■格差について考える(後編)

格差について考えるのシリーズエントリーの纏めの後編です 8.主観的職業威信 プロとは違って、普通の社会人からみた場合に働きたい職種は、やりたいことができるか、安定しているかは大きなポイント。安定を目指せば大手を選ぶのはだいたい共通する選択だけれど、やりたいことの内容は個々人ひとりひとり違うもの。 そこには一般社会でなんとなく通用している、職業威信スコアとは別に、個人の価…

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■格差について考える(前編)

  格差について考えるのシリーズエントリーの纏めの前編です                         1.格差とは何か 2008年6月8日に起きた痛ましい秋葉原連続殺傷事件。そして先日おきた八王子殺傷事件。一部には格差社会の生んだ悲劇であるという声もある。今回は、格差について考えてみたい。 Wikipediaによると格差社会とは次のように定義されている。 『「格…

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文化をウイルスとみるもの

今日は簡単に、感想エントリーです。 米アップルのインターネット音楽配信サービス「アイチューンズ」運営サイトに中国で接続できないという報道があったようだ。なんでもダライ・ラマ14世睨下メッセージ付きのアルバムがあったのを問題視したという観測があがっている。 コンピュータウイルスに感染したと分かったときに、真っ先に行わなければいけない事に感染したPCをネットから切り離すという…

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日本文化が世界化するとき(北京五輪にみる日本のスポーツと文化 最終回)

柔術から柔道に、柔道からJUDOに変容するのと同じように、ある競技が世界化・グローバル化してゆく過程で、より広く受け入れられる形に変容していくのは自然な流れでもある。 それは、文化の世界でも同じ。古くはアレキサンダー大王の東征で、伝播したギリシア文化はアジアの古代オリエント文化と融合していったけれど、そこに生まれ土着した文化は当然、ギリシャ文化そのものではなかった。ガンダーラ…

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世界標準との戦い(北京五輪にみる日本のスポーツと文化 その3)

「ストライクゾーンがまったくほかの世界でやっているような感じだった。それで戸惑った感じだった。」 北京五輪でメダル無しに終わった野球の星野日本代表監督のコメント。 国際試合でも、何がしかのルールに沿って行われないと競技にならないから、ストライクゾーンとて、何か決められるもの。それは国際基準と呼ばれるもの。ボールだって、公式球を採用する。同じ条件での勝負でないと不公平だか…

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柔道とJUDO(北京五輪にみる日本のスポーツと文化 その2)

  「一本でなくてもいい、勝てばいい。」 北京五輪男子柔道100キロ超級で見事金メダルを獲得した、石井慧選手の言葉。 柔道が「JUDO」となってから随分経つけれど、今回の北京五輪では、柔道とJUDOの違いが如実に現れていた。 日本の柔道は曰く、一本を狙う柔道。組んで技をかけて投げる、綺麗な柔道。対して「JUDO」は、なるべく組まずに、タックルを仕掛けて相手を倒してポ…

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オリンピックの甲子園化(北京五輪にみる日本のスポーツと文化 その1)

北京五輪に関連して、日本のスポーツと文化について考えてみる。全4回シリーズでエントリーする。 北京五輪では、日本選手団はそれなりに健闘はしたと思う。アテネには及ばなかったものの、それでも、金9、銀6、銅8の計25個もメダルを取っている。 近代オリンピックは元々アマチュアの祭典だったのだけれど、1984年のロサンゼルス大会あたりから大々的なショーアップが行われ、商業主義へと転化…

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北京五輪閉幕によせて

北京五輪が閉幕した。日本から見ている限り、普通に行われたように見える大会だった。懸念されていた大気汚染も、男子マラソンで大気汚染による不調を訴える選手もなく、金メダルのワンジル選手は五輪新記録で優勝したほどだから、心配されたほどではなかったようだ。 中国は北京五輪は大成功だった、と国内に宣伝しているけれど、成功したのは共産党首脳部(の頭の中)だけで、その他多くの人民にとっては殆ど関係…

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朝青竜関とダルビッシュ有投手(移民についての雑考 後編)

  人口問題を解決するのに一番いいのは、もちろん日本人が増えることだけど、それが叶わぬ場合は、日本の社会に溶け込んで違和感のない、日本人らしい外国人が来てくれることが望ましい。 日本の社会の相互信頼性を崩さないような人に来てほしい。だけど現状ではそれくらいの理解のある人はそんなに多くない。それは日本人の期待レベルが高すぎることもあるのかもしれない。 外国出身で日本の伝統に半…

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移民に対する対立軸(移民についての雑考 前編)

移民についての雑考を前後編2回でエントリーする。   先ごろフジテレビで移民1000万人のアンケートを放送していた。移民反対が圧倒的多数を占める結果となった。また、Web2.0型世論調査サイト「世論調査.net - みんなの声!」上で、実施されている調査『移民庁の設置と日本の移民政策に関する提言案について』でも、反対が賛成を大きく上回った。 移民を推進する側の論理としては、人口…

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職業の要不要(格差について考える 補追3)

格差について考えるシリーズエントリーで、耕氏から、大事でない仕事をしているからと言って(生活できるかできないかの)低所得なのは許されるべき問題なのかという点に踏み込んでいないという指摘があったので、補追しておきたい。 基本的に世の中に必要のない、または必要のなくなった職種というものは淘汰される運命にある。たとえば日本でいえば炭鉱業なんかがそうだった。少し昔であれば、日本でも炭…

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政治家というアスリート(格差について考える 補追2)

補追1の続き。 職業威信と年収の関係からみると、政治家はプロアスリート並の社会的認識があっても少しもおかしくはない。政治家本人はそう思ってるかもしれないけれど、やはり一般世間、特にマスコミはそう思ってはいないように見える。 たぶん、威信スコアからだけでいけば、総理や閣僚クラスともなれば、イチローや松井、北島康介くらいの扱いにしないといけなくなる筈。だけど一般世間の認識で…

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プロ選手と政治家(格差について考える 補追1)

職業威信と収入の関係についてのポートフォリオで少し面白い結果が出ていることに気づいたので、補追する。 職業威信と収入の関係についてのグラフで、日本の職種の殆どは第一象限「エリート」と第三証言「3K業種」に集中して正の相関が割合に保たれているが故にまだ健全であるといったけれど、この正の相関から外れている存在がある。プロ選手と政治家がそう。 職業威信と収入の関係グラフを再掲…

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身振り手振り

今年6月末に『米国科学アカデミー紀要』に、SVO型言語を話す人であっても、身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取るよう求めると、SOVの順番で意志を伝えたという論文が発表された。 この実験は、シカゴ大学のGoldin-Meadow氏の研究チームによって行われ、40人の被験者(SVO型である英語、中国標準語、スペイン語を母国語とする被験者各10人と、SOV型であるトルコ語を母国語とする…

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宇宙戦艦ヤマトの予言

  戯言です。単なる思い付きです。 世紀末からいろいろと地球の危機が言われてきた。たとえば核ミサイルによる自滅、隕石の衝突、宇宙人の侵略、地球温暖化・・・などなど 1970年から1980年にかけてのアニメ界の不朽の名作「宇宙戦艦ヤマト」での地球の危機が、なんとなく現実とリンクしているような気がふとした。 ヤマトの各作品のあらすじをWikipediaから転…

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毒餃子事件 その後

日本での毒餃子による中毒事件の後、中国の製造元「天洋食品」は中国国内でギョーザを回収したのだけれど、その倉庫にあった該当のギョーザを食べた中国人が例の「メタミドホス」による中毒症状を起こしていたとの報道があった。 これが本当であれば、もはや中国国内での混入を疑う余地はない。福田総理から真相究明についての依頼を中国に行い、胡主席もそれを受けたとも言われているけれど、本当に原因が究明さ…

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毎日のwaiwai問題の検証とお詫び問題

テクノバーンが13日の記事で明らかにしたところによると、毎日新聞のwaiwai問題に対する7/20付「おわび」が虚偽報告だったらしい。並行して、図書館に通い詰めている有志が、アサヒ芸能を出典とする、与太記事を、日本人が書いて英文で世界に発信していた過去を発掘したようだ。 しかも、執筆者は日本人とおぼしい「イトウタケシ」となっていて、ライアンコネルだけだったという訳でもないらしい。 …

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行った人、見てる人 -北京五輪について-

なんだかんだで北京五輪は開催された。8月8日の開会式のセレモニーは、メンツに拘るお国柄がよく表れていた。 日本のテレビは連日連夜、五輪特集を行っている。尤も海外ではそうでもないようだけど。 グルジア侵攻にテロ続発、普通の五輪ではなくなっているのだけれど、競技そのものはなべて普通に行われ、選手は、その持てる全力を発揮している。 会場の外の事実は、白熱する競技に掻き消され、…

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1984年な大国

ジョージ・オーウェルの有名な作品で、1949年に発表された「1984年」という小説がある。 皆さんご存じのとおり、全体主義国家によって統治された恐怖の近未来を描いた作品で、その世界の中では、絶えず紛争地域を巡って戦争が繰り返され、思想・言語などに統制が加えられ、市民は各家庭に配置された双方向テレビによって絶えず監視されている。 小説の話と笑ってなんかいられない、いまやこんな世…

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祝福のこころ(格差について考える 最終回)

『なぜ人を妬んだり、うらやんだりするかといえば、「自分にも同じことができる」と思うからなのだ。人は自分が絶対に不可能なことを成し遂げた人に対しては賞賛や尊敬こそすれ、嫉妬することはない。』 第十七世名人の資格を持つプロ棋士、谷川浩司九段の言葉。 嫉妬心が起こるのは、それが自分の理想の姿だから。だから、嫉妬心を持つということは、自分で自分の理想の姿を否定していると同じ行為…

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今を変える、未来を変える(格差について考える その15)

収入とか、学歴とか、職業であるとか、そういった価値基準もなくはないけれど、それが全てである訳がない。 職業威信スコアは世間一般で思われている職業評価だから、縁起のレイヤーからみれば、所詮、経済レイヤーと思想レイヤーといった、上位レイヤーでのみ通用している価値観にしか過ぎない。 だけど、地域共同体、知人友人レイヤーや血縁レイヤーといった下位レイヤーでは、そんな「建前」は脇に追いやられ、…

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好きこそものの上手なれ(格差について考える その14)

パレートの法則というのがある。 これは、イタリアの経済学者パレートが発見した所得分布の経験則で、別名2:8の法則とも言われるもの。自然現象や社会現象を観察すると、その分布は決して平均的なものじゃなくて、ばらつきや偏りがあって、全体の約2割ほどが、残り8割に大きな影響を持っていることが多いという経験則。 たとえば、実例と照らし合わせて、以下のようなことが良く当てはまるという。 …

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わが道を行く栄光なき天才たち(格差について考える その13)

「世の人はわれを 何とも言はばいへ わがなすことは我のみぞしる」 維新回天の立役者、坂本竜馬の句。 自己のプライドがいい方向に発揮された「わが道を行く」人たちは自己評価に絶対の自信があって、他己評価などものともしない強さを持っている。ゴーイング・マイウェイな人たち。 しかし、たとえ「わが道を行く」に属していたとしても、自己評価というものが、他人様の目を通して評価する…

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自己評価と他己評価(格差について考える その12)

主観的職業威信はそのまま自己評価につながり、客観的職業威信は他人から見た評価、他己評価になるけれど、ここで自己評価をX軸、他己評価をY軸にとって、評価という切り口でもポートフォリオを作ってみる。 まず、自己評価が高く、他己評価も高い層は、自他共に評価が高い層。この第一象限に属する層を「エリート」と名づける。 次に、自己評価は低いけれど、他人からの評価が高い層。自分ではそれほど…

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中途採用と専門性(格差について考える その11)

『「負け組」だからといって卑下することはありません、難しい問題に挑んだことは立派なことだと思います。「負け組」と言われている人々にもこれからチャンスをいっぱい提供して、一度や二度失敗しても再挑戦することができる社会にしていかなければならないと思っています。  むしろ、「勝ち組」「負け組」のほかに、挑戦しないで待っている人「待ち組」がいると思います。そういう人々も、持てる力を存分に発揮し、一…

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派遣会社の職業威信(格差について考える その10)

社会の安定という面で考えた場合、個人が社会的犯罪に走らないだけのモラルの維持が求められるのだけど、そのためにはもちろん、基本的な健康・生命を維持したり、社会・文化的な生活を営むための収入が確保されているということが大前提になる。その上で、更に検討すべき項目として、主観的・客観的職業威信をいかに高めるかという問題がある。 派遣会社に問題があるとすれば、雇用形態的には、プロ契約のように…

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職業の魅力(格差について考える その9)

『やっぱり漫画家という職業で趣味と実益を兼ねられたということがラッキーでしたから。なかなか好きなことをそのまま仕事にできる人はいないですからね。しかも好きな野球を描いていればいいわけですから。・・・「野球漫画で人生終わってもいいじゃないか」というところまで来ましたからね。どの作家よりも恵まれているんじゃないですか?』 野球マンガの巨匠水島新司氏が、雑誌のインタビューで、50年漫画家をやって…

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主観的職業威信(格差について考える その8)

プロとは違って、普通の社会人からみた場合に働きたい職種は、やりたいことができるか、安定しているかは大きなポイント。安定を目指せば大手を選ぶのはだいたい共通する選択だけれど、やりたいことの内容は個々人ひとりひとり違うもの。 そこには一般社会でなんとなく通用している、職業威信スコアとは別に、個人の価値観やその職業にたいする主観的な誇りともいうべき、「主観的職業威信」なるものが存在してい…

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市場原理が働くプロの世界(格差について考える その7)

「グラウンドにはゼニが落ちている」 南海ホークスの名監督、鶴岡一人が選手に語った名言。 プロ契約はたまに複数年契約もあるけれど、基本は一年毎の契約。その年俸は前年度の成績を基準に査定され、契約更改を通じて決定される。 結果が出なければ、即解雇される反面、結果を出せばいくらでも稼げる商売。 とはいえ、プロの世界はやはり厳しいもの。他の人が羨むような大金を稼ぐよ…

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年収300万円の世界(格差について考える その6)

民間調査機関である労働運動総合研究所が先ごろ、首都圏の独身男性の最低生活費の試算結果を発表した。 この試算は、埼玉県さいたま市内在住の25歳男性が都心部に通勤しているものと想定して、 「適切な栄養をえているか」 「雨露をしのぐことができるか」 「避けられる病気にかかっていないか」 「健康状態にあるか」 といった、基本的な健康・生命を維持するための「生活の質」と…

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健全な日本社会(格差について考える その5)

ここで、職業威信と収入の関係をより概略化するために、職業威信スコアでのホワイトカラー、ブルーカラーの境界値である55、中小企業サラリーマンの男性平均年収の435万円を原点として、職業威信をY軸に、収入をX軸にとって、ポートフォリオを組んで、4つの象限に大別してみる。 [Asagi's photo]より 第一象限はホワイトカラーで、平均的サラリーマンより年収が高い職業群 第二…

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