いする。穢れた姿では、みっともない格好では神様にお会いする資格などない。そう思ってる。 日本人の意識には、清めの思想が根付いている。 日本では、清める…続きを読む
侘びと寂び 2007年06月19日 思索 日本人の美意識は自然崇拝から発生している。西欧のような華美な装飾や対称の美をもって美とはしない部分がある。神道のお社は、簡素質素で清浄。自然と溶け込むくらい調和してる。 自然が培う美意識とは、調和と無為。あるがままの姿、穢れ無き姿がもっとも美しいとする感性。簡素で自然な姿に美を見出した。 「わび・さび」も日本の美意識が現れたもの。侘(wabi)は「正直に慎み奢らぬ様」「清浄無…続きを読む
禊の転回 2007年06月18日 思索 日本では、穢れは忌むべきもの。穢れないように生きようと注意している分にはまだいいけれど、穢れを否定する考えが極端になると、そもそも穢れなんて無ければいいんだ。とか、穢れなんか最初から無いんだと思ってしまうことさえある。穢れそのものを否定すると、世の中は性善説で出来ているんだと幻想を持つようになる。 そんな日本社会では人は、行動において、常に穢れないような行動を選択することになる。自分が穢れ…続きを読む
禊の基準 2007年06月17日 思索 禊って要するに罪を償うためのひとつの方法。禊をする、すなわち罪を贖う基準と行動は、国や社会のもつ宗教や道徳観によって当然異なる。 キリスト教社会では、罪を犯した個人は、神に懺悔して許しを請う。神に許されたらそれで終わり。許されたかどうかは、個人の主観による。確実なのは懺悔したことによる罪の認識だけ。 例えていうなら、綺麗な服を着ていたとして、罪という泥で汚れたら、神に報告して、その度…続きを読む
穢れと禊 2007年06月16日 思索 外人からよく日本は清潔だといわれるのは、日本人の美意識の賜物。 自然はそのままで調和していて、あるがままの姿が最高に美しい。だから人の立ち振る舞いや心のあり方でも、常に調和して、あるがままの美しさを求める。 調和が取れ、穢れのない姿が最高に美しいとする美意識。日本人は意識の中で、穢れを許せないし、許さない。正直さ、誠実さは穢れがない証拠。だから日本人は正直さや誠実さを尊ぶし、みんな…続きを読む
美に殉ずる国民性 2007年06月15日 思索 日本人がなぜ諦めが早いかというと、日本人の持つ美意識に起因してる。 昔、ジュビロ磐田でプレーしたスキラッチは、日本の美意識についてこう語っている。多少長くなるが引用してみる。 ──日本のことで何があなたの心に残りましたか? 「美意識です。 イタリアは遺跡や世界で最も美しい街の数々、並外れた素晴らしい景色などがたくさんある国だと思います。 ローマ、ヴェ…続きを読む
大雨とマイナスイオン 2007年06月14日 時事 中国大陸は今年に入ってから、全国各地で冠水と旱魃が頻発し、南部各省では降り続く暴雨に見舞われる一方、北部各省および四川等地区では旱魃の災害が相次いでいるそうだ。 なんでも激しく叩きつけるような大雨には、空気をマイナスイオン化してきれいにしてくれる効果があるらしい。 工業化が進んで大気汚染が酷い中国南部に大雨。自然の摂理なのか、実にうまく出来ている。まるで狙い撃ちしているかのよ…続きを読む
中国の証券バブル 2007年06月13日 時事 中国で1億人以上の庶民が株式熱に浮かされているそうだ。自宅まで抵当に入れて資金をつぎ込んでいる。日本ではちと考えられない感覚だけど。 バブルが弾けて、担保もなにもかも取られたとしても、日本のように樹海行きの自殺とかするのだろうか。彼らは。 いや、借金作ってもしらんぷりして逃げ出して、なんだかんだでしぶとく生き抜くのではなかろうか。殺されることはあっても、きっと自殺は選ばない。 …続きを読む
研究開発者への布施 (布施の商品 その4:最終回) 2007年06月12日 ビジネス 思索 一部の商品でよく、収益の一部はどこどこに寄付していますとかあるけれど、あれを応用する。 最先端の研究開発、特に誰も見向きもしないような、新しい技術開発なんかは研究費がなくて苦労している。企業はそんな研究をピックアップして、あえてスポンサーにつく。 スポンサーについた企業は、自分の商品の販売価格にスポンサーになった研究の開発費を上乗せする。 最近の清涼飲料水なんかには、食玩や…続きを読む
天国の商品 (布施の商品 その3) 2007年06月11日 ビジネス 思索 消費者が能動的な創作活動者と見た場合、製品の購買動機は欲望ではなくなる。どんな製品になるのかを推測したければ、欲望のない世界、欲望の優先順位が極めて低い世界で流通する製品を想定してみればいい。 天国があったとして、そこでの経済活動を想定してみる。住民はみんな天使なので、個人の欲望はとても少なくて、平和にくらしている。基本的に善意に満ちているので、困っている人には世話を焼くお人良し。自…続きを読む
受動的消費行動と能動的消費行動 (布施の商品 その2) 2007年06月10日 ビジネス 思索 一般製品や文化、芸術などの創作活動を含む製品の発信者って、企業やアーティスト。新製品の開発・製造には、もの凄くお金がかかる。とても個人で負担なんかできない。だから企業が研究開発したり、スポンサーになってアーティストに依頼したりして新製品を開発する。 企業や金持ち、才能を世に認められたアーティストしか、製品や創作物を世に送り出すことができないのが現実。大衆は彼らから発信される製品を受け取…続きを読む
顧客満足 (布施の商品 その1) 2007年06月09日 ビジネス 思索 今日から4回に分けて「布施の商品」をエントリーします。 消費者の購買行動が変化しているという。必需品から欲しいと感じる物へと購買対象が変化していると言われている。自分の感性で買うものを決めるマイルール派もいれば、有名人が買ってるから自分もというアヤカリ派もいるみたい。どちらにせよ単に機能だけが求められた時代から、商品の価値にプラスして付随する付加価値が重視されるようになった。 …続きを読む
小さな政府 2007年06月08日 時事 政治 例の年金問題。社保庁のずさんさぶりが明らかになってきた。確かにひどい。 だから小さな政府を目指そうだとか、民営化だとかよく言われるけれど、要は、役人や政治家が、公平無私にきちんと仕事をすればいいだけのこと。 小さな政府って、つまるところ、きちんと仕事していないから、政府の手の届く範囲を狭くしてやって、利権や役得が入る余地を少なくしようというだけのこと。 民間企業も同じこ…続きを読む
憲法9条改定論議と膾を吹く深層心理 2007年06月07日 時事 憲法改定論議が喧しい。でも占領憲法の改定が必要という割には、世論調査で九条の改定については賛成多数にはなってない。 WGIPの影響もあるんだろうけど、実は日本人の深層心理である種の「恐れ」があるのではないかと思ってる。 武器を手にとると滅ぼされる。そんな恐れ。 福田元官房長官が、「アメリカは本当に恐ろしい国だから」となにかの会見で言っていたような記憶がある。 大東…続きを読む
投資行動研究 2007年06月06日 時事 松井証券の投資行動研究について、投資家の反感を買っている。 個人の売買の履歴提供が問題だという。 そりゃそうだろう。売買手法は個人投資家にとって、虎の子の奥義。 剣術の秘伝書が一般公開される訳がない。秘伝になればなるほど門外不出。 もし、履歴が提供されて、個人投資家の売買手法が公開されてしまったら、機関投資家や証券会社の自己売買部門が裏をかく手法で望んでくるのは明白。 逆にいえ…続きを読む
知の性能 ⑤ 2007年06月05日 思索 知の性能 ④の続きです。 ○ 知の潮流 誰でも自分の専門分野の未来は予測できる。良く知っているから。知の性能表記が普通になると、自分の所属する専門領域の指向性が高い知が将来どこに向かってゆくかの予測を、知のブロックにして発信できるようになる。 知の対象となる市場とその下のアマチュア層に厚みがあれば、発信された知のブロックが奇抜なものであったとしても誰かが受け止めてくれる。…続きを読む
知の性能 ④ 2007年06月04日 思索 知の性能 ③の続きです。 ○知の生産性 知は、その奥行きと方位と賞味期限を掛け合わせた体積をもつブロックとして存在する。 知識自体が誰でもアクセスできる時代では、知識を持つこと自身は優位をもたらさない。 知のブロックを受け取った人にとって、「使えるか」どうがが基準。 その核の部分が真実かどうかが鍵。 数学で新しい発見や証明が発表されると、それらは専門の数学者が寄ってた…続きを読む
知の性能 ③ 2007年06月03日 思索 知の性能 ②の続きです。 ○知の指向性 知には内容そのものが誰を対象としているかで指向性を持っている。指向性の高い知は目的が明確で、コアな対象への効果が絶大。専門知識であったり、マニアックだったり。全方位の知は、誰にでも使えるけど、何に使えるか、どれくらい効果があるかはあまり明確じゃない。 基礎教育は全方位性が高く、専門教育にいくにしたがって、指向性が高くなる。その分市場は狭く…続きを読む
知の性能 ② 2007年06月02日 思索 知の性能 ①の続きです。 ○ 知の性能 電化製品は性能を数字ではっきり示せるから値段が付けやすい。消費電力、動作周波数、メモリ容量などなど。この機能とこの性能ならばと大体の相場がある。本の値段は、ページ数・装丁・原稿料・発行部数から決まることがほとんど。中身で決まっている訳じゃない。中身の相場もない。知性の性能表示なんて出来るわけないといえばそれまでだけど。 ネットでは膨大な…続きを読む
知の性能 ① 2007年06月01日 思索 今日から5回に分けて、知の性能をエントリーします。 ○ 知の価値 ネットも光通信になってから、伝送速度が飛躍的に向上した。ブロードバンドが情報の高速道路だとすると、サーバやハブはサービスエリアやインターチェンジ、料金所なんかのインフラ。走る車は、ネット内の情報。車の種類や性能はいろいろあるはずだけど、どれがどれくらいの性能かなんて分からない。 新聞はもはや斜陽産業。契約者数は減…続きを読む