対価を支払わせるために(新世界秩序について考える その2)

軍事的な一極支配であっても、それに見合った経済力がなければ足元から崩れてゆく。圧倒的だったアメリカ経済はベトナム戦争敗北あたりから陰りをみせ、世界の「経済」覇権は、アメリカ・ヨーロッパ・日本の3極に分配されることとなった。 衰えてゆくアメリカ一国の経済力では、もはや世界全体をカバーする軍事力を支えることはできない。それでも軍事的一極支配を続けたければ、足りない分は他国に払ってもらう…

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新世界秩序(新世界秩序について考える その1)

世界の流れからみた日本の政治を考えてみたい。全8回シリーズでエントリーする。 [Asagi's photo]より 『私達はここ2世紀の間「自由」の(ための)激務をこなして来ました。そして今夜、私達は寛容と人類愛に対する脅威に毅然と立ち向かうように世界を導くでしょう。問題となるのは、ひとつ以上の小さな国です。 それは「新世界秩序」という大きなアイディアです。そこでは多様な…

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■政治におけるネットの現実社会への影響力

申し訳ありません。エントリー準備が間に合わないので、今日は過去エントリーの再掲とさせていただきます。 ---------------------------------------------------- 1.ネット時代の選挙 ネットの世界で最も価値のあるとされるもの、真実と暴露と高い見識。 普段表に出ない・出せないものが、ここでは価値あるものになる。だから、ネット…

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拉致問題、そして国家意思

「やはりアメリカはアメリカ、日本は日本だと思った」 北朝鮮の核申告を受けて米国がテロ支援国家指定を解除すると発表したことについて、神戸市出身の拉致被害者、有本恵子さん母、嘉代子さんは、産経新聞の電話での取材にこう応えた。 国家は基本的にその国の国家戦略、国益に従って行動するのであって、国益にならないと判断すれば、いかようにでも方針は変わるもの。 もちろん国家内の方針が一…

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北朝鮮、テロ国家指定解除

26日にアメリカがテロ支援国家指定解除をする方針であるとの報道があった。 福田総理は、拉致問題を半ば棚上げし、アメリカの北朝鮮のテロ支援国家指定解除を容認するようだ。 「国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」の記事によると、追い詰められているのか吹っ切れたのか、昔ながらの答弁が戻ってきたという。 国民感情としては、テロ支援国家指定解除はアメリカの裏切りに映るし、それ…

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偽装はまだ続くのか

思索の時間がとれず、今日も感想エントリーです。しばらくこんなペースかもしれません。σ(^^;)アシカラズ・・ 食牛肉卸売会社「丸明(まるあき)」で飛騨牛を産地偽装しているとの報道があった。なんでも内部告発があったらしい。 記者会見で吉田社長は記者会見で「従業員の判断でやったこと」と自身の関与を否定していたたけれど、従業員らが偽装を「吉田社長の指示」と反発し、最終的には指示を…

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天の恵み 地の怒り (チャイナ・クライシス 補追1)

前回のシリーズエントリーで、いくつかコメントをいただいたので、それへの返答も踏まえ、補追とさせていただきます。多少暴論になるかもしれない。諸兄のご指導を仰ぎたい。 「宙に浮く中南海」のエントリーで丸幸亭様からこんなコメントをいただいた。非常に端的に中国世界を現しているように思う。少し引用させていただく。 こんにちは。地域コミュニテイーこそがシナの実体であって、そこへか…

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官民の意識格差

「一緒に体験入隊しましょう」。 大阪府の橋下徹知事は6月17日午後、部長会議で副知事や部長ら幹部19人に自衛隊への体験入隊を呼びかけた。 体験入隊とは、一般の方々に2~3日程度で隊員と同じような日課で起居宿泊し、自衛隊や隊員の行動の一部を体験することにより、自衛隊への理解を深めていただくものとされている。ある程度人数のまとまったグループや団体からの申込を受け付ていて、民間企業の新入社…

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橋下知事奮闘す

弁護士というものは、基本的スキルとしてこうした交渉テクニックを持っているものなのか?それとも橋下知事だけのものなのか?はたまた、大阪府職員のセンスが一般ズレしているのか? 6月20日夜から、橋下大阪府知事と府労働組合連合会との職員人件費削減案を巡る交渉が、約7時間にわたるやり取りの末、決裂した。 橋下知事就任から何かと府職員との対立か報道されているけれど、現状はその報道が…

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拉致問題と東シナ海ガス田

今日のエントリーは、ただの感想です。思索が追い付かず、多少スランプ気味ですのでしばらくお時間を頂けますよう(w ここ最近の政府与党の動きが気になっている。 拉致問題“再調査”に呼応した「北朝鮮への経済制裁解除」や、中国との「東シナ海ガス田の共同開発合意」とか。 特に、北朝鮮への経済制裁解除なんかは、ばたばたと話が進んでいて、とても拙速な印象を受ける。まるで何かに急き…

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奥州大地震について

亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。 6月14日、岩手県でM7.2の内陸部直下型地震が起こった。プレートの運動に伴い地盤が圧縮されることによって起こる逆断層型の地震。震源の深さは約8キロ長さは約40キロで震度6強を記録し、阪神大震災とほぼ同じ規模だという。 [手塚治虫著 「ブラックジャック」 17巻 第158話より] とりわけ瞬間的な揺れの指標である最大加速度…

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民以食為天(チャイナ・クライシス 最終回)

「王以民為天、民以食為天」 「漢書」にある文言。王は民を以って天と為し、民は食を以って天と為すという記述から見られるように、中国の為政者にとって「国民を飢えさせることなく、食べさせること」は古来からの最重要課題だった。 それほど中国人にとって食べるということは重要なことらしい。先の被災地での福島記者の取材でも、食に対する貪欲さ、逞しさを伝えている。 ここで気になるの…

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宙に浮く中南海 (チャイナ・クライシス その5)

聖火リレーと四川大地震、この二つの要素が中国の縁起レイヤーを大きく変えることになった。特に地域共同体レイヤーの構築と直接海外と接続された意味は大きい。 救援活動は地域共同体レイヤーで行われていて活性化しているのに対し、中国政府は支援物資供給を行うと同時に思想レイヤーで情報を流して、人民の思想統制を一生懸命行っている。対日印象の好転は望ましいが、好転しすぎるのも望んでいない。あの…

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外国と直接接続した中国の地域共同体レイヤー(チャイナ・クライシス その4)

救援活動は国内ボランティアや人民開放軍だけじゃない。世界各国から救援隊や医療チーム、NGOの各種団体が被災者支援に力を貸している。これはそのまま、被災者達を中心とする地域共同体レイヤーが下位レイヤーレベルで世界と直接接続されたことを意味する。このことは実に大きな意味を持つ。 これまで中国と世界各国との接続レイヤーは殆ど経済レイヤーだけだった。思想レイヤーは情報封鎖を未だ行ってい…

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被災者という名の地域共同体レイヤー(チャイナ・クライシス その3)

今回の四川大地震の救援活動と中国政府・軍の対応と中国人民の反応で代表的だと思われるものをそれぞれ上げてみる。 ◆ 救援活動  ・日本救助隊、活躍できず。医療班は打ち合わせ不足で活動遅延 ・おから工事、初動の遅れとそれに伴う救援物資の遅配 ・ダム決壊などの二次災害の恐れ ◆ 中国人民の反応  ・中国国内外から義援金、支援物資集まるも横領者に怨嗟の声 ・対日印象好転 ・核…

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中間レイヤーがなかった中国(チャイナ・クライシス その2)

聖火リレーを切っ掛けとして形成し始めた知人友人・地域共同体レイヤー。国民国家となるためには重要な礎。 だけど、いくら知人友人・地域共同体レイヤーが形成されたからといって、一足飛びに国民意識が成熟するわけじゃない。ひとりひとりが国民としての責任や義務、そして民主意識を持ってこその国民国家。 もちろんそういった民主意識を持つことは中国政府が許さない。 だから、現段階での中国の知人友…

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ワン・チャイナという意識(チャイナ・クライシス その1)

四川大地震の救援活動や中国国内動向について、縁起のレイヤーの視点から検討してみたい。全6回シリーズでエントリーする。 縁起のレイヤーという概念は当日比野庵の記事「縁起のレイヤー」、「縁起のレイヤーが結ぶ世界」で、述べているように、世界の繋がりを人や社会の「縁」ごとに階層化して見るというもの。 その中で日本、中国、他民族国家の縁起レイヤー構造に触れ、中国の縁起レイヤー構造は最下…

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智慧と慈悲による価値の拡大再生産(商品価値について 最終回)

商品を消費するとき、価値をただ使うだけであれば、その商品が普及するにしたがってやがて限界効用が訪れることになる。 この場合、蛇口から水を流し続けるように、常に新しい価値を作り続けられなければ、社会にあふれる価値は増えなくなって、ただの生産コスト勝負になってくる。 使った水が下水処理されて、河に流されて、蒸発し、雲となって雨を降らしてまた生活用水となる循環があるように、商品も単に消費す…

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苦の属性(商品価値について その9)

四苦八苦の内容を良く見てみると、肉体煩悩に属した「苦」と精神的欲求に属した「苦」があることに気づく。 「生」「老」「病」「死」と「五陰盛苦」は肉体に起因した苦しみだし、「愛別離苦」、「怨憎会苦」、「求不得苦」は精神的苦痛。 [Asagi's photo]より 健康で若い人にとっては、生老病死は遠い話で「苦」とはほとんど認識しなくて、もっぱら「五陰盛苦」に苦しむものだし、…

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満足とは何か(商品価値について その8)

「大慈与一切衆生楽、大悲抜一切衆生苦」 150-250年ころ活躍した、八宗の祖師龍樹(りゅうじゅ)の著わした『大智度論』(だいちどろん)の中の一節。 仏教では、仏や菩薩は衆生の苦しみを抜いて楽を与える、抜苦与楽(ばっくよらく)を行うという。これが仏の慈悲のあらわれであるとされている。 消費者の欲求って、言い換えれば快楽の追及だから、商品を使用することによって得られる満足…

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価値を発揮する条件(商品価値について その7)

商品の目的や性能は価値と必ずしもイコールじゃない。 商品が持つ目的が消費者の求めるものでなければ売れないし、操作が難しすぎたり、規制があったりして誰も製品性能の半分も発揮できなければ、実質性能は半分と同じ。 子供に原子物理学の専門書を持っていっても売れるわけがないし、時速300Km出せるスーパーカーでも一般公道では危なくて100Kmも出せないだろうし、高速道路で走ったとし…

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時の刻みと所有権(商品価値について その6)

生産者にとって商品を作るコストは引くければ低いほどいい。その分儲けが大きくなる。そのためには単位時間の生産性をあげて合理化を測らなくちゃいけない。一番簡単なのは人件費を削っていくことだけど、それだけでは限界がある。 個々の工程で自動化・機械化できるところはどんどん進めて、人手に頼るよりも正確で疲れなくて、24時間稼動を考えたり、需要予測をキチンとやって生産調整をやって在庫を極力…

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「時間の密度」というライフハック (商品価値について その5)

同じ一日8時間の労働であるのに仕事の出来る人と出来ない人が分かれるのは、その中身が違う、出来る人の仕事は質が高いのだ、という理屈は当然成り立つ。 この労働の中身、質という観点から、労働時間というものを考えてみる。 先の新幹線ガールを例にとる。 新幹線のパーサーの仕事を各アクションに分解してみる。 ・商品を乗せたワゴンを押して、車両内を行き来する ・買いたいお…

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「創意工夫力」を鍛える(商品価値について その4)

「ここはひとつ、相手の気持ちになって話を聞こう。」 「誰かに愛を届けたら、誰かから愛が届くんだなぁ。」 2007年7月4日にスペシャルドラマとして放映された、新幹線ガールの中のひとこま。 これは、東海道新幹線の300人近いパーサー(販売員)のなかでトップの成績を上げた23歳の徳渕真理子さんの著書『新幹線ガール』を元にドラマ化したもの。 徳渕さんは、2005年度下半期に…

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利益を上げるには(商品価値について その3)

生産コストより売値が高く、その売値でお買い得感があるという商品の関係において、生産者が一番儲かるのは生産コストが限りなく安く、満足感が極大になるとき。 そんな商品は超お買い得、オススメ製品として人気殺到することは間違いない。 企業からすれば、そんな商品を開発したいし、売り出したい。そのためには原材料の仕入れ、企画、設計、生産に頭を痛めることになる。再びパンを例にとると、 …

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本当は恐ろしい消費者(商品価値について その2)

今度は商品を使う側、消費者側で考えてみる。消費者側から考えると効用価値説のほうがしっくりくる。 [Asagi's photo]より 消費者にとって、なにかの商品を欲しがって買う理由は当然メリットがあるから。たとえば、パンのメリット(効用)ってなにかといえば、パンを食べることで満腹になるという効用とパンを味わったという満足感や幸福感。 パンの価値=満腹という効用+幸福…

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商品価値の世界(商品価値について その1)

商品の価値について考えてみたい。全10回シリーズでエントリーする。 経済学における商品価値については、様々な説や理論があるけれど、古典経済学から近代経済学においては大きく二つの説とその変遷がある。 古典経済学における「労働価値説」と、近代経済学における「効用価値説」がそれ。 [Asagi's photo]より 労働価値説とは、商品の価値をは一定の商品のうちに含まれ…

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チベットにおける自然法と自然権の対立(正義とは何か 補追3)

チベット人にとってあるべき姿とは、縁があって活仏と知り合って人生の道理を悟ることと言ったけれど、今のチベットでどうすればそれが実現できるかという見解によっても正義の居所は変わる。 自然法に従うか、自然権に従うかの違いがそれ。 仏法を自然法として置き換えると、チベット人が須らく願うのは仏法=自然法に従った生き方そのもの。だから、自然法に従う正義とは仏法に適ったものでないといけな…

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水着のスピード革命

北京五輪に向けて英スピード社製の新型水着が革命を起こしている。「レーザー・レーサー」と呼ばれるこの新型水着を使った外国選手が世界記録を連発している。 危機感をもった日本水泳連盟は、五輪日本代表の水着を契約するミズノ、デサント、アシックスの国内3社に改善を要望する中、朗報が飛び込んできた。 ウエットスーツの大手メーカーである山本化学工業が国内指定3メーカーに自社の新素材「バ…

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変質しつつある北京五輪

あと2か月とすこしに迫った北京五輪。チベット問題に絡んだ五輪ボイコット関連報道も、すっかり四川大地震の影に隠れる形となっている。 いろいろなところで指摘されているけれど、四川大地震が北京五輪の内容を変質させつつある。 中国にとって、五輪は国威発揚のための歴史的一大イベントのはずだった。世界中から参加国を集めて、派手に、大々的に五輪を行うことで、大国中国を国内外に知らしめるはず…

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