「おくりびと」と洗脳不況

「おくりびと」がアカデミー賞を受賞した。日本作品として初の外国語映画賞だそうだ。 配給元・松竹の海外ライセンス室には海外のバイヤーからの配給オファーや問い合わせが殺到しているという。各地の映画館では立ち見がでるほど客が押しかけ、上映期間を延ばす映画館も出ていて、福岡市の映画館では、通常の2倍以上の客が来ているとの喜びの声。 こういう「おくりびと」フィーバーをみるにつけ…

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真田忍者とアルファブロガー(麻生政権の支持率回復の可能性について 最終回)

「日本の歴史と文化に敬意を表したいから」 先に来日したヒラリー・クリントン国務長官が、明治神宮を訪れた際、沿道からの記者の呼びかけに対する答え。 実は、クリントン国務長官は、来日中記者だけでなく、一般ブロガーも同行させたそうだ。同行したブロガーはフリージャーナリストの中岡望氏で、自身のブログでその顛末を公開している。 このブロガーを同行させて取材させるという手法を麻…

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上田城合戦 (麻生政権の支持率回復の可能性について その3)

「ことごとく腰がぬけはて、震えて返事も出来ず、下戸に酒を強いたるが如し」 大久保彦左衛門『三河物語』より。 戦国時代には、圧倒的少数で篭城戦をして攻城側を撃退した例がいくつかある。中でも有名なのは、なんといっても上田城合戦だろう。 天正十三年(1585)八月二日、徳川家康は鳥居元忠を総大将として平岩親吉、大久保忠世らにおよそ7千から1万の兵を率いさせ 真田領に侵攻さ…

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包囲する勢力(麻生政権の支持率回復の可能性について その2)

篭城戦に入っている麻生総理。味方の県連や麻生総理を応援する国民はいることはいるのだけれど、敵対勢力にすっかり城が包囲されているから、味方とは分断されている。 麻生城下の民衆の数、つまり有権者は物凄く多いから、彼らを味方につけることができれば、包囲している敵など蹴散らせる。だけど城下の民衆は、じっと様子を伺っている。篭城している麻生軍ももう駄目じゃなかろうか、と見ている。 …

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麻生篭城(麻生政権の支持率回復の可能性について その1)

久々に国内政局について。全4回シリーズでエントリーする。 支持率が低迷し、政権末期とも言われる麻生政権。 かんぽの宿、郵政見直し発言、小泉発言、中川財務相辞任と俄かに政局が騒がしくなってきた。現今の状況を少し戦国時代風に、敵味方を整理してみると次のようになろうか。 味方:与党:麻生総理、閣僚、官邸、麻生派、外資族以外の自民党議員、公明党 敵:与党離反組:小泉元総理、自…

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森野榮一氏緊急懇話会参加報告

  2月21日にTKP虎ノ門ビジネスセンターで行われた、森野榮一氏緊急懇話会に参加してきました。 会場はなかなかの盛況で、熱気にあふれていた。 国際平和協会主催の本懇話会の参加も4回目になって、顔見知りの方も増えてきました。 森野氏の講演の概略は、国際戦略コラム(No.3211)にてご報告されているので、そちらを参照ください。 森野氏のお話は非常にわかり易く、か…

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麻生叩きの応報

   景気対策が進まない。もちろん何でも反対の人達がいるお陰。 先日、内閣府が発表した10-12月期の実質GDPは、前期比マイナス3.3%、年率マイナス12.7%で、戦後2番目の下げ幅を記録した。 勿論、10-12月期の結果から年率換算した予想値だから、今のペースで不況が深刻化していくという前提での話なのだけれど、それにしてもマイナス12.7%というのは尋常ではない数字。イ…

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価値の本質(価値と貨幣について考える 最終回)

ゲゼルマネーや地域通貨のように、減価したり、特定の地域でしか使えない貨幣のように貨幣の持つ価値の保存機能や交換機能に一定の制約を加えるやり方は、財やサービスの対価は、貨幣そのものではなく、貨幣の額面に示されるところの財やサービスそのものなのだという原則、すなわち価値と価値の交換であるのだ、という考えに基づいている。 価値はそれ自身に時間を内包していて、生生流転の法則に則って、生…

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地域通貨とスイカ(価値と貨幣について考える その12)

  地域通貨には、その発行方式によって大きく次の4つに分類される。 ①紙幣タイプ(スタンプ貨幣・エコマネー): 集中発行方式 ②通帳タイプ              : 分散発行・分散管理方式 ③口座タイプ              : 分散発行・集中管理方式 ④借用証書タイプ            : 個人発行方式  ①のタイプは、管理事務局などが独自の目に見える地…

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ゲゼルマネー(価値と貨幣について考える その11)

  こうした貨幣の特権に対して警鐘を鳴らした人物がシルビオ・ゲゼル(1862 - 1930)だった。 ドイツ経済学者であるゲゼルは、その著書「自然的経済秩序」において、通貨だけが減価しないために、ある程度以上の資産家が金利生活者としてのらりくらり生きている現状を指摘して、その解決手段として、自然通貨という概念を提唱した。 自然通貨というのは文字どおり、時間の経過と共に価値を…

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金利の特権(価値と貨幣について考える その10)

  利子とは、貸借した金銭などに対して、ある一定利率で支払われる対価。特にお金に対する利子を金利と呼ぶこともあるけれど、要は、お金を借りたら、熨斗をつけて返すという決まり。今の世の中では、借りたお金を返済するときに、元金に利子をつけて返すのが当たり前になっている。 この利子というものを価値の尺度から考えてみる。 売買行為において、貨幣で示される価値が、何某かのサービスなりモ…

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貨幣の持つ2つの機能(価値と貨幣について考える その9)

  何かの商品が市場に広がる過程において、その商品は売買行為によって所有権の授受が行なわれ、その対価として貨幣が支払われる。 貨幣には2つの機能がある。物の売買をするときの「交換機能」と貨幣に記され保障されている価値の「保存機能」がそれ。 もしも貨幣に「交換機能」がなく「保存機能」だけしかなかったとしたら、買い手の現われない骨董品や宝石と同じで、いくら高額の(保存しかできな…

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規制と流行(価値と貨幣について考える その8)

「官僚は虫歯みたいなもの。抜いてしまったほうが国民はよほどよいサービスを受けられる」 2005年に亡くなった、ヤマト運輸元社長の小倉昌男氏の言葉。 小倉氏は「ミスター・規制緩和」とも呼ばれ、今では当たり前となっている宅配便サービスを普及させるにあたって、当時の規制と戦い、それらを打ち破っていった。 始めは関東地方から始まった宅急便がやがて全国に拡大していく途上で、…

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市場が飽和するとき(価値と貨幣について考える その7)

価値は、それが供給され続ける限りにおいて、市場に普及してゆく過程で富に置換されてゆくけれど、ある商品が市場に完全に普及し尽くしてしまうと、それ以上の富への置換ができなくなる。 ぶっちゃけていえば、儲けられなくなってしまう。そうするとまた次の価値なり製品なりを市場に出して、次の儲けを考えなくちゃならない。そのためには、次に示すように大きく4つの方法がある。 1.普及し…

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富の堆積(価値と貨幣について考える その6)

ある商品が市場に投入され、多くの人々に広く受け入れられると、その商品は時間と共に市場全体に広がってゆく。 別の言い方をすれば、何某かの価値は、所有権の授受によって居場所をかえながら、富となって社会に広がってゆくということ。 尤も、広がってゆくといっても生生流転の法則がある限り、その富は未来永劫不変という訳ではなくて程度の差こそあれ、価値は時間減価してゆくから、長い年月の…

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時間を凍らせる(価値と貨幣について考える その5)

「客観的時間」を支配する生生流転の法則って何かというと、物が腐るか、機能的に古くなって使えなくなるということ。人にとって有益な期間を超えてしまうこと。 そして、「主観的時間」を支配するニーズの変化というのは、人々が求め、欲しがるものが、その時代の要請や環境変化によって変わるということ。 だから、何かの商品を市場に出して売るということは、「客観的時間」と「主観的時間」の二…

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価値と値段(価値と貨幣について考える その4)

物の値段は価値そのものだけでは決まらない。物を作って店頭に並べるまでの費用とそれを欲しいと思う人の財布との兼ね合いがものを言う。 物を作る為の労働価値にも、物を使うことで得られる効用価値にも、どちらにも時間というパラメータが含まれていて、それらは更に、時計の針で測ることのできる「客観的時間」と個人の使い方でその密度が変わる「主観的時間」のふたつに分けられる。 物の価値を…

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価値の経験と発見(価値と貨幣について考える その3)

価値を価値として、規定するものは何かと言うと、経験と発見がそれ。 長い年月をかけての経験は、価値を価値足らしめる時と条件を決めてきた。河豚を食べるときでも慎重に毒のある部分を取り除いたりできるのも経験のお陰、あの堅い竹であっても筍の時であれば美味しく食べられるというのもそういった経験があってこそ。 大切な経験は、人から人へ、子から孫へ知識として伝えられ、やがて文化や伝統…

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価値が内包する時間(価値と貨幣について考える その2)

命の性質や嗜好の度合いによって価値の程度も変わるといったけれど、「価値」単独でその性質や度合いが変わることはないのかといえば、やはりある。 キャベツは最初から丸いキャベツの玉としてあるわけじゃない。秋に種をまいて、育ててやって冬から春先にかけて収穫してやっとキャベツになる。もちろんそれは人間にとってのキャベツの話。 キャベツを収穫しないでそのままにしておくと花が咲いて、…

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価値を規定するもの(価値と貨幣について考える その1)

価値と貨幣について考えてみたい。全13回シリーズでエントリーする。 (今回の思索は、「商品価値について」のシリーズエントリーを土台としていますので、こちらも参照いただければ幸いです。) WEB辞書によれば、価値というものは次の3つに定義されている。 1.物がもっている、何らかの目的実現に役立つ性質や程度。値打ち。有用性。 2.あらゆる個人・社会を通じて常に承認され…

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■ 商品価値について

  今日は、諸事情により過去エントリーの再掲とさせていただきます。 1.商品価値の世界 経済学における商品価値については、様々な説や理論があるけれど、古典経済学から近代経済学においては大きく二つの説とその変遷がある。 古典経済学における「労働価値説」と、近代経済学における「効用価値説」がそれ。 労働価値説とは、商品の価値をは一定の商品のうちに含まれている社会…

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タイムラグとバーター取引(人民元切り上げとガイトナー発言について 最終回)

アメリカが中国への人民元切り上げ圧力をかけるのは、米国債を買ってもらうことと、アメリカ製品を買ってもらうという狙いがあるのではないかといったけれど、中国がバイ・アメリカンの報復として、アメリカ製品を輸入しなくなれば、中国にアメリカ製品を買ってもらうという当初の目的が果たせないのではないかという疑問は当然ある。 だけど、そこにはある種の「タイムラグ」が存在してる。 今現在…

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ガイトナーの罠(人民元切り上げとガイトナー発言について その2)

中国は反発をすると、抗議の意思を示すのに全然別の事で直接的な嫌がらせをしてくる傾向がある。対象国の製品に禁止薬物が検出されたとかなんとかいって輸入を止めたり、高率の関税をかけたりとか。一種の指桑罵槐の手口。 だけど、それこそがガイトナーの罠のように見える。その鍵を握るのが「バイ・アメリカン条項」。 「バイ・アメリカン条項」とは、米下院が1月28日に可決した約8200億ド…

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アメリカによる人民元切上げ圧力(人民元切り上げとガイトナー発言について その1)

ガイトナー発言と人民元切り上げについて考えてみたい。全3回シリーズでエントリーする。 「オバマ大統領は中国が為替を操作していると確信している」 先月の米上院財政委員会への書簡の中で明らかになったガイトナー財務長官の発言。 人民元がその実力に対して不当に低く操作されているのだ、と。このガイトナー発言は無論狙って行なったものだろう。 元をドルに対して高くした…

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サブマリンレーンとシベリア新幹線(アジア覇権とエネルギー戦略について考える 最終回)

  「人類は当面、温暖化対策に取り組む必要がある。自分やその子どもの時代はともかく、さらに次の孫の時代にCO2で人類が滅亡することを想像すれば、現在、その対策に手をこまねいている時ではないことがわかるはずだ」 2008年3月に行なわれた、先端技術産業戦略推進機構(HIA)の国際シンポジウムでの西澤潤一首都大学東京学長の講演での発言。 西沢潤一氏はその中で、環境問題の少ないミ…

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日印安保共同宣言とシーレーン防衛(アジア覇権とエネルギー戦略について考える その5)

  中国は空母の建造にも着手している。2009年から、上海で空母建造を始め、2015年までに5万~6万トン級の中型艦2隻の完成を目指すという。また、ロシアの協力を仰ぎながら、艦載機パイロットの養成にも着手している。 空母は当然艦載機を搭載できるから、空母を持つということは、空母の活動範囲内での制空権をも持つことを意味する。最も制空できうる戦闘機を搭載することが前提の話なのだけれど…

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真珠の紐戦略(アジア覇権とエネルギー戦略について考える その4)

  「中国には広い沿海部がある。領海主権と沿海部の権益を守ることは中国軍の神聖な職責だ」 2008年12月23日に、中国国防省の黄雪平報道官は記者会見でこう述べた。 中国は、マラッカ海峡近くのインドネシア領の島に潜水艦基地を建設しているし、米国務省の内部リポートでは、中国はパキスタンやバングラデシュ、ミャンマー、カンボジア、タイ、南シナ海の島などに潜水艦用の基地や施設を設け…

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ディバイド・アンド・ルールと第三計(アジア覇権とエネルギー戦略について考える その3)

  宗主国が植民地を効率よく統治する方法として「ディバイド・アンド・ルール」というものがある。ディバイド・アンド・ルールとは分割統治の意味で、統治相手の内部を分断して対立させ、宗主国への抵抗運動の力を削ぐために使われた方法。 たとえば、一九〇五年に行われた、インドのベンガル分割などがそれ。 当時イギリスはこの地方の反イギリスの動きに対して、ディバイド・アンド・ルールを仕…

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