大晦日

  2008年も今日限り。恒例の今年の漢字は「変」だったそうな。 読売新聞の読者が選ぶ十大ニュースは以下のとおり。 1.中国製ギョーザで中毒、中国産食品のトラブル相次ぐ 2.福田首相が突然の退陣表明、後継は麻生首相 3.ノーベル物理学賞に南部、小林、益川氏、化学賞には下村氏 4.北京五輪で日本は「金」9個、競泳・北島選手ら連覇 5.東京・秋葉…

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みんなで渡れば怖くない(日本の経済対策についての雑考 最終回)

  オバマ次期大統領のニュー・ニューディール政策は年間1000億ドル(=10兆円)規模にもなると見られている。 それだけの財源をどこから調達するのか。ドルを刷りまくって調達する可能性はかなり高い。米国債をさらに増発することになる。 増刷された米国債は何処が引き受けるのか。世界中が青息吐息の今、誰もそんな負担は引き受けたくない。ましてや通貨としての信頼性に陰りの見えたドルなん…

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ヘリコプター・エン(日本の経済対策についての雑考 その2)

  「日本がG7で世界に先駆けてIMFを通じた融資に声を上げてくれたおかげだ」 アイスランド外相の政治顧問のコメント。 国家破綻の危機に瀕したアイスランドは、国際通貨基金(IMF)から2年間で総額20億ドルの融資緊急融資を受けることになった、 またハンガリーやパキスタンもIMFから融資を受けることで、デフォルトを回避しようとしている。日本のマスコミは、日本のIMFへの…

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トヨタショックとその思惑(日本の経済対策についての雑考 その1)

  世界恐慌に対応する日本の経済対策についての雑考を。全3回シリーズでエントリーする。 トヨタがとうとう1500億円の通期赤字損益を計上した。あのトヨタが、と驚きの声も上がっている。またホンダも下半期の営業損益が約1900億円の赤字という。自動車業界が軒並み崩れている。 その一方、トヨタをはじめとする日本を代表する大手製造業16社の利益から配当金などを引いた内部留保合計額は…

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年末年始特別企画アンケート

  既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、年末年始特別企画として、アンケート調査を行っております。よろしければご協力をお願いいたします。 アンケート内容は 「2001年の911米同時多発テロにイラクは直接関与していた?」 かについて、Yes/No形式で御回答いただくものです。 投票は、トップページ右メニューカラム下段に投票パーツがありますので、Yes/N…

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究極の徳利(村山談話を解析する 最終回)

村山談話も、この味噌徳利、究極の徳利として考えればいい。 村山談話を一言でいうと、過去に対する謝罪と戦後の日本は戦前とは違うんだという宣言。この宣言そのものは世界からみたロジック、現時点でのグローバルに通用している正義と合致するから、談話そのものにケチを付けられることはない。 世界は、徳利を煮たり焼いたり、飴や辛子を塗ったりして、作り変わったことにしているし、そう見られ…

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日本の器(村山談話を解析する その6)

「山縣は徳利の中の味噌だ。味噌には味があるが、徳利から出てこない。」 明治維新の元勲の一人、山縣有朋を評した高杉晋作の言葉。 山縣有朋はとても慎重な性格だった。当時高杉晋作が藩内の親幕府派打倒のクーデターを起したとき、奇兵隊をアテにした。奇兵隊の幹部たちは熱狂的に高杉に賛同したけれど、山縣だけは最後の最後まで動かなかったという。 確かに徳利に入った味噌は逆さに振…

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現在の評価と未来の指針(村山談話を解析する その5)

続いて、現在の評価と未来の指針について検討を進める。 現在の評価は次の3つ 1.敗戦後、日本は復興した、協力してくれた世界各国に深く謝意を表明する。 2.アジア太平洋近隣諸国、米国、さらには欧州諸国と友好関係を築きあげたことを嬉しく思う。 8.疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明する。 1,2については特…

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日本という縦糸(村山談話を解析する その4)

国家単位で、過去の悪事を解消するために良く使われる方法として、特定の誰かに責任を押し付けるというのがある。 過去の政権が悪だったのだ。今の政権は彼らとは全く無関係であり、むしろ彼らを打倒した側なのだ。よって現政権は善であり、正当性があるのだ。そして、かの国民はその悪の政権に操られていた無辜の民であって、彼らに責任はない、として切り離してしまうやり方。どこかの国の得意技。 …

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独善的なナショナリズム (村山談話を解析する その3)

9について検討を進める。これが一番重要な部分と思われる。 9.わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、平和の理念と民主主義とを押し広めていく。 9では、国として、"反省"をしたところ、"独善的なナショナリズム"がその原因であったから、独善的なナショナリズムは止めて、平和の理念と民主主義とを押し広めていくというのがその方策であるとしている。 これには…

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過去の反省 (村山談話を解析する その2)

  過去の反省についてカテゴライズした論旨は以下の4つ 3.私たちは過去のあやまちを繰り返さないため、戦争の悲惨さを若い世代に語り伝えていかなければならない。 6.わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れた。 7.植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた。 9.わが国は、深い反…

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田母神論文と村山談話 (村山談話を解析する その1)

田母神論文問題に関連して、村山談話について考えてみたい。全7回シリーズでエントリーする。 田母神論文を契機として、村山談話が再び取り沙汰されるようになってきた。 そこで、改めて村山談話を見直し、解析を試みる。ただしあくまでも談話の内容から引き出される論理的帰結のみを検討し、具体的内容の是非については、ここでは問わないので留意されたい。 村山談話とは、1995年8月…

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焦る中南海

  今日は簡単に。 中南海が焦っている。内閣府は6日、「外交に関する世論調査」の結果を発表した。その結果、中国に対する親しみは「感じない」とした人が66・6%、日中関係が「良好だと思わない」とした人は71・9%で共に過去最高となった。 昨年からの毒餃子、毒インゲン、そしてそれに対する中国の対応をみればある意味当然の結果とも言える。 『中国新聞網』は、この調査結果を伝え…

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ロボットレンタクシー(未来の車社会について考える 最終回)

朝日大学マーケティング研究所の調査で明らかになった「ちょっとした用事・買い物」の用途・目的で車を使う頻度が大きく増えているというニーズを考えたとき、車を持っていない人達にとって、それに応えるものがあるとすれば、タクシーとかレンタカーがそれにあたるだろう。 バスはそのニーズを満たすには物足りない。バスに乗るには、まずバス停に行かないといけないし、時刻表どうりにしか運航しない。時…

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次世代車の息吹(未来の車社会について考える その2)

  『西那須野駅方面に右折し、20時30分頃に駅前のホテルに到着してすぐ、リポーター・ボクは石井さんのところに行って、「電池、どうなってんの?」と聞いていた。 すると石井さん、スイッチをオンにしてメーターを点灯させ、「大丈夫だよ」とひとこと。 見ると、満充電で80(km)走行可能という目盛りに対し、ハリが30を指している。要するに、まだ3分の1程度は残っているということだ。もちろん走り方に…

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車という在庫(未来の車社会について考える その1)

  未来の車社会について考えてみたい。全3回シリーズでエントリーする。 金融恐慌がどんどん実体経済に悪影響を及ぼし始めている。09年3月期連結決算で1000億円規模の赤字を計上したトヨタは、国内外で211万台以上の減産を発表した。 金融恐慌の影響で、車が売れなくなっているのは勿論そうなのだけれど、国内に目を転じると、特に若者層において、車に対するニーズそのものが変化してる。…

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テレビ局・新聞社の経営危機

  12月8日米トリビューン紙が破産した。抱えていた負債は129億ドル。金融恐慌を背景に、広告収入が激減したのがその理由のひとつらしい。 朝日新聞も08年9月中間期(08年4月~9月)の連結決算を発表し、100億円以上の赤字になっていることが分かった。もちろんこちらも広告・販売収入の悪化が原因という。中でも特に広告収入の落ち込みがかなりの部分を占めていると見られている。 広…

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心を浄化する文章(文章の格調について考える 最終回)

詩を例にとるまでもなく、文章には心を浄化する力がある。心が浄化を必要とするときというのは、心が曇っていたり汚れていたりするとき。 心が曇ったり汚れている状態というのは、心に余計なものがべっとりとくっついて離れないこと。つまり迷いや悩みや悪しき想いで一杯のとき。その一点に心が留まっている。 何かの問題を解決しようとして、色んな人の意見を聞いてみたり、あれこれ考えてみたりす…

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式神と言霊(文章の格調について考える その13)

「清明どのの言うその呪(しゅ)とは、つまり何なのだ?」 「そうですねぇ。たとえば、この世で一番短い呪(しゅ)は、名ということになりましょうか。」 「名?清明とか博雅という名のことか。」 「はい。呪(しゅ)とは要するに、物や心を縛ること。」 「物や心を縛る・・」 「あなた様は、源博雅という名で縛られております。その名がなければ・・」 「私はいなくなって…

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詩人の言葉(文章の格調について考える その12)

「なるほどと思えるけれども不可能なことの方が、なるほどとは思えないけれども可能なことよりも好ましい。歴史家はすでに起こったことを語り、詩人は起こる可能性のあることを語る。したがって、詩作は歴史に比べて哲学的である。なぜなら、詩作は普遍的なことを語り、歴史は個別的なことを語るからである。」 アリストテレス 「詩学」 詩人の綴る言葉は深い。普遍的な事柄を、美しいリズムに乗せ、…

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1/fゆらぎの文章(文章の格調について考える その11)

  自然にはある共通したリズムが存在する。「1/fゆらぎ」と呼ばれるのがそれ。 1/fゆらぎとは、デタラメなリズムと規則正しいリズムをミックスした中間のリズムのこと。 「1/fゆらぎ」は人に快適感を与えると考えられていて、実際に人の心拍の間隔や、ろうそくの炎の揺れ方、電車の揺れ、小川のせせらぐ音や、木漏れ日、蛍の光り方、風鈴の音などに1/fゆらぎが発見されている。 最近で…

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言葉のニュアンスと意味の圧縮(文章の格調について考える その10)

表意文字である漢字はその成り立ちから、大きく次の6つに区分される。 1)象形文字:「山」、「川」といった、物の形を文字に適用したもの 2)指事文字:「上」、「下」などの抽象的なものを印で示したもの 3)会意文字:「林」、「見」などのように象形文字や指事文字などを組み合わせて一つの意味を表したもの 4)形声文字:「清」、「花」などのように、二つの字を組み合わせ…

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アスキーアート(文章の格調について考える その9)

アスキーアートというものがある。アスキーアートとは、記号などの文字を組み合わせて作成した絵のこと。画像を掲載する機能のない電子掲示板などにも使えるという特徴がある。古くはパソコン通信の時代から始まったとも言われ、今では2ちゃんねるや電子メールの署名(シグネチャ)などによく使われている。 アスキーアート自体は、日本のみならず、欧米でも使われているけれど、特に日本のアスキーアート…

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文章の効果とは何か(文章の格調について考える その8)

『先ごろある外人のパーティに私は行って、一人の小説家にこう尋ねたことがあります。あなた方は小説を書くときに、印刷効果の視覚的な効果というものを考えたことがありますか。彼ははっきり答えて、絶対にないと申しました。  われわれから見ると、Yという字が下に長くのびていたり、Lが上に長くのびていたり、英語の印刷上の効果の多少の起伏や凸凹があるというところが面白いと思われるのですが、外国人はついぞ…

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意味の多様性(文章の格調について考える その7)

機械翻訳の例でみたとおり、修飾語の掛かりの位置には注意すべきで、目的に合わせて単語の並びを入れ替えたり、句読点を間にいれるべきなのは当たり前になるのだろう。先ほどの原文で修飾語のかかりをそれぞれさらに明確にした文にして、再度翻訳を試みてみる。 原文:「僕は昨日美しい日本の山々を眺めてきた人に出会った。」 書換文 ① :僕は、日本の美しい山々を、昨日眺めてきた人に出会っ…

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日本語文章の論理(文章の格調について考える その6)

日本語で誤解されにくい文章を書こうとした場合、気をつけるべきは、論理の繋がりもさることながら、意味の限定をきちんと行うこと。日本語はSOV型言語だから、S(主語)とV(述語)の間に位置するO(目的語)がそれぞれ、どの言葉に対して掛かっているか明確にしないと混乱を招くことになる。 たとえば、以下の例文を考えてみる。 「僕は昨日美しい日本の山々を眺めてきた人に出会った。」 …

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集合知の二つの性質(文章の格調について考える その5)

「集合知」とは、多様な知識の集積とその分別を行う「分析知」と選別された知識から最高の結論を導きだす「統合知」の和で構成される。 「分析知」と「統合知」には性質の違いがある。それはその使用目的に準拠してる。 分析知は食材の分別・選定に使用されるがゆえに、その食材が「傷んでいないか」とか「毒が入っていないか」といった、使える使えないというレベルでの分別が主な役割であって、食…

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集合知の構造(文章の格調について考える その4)

いくら食材が山のように積みあがっているからといって、手当たり次第使えばいいというものじゃない。新鮮なものもあれば、少々古くなって傷んだものだってあるかもしれない。中には河豚なんかのように、毒をもった食材だってある。 だから、集まった知識を使って料理をする前に、一度、食材をひとつひとつ点検して、分別整理しておく必要がある。このプロセスを飛ばして料理を作ってしまうと食中毒を起こし…

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集合知という市場(文章の格調について考える その3)

集合知という言葉もだんだん使われるようになってきた。集合知というのはその名のとおり色んな知が集まった状態を指すのだけれど、そこには「量」と「質」の二つの意味がある。 「量」の集合知というのは、その名のとおり知の量そのもの。何にも処理しない大量の生データとか、それらを処理して統計的なデータにしたものとか。 たとえば何かのアンケートを取ったときの回答用紙の束やそれらの集計…

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「知の性能」が目に見えてくる社会(文章の格調について考える その2)

田坂氏によれば、Web2.0革命後は、苦労して学んだ「知識」がすぐに陳腐化して「知識」が価値を失っていく社会になってゆくという。 [Asagi's photo]より 誰でも情報を扱えるようになり、それが文字だけでなく、YOUTUBEといった音声や映像情報をも発信できるようになる社会では、既存の情報の持つ意味が変わってくるということなのだろう。 特に知識が価値を失うとい…

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ウェブ2.0革命(文章の格調について考える その1)

文章の格調について考えてみたい。全14回シリーズでエントリーする。 最近流行りの言葉で「Web2.0」というものがある。これは、2004年にティム・オライリーらによって提唱された、ウェブの新しい利用法を総称するマーケティング用語のこと。 始めてこの概念が提唱されたとき、その定義が明確でなかったこともあって、その後このWeb2.0という言葉は色々な人がいろいろな解釈で使用…

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