一門の力(政治家の世襲問題について考える その7)

  政治家は国民の代表であるべきか、それともプロの実力を持つ政治家であるべきか。勿論両方共に備えていることが理想だし、そうでなくちゃいけない。 国民の代表だけれども、政治の素人であったら、官僚のなすがままにされてしまう危険があるし、政治のプロだけれど、国民の代表という意識がなかったら、利権を欲しいままにすることだってある。 それを、食い止めるために選挙というものがあるという…

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世襲という看板(政治家の世襲問題について考える その6)

  「いよいよ、九代正蔵を襲名いたしました。これもひとえに、長く温かい目で見守っていただいた皆様のご声援のおかげと、心より感謝しております。江戸より続く名跡を立派に継ぎ、七代目の祖父をはじめ歴代の正蔵の名に恥じぬよう、これからも精進していく所存であります。どうぞ末長く、ご贔屓のほどお願い申し上げます。」  2005年吉日 林家正蔵 政治家が自分の地盤を息子・娘に継がせるときに、後援会…

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徳治主義と民主主義の隙間(政治家の世襲問題について考える その5)

「鼓腹撃壌」はその前提として、仕事があり、住処があり、食糧が行き届いていなければ、成立しない。戦後の高度経済成長がそれに大きく貢献したことは否定しない。 そもそも民主主義とは、自分の国のことは国民皆で話し合って決めようという制度だから、お上から何々はご禁制である、という具合に問答無用で規制されることはない。原則論としてそう。ゆえに国民ひとりひとりの能力が最大限に発揮されること…

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鼓腹撃壌の日本(政治家の世襲問題について考える その4)

有老人、含哺鼓腹、撃壌而歌曰、「日出而作 日入而息 鑿井而飲 耕田而食 帝力何有於我哉」 老人有り、哺を含み腹を鼓うち、壌を撃ちて歌ひて曰はく、「日出でて作し 日入りて息ふ 井を鑿ちて飲み 田を耕して食らふ帝力何ぞ我に有らんや」と。 口語訳:また一人の老人が口に食物をふくみながら、腹つづみをうち、足で地面をたたいて拍子をとりながら、「おてんとうさまが上れば耕作に出かけ、おて…

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地盤・看板・鞄は民主主義のコストを最小化する(政治家の世襲問題について考える その3)

選挙に勝つためには、「地盤」「看板」「鞄」の所謂、三バンが必要だとは良く言われること。 「地盤」とは、選挙区内における支持者の組織、団体のこと。 「看板」とは、広く一般にその名が知られていること。知名度があるということ。 「鞄」とは、選挙資金がそれなりにあるということ。 日本の選挙での当落は後援組織の充実度、知名度の有無、選挙資金の多寡や集金力の多少に依存し…

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政党助成金(政治家の世襲問題について考える その2)

 首相 「テリーさんね、例えば、小選挙区約40万人。有権者40万人。そのうち10万人にテリー伊藤のパンフレット。郵便代切手80円。印刷代、封書して印刷しますから、それで約10万人かけますと、印刷代、封筒代何とかで最低200円。それでかける80円、足す80円。280円かける10万円、それで2800万円ですよ。あれだけ1枚で。これだけお金がかかるということはテリーさん、それだけかかると思ってお…

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民主主義のコスト(政治家の世襲問題について考える その1)

政治家の世襲問題について考えてみたい。 全9回シリーズでエントリーする。 「基本的に、企業も社会の中において、民主主義のコストを払うべき立場にあるんではないかと。したがって、その、企業団体の、いわゆる自由というもの、認めてしかるべきだし、企業団体側から献金が政党に出されて、なされたということを、禁止っていうのが、よく私には理解ができないところですけどね。」 4月28日のぶら下が…

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祝!日比野庵 電子書籍化のお知らせ

今日のエントリーは宣伝です。ブログのトップページが少しリニューアルされたのをお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、日比野庵がでじたる書籍になりました。  といっても紙媒体での書籍化ではなく、でじたる書房さんでの日比野庵の電子書籍化です。  題名は「日本的価値観の構造」。価格は399円(税込み)です。 でじたる書房とは、インターネットから気楽に時…

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F22の対日輸出可能性検討修正条項可決

    米下院軍事委員会は、2010会計年度の国防予算権限法案の中に「対日輸出の可能性の検討」を求める修正条項が盛り込まれ、16日の下院軍事委員会で可決されていたことが明らかになった。 といってもまだ下院を通過しただけであって、本成立には本会議での採択と大統領の署名が必要だから、まだまだどうなるか分からない。だけど、もし本成立した場合は、30日以内に以下の5項目について、議会に…

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聖地と皆既日食~日本のソフトパワーについて

  アニメやマンガ、ゲームに登場した場所のモデルやロケ地を訪れる行為を「聖地巡礼」と呼ぶそうな。 美水かがみ作の4コマ漫画「らき☆すた」に登場する主人公の女子高生4人のうち2人姉妹の住む「鷹宮神社」のモデルが、埼玉県の鷲宮神社とされ、平成19年の夏ごろからファンが詰め掛けていたという。昨年の初詣などでは、前年から17万人増の30万人が訪れた。 また、箱根町はヱヴァンゲリヲン…

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鳩山五人衆 (鳩山元総務相辞任について 後編)

一連の鳩山元総務相辞任劇が麻生総理の深謀遠慮だったとしたら、この辞任劇が起こす影響は大きい。それは、国民に対して政治家の色分けを行なうという効果があるという点。 少なくとも、郵政問題で、鳩山元総務相を支持する支持しない、又は西川社長の続投を支持するかしないかによって、どの代議士がどういう立ち位置にいるのかが明確になってしまう。 小泉元総理が郵政解散を行なって、反対派には…

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わしは卑怯な男だ、薄情な男だ(鳩山元総務相辞任について 前編)

鳩山元総務相辞任について。全2回でエントリーします。予め、唯の想像に過ぎないエントリーであることをお断りさせていただきます。 「郵政会社は、これは民営化された会社です。100%、政府が株を持っているとはいえ、間違いなくこれは株式会社でありますんで、そういうような株式会社、民営化された株式会社に対して政府の介入を最小限にとどめるのは当然だと私はそう思っています。・・・・  従いまし…

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国家100年の計か目先の小銭か

6月17日、2回目の党首討論が行われた。 一部の新聞では、あたかも鳩山党首が終始優勢であったかのような報道も見受けられるのだけれど、内容は、友愛論の鳩山党首と具体策は何だと問いかける総理の構図で前回とあまり変わっていない。 内容の概略の代わりに、毎日jpより見出しだけ列挙すると次のとおり。 党首討論:【詳細速報その1】鳩山代表、日本郵政社長人事で「総理は判断できない、…

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パリ郊外Chapet村の山下農園

「わたしがやりたいのは、蕪みたいなフランスにも普通にあるベーシックなもので、日本の野菜のすごさを見せたいんですよ。だって、美味しくないじゃないですか、フランスの野菜」 パリから20分ほどの近郊の小さな村で、「オートクチュールの野菜」と呼ばれる極上の野菜を作っている日本人がいる。山下農園を経営する山下朝史さんがその人。 彼のつくる野菜にはフレンチのグランシェフたちからのラ…

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F22はニュータイプ仕様

昨日のエントリー続きとして、F22とユーロファイターの比較をしてみる。 ジェット戦闘機は1940年代に初登場したジェット戦闘機を第1世代として、現在最新のF22までの第5世代までに分類されている。おおよその分類と代表機種を次に示す。 世代   年代    特徴  代表機種 ------------------------------------------------…

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F22とF35はガンダムとジムくらい違う

  先日12日、航空自衛隊の外薗空幕僚長は、来年度の予算概算要求までにF22の情報が得られない場合、1年先送りする可能性があることを明らかにした。 アメリカは輸出禁止しているF22に代わってF35を進めているのだけれど、日本政府はまだF22を諦めていない。 F22は、第5世代の戦闘機でそのステルス性能が注目されるけれど、そこに使われている技術や性能を見ると、現代のゼロ戦と呼…

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北朝鮮制裁決議

  6月13日、ようやくのことで、国連安保理で、北朝鮮に対する制裁決議案1874が参加15理事国による全会一致で採択された。 決議は下記に示すとおり、貨物検査と金融制裁、武器禁輸を柱とし、物資と資金の封じ込めを図るもの。 1.北朝鮮に大量破壊兵器開発の関連物質の輸出入を禁じる 2.関連物質を運搬している可能性がある船舶などを検査する 3.大量破壊兵器の開発資金の流れを断…

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諸葛孔明の八卦の陣の本質はゲリラ戦法

本日から、日比野庵は通常営業再開いたします。今日は軽い話題&ただの感想エントリーです。 先日「レッドクリフⅠ」を遅ればせながらDVDでみた。 一言でいえば、三国志演義を更に演義にしたような感じ。三国志演義[演義]というところか。 長坂の戦いに関羽がいるは、張飛の長坂橋仁王立ちも無いし、孔明と周瑜が最初から仲良かったり。三国志ファンには不満が残る作品かもしれない。 …

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覚悟という試金石(総選挙の争点 最終回)

   民主党では「覚悟」は示さないし、示せない。 単に記者会見なり、街頭演説なりでの発言を聞いているだけでは、自民党と民主党の外交政策に違いはそれ程無いように見えるかもしれない。だけど決定的に違う部分がこの「覚悟」。 麻生総理が指示したように、こうした「覚悟」を選挙公約に盛り込むというのは、自民党と民主党との違いを浮き彫りにする上ではとても効果がある。だけど、それを総選挙の…

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「友愛」は北朝鮮に通用するのか(総選挙の争点 その2)

  麻生総理は、6月7日の夜に細田幹事長らと会談して自民党のマニフェストは、経済対策や外交・安全保障政策などに重点を置いて検討するように指示をしている。その狙いは、民主党との政権担当能力の違いを明確にするためだとしている。それはそのとおり。 民主党鳩山代表は5月26日、党の定例記者会見で記者の質問に答えて、北朝鮮への対応に関して政府と民主党とでは、そのスタンスが大きく変わることは…

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戦うべき時は戦う(総選挙の争点 その1)

  麻生総理は6月7日の都内での街頭演説で、北朝鮮の核・ミサイル問題について「戦うべき時は戦う、という覚悟だけは持たなければ、国の安全を守れるはずがない。」と発言した。 4/10エントリーの記事「覚悟のススメ」にて、もはや北朝鮮とは準戦争状態にあると認識すべきであって、経済制裁やら安保理決議やらといっても最後の最後にモノを言うのは自身の「覚悟」といったけれど、麻生総理自らそのもの…

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日比野庵はしばらく仮営業になります。 ⇒ 6/11追記 ぼちぼち通常営業に戻ります。

突然ですが、残念なお知らせです。 管理人のPCがクラッシュしてしまい、復旧がいちじるしく困難な状態のため、当日比野庵をしばらくお休みさせていただきます。 2007年4月の開設依頼、一日も休まず更新を続けてきましたが、こんなことで一時休止になるのは断腸の思いですがどうにもなりません。  再開まで気長にお待ちいただければ幸いです。 日比野寿舟 追記:  旧PC…

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電子な「円」

  東京都内の駅前商店街で、「Suica(スイカ)」や「PASMO(パスモ)」がそのまま使える地域限定ポイントカードの導入が広がっているそうだ。 以前、「地域通貨とスイカ(価値と貨幣について考える その12)」エントリーで指摘したけれど、スイカはJR全路線内で流通する地域通貨。その流通範囲が駅前商店街に広がってきたということは、本格的に地域通貨が流通する兆しなのかもしれない。商店…

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南アフリカWカップ出場決定!

素人の感想エントリーです。 ひとまず。おめでとう。サッカー日本代表vsウズベキスタン代表は1対0で勝利を収め、ワールドカップ出場を決めた。 それにしてもタフな試合だった。長谷部のレッド、岡田監督の退場とアウェイジャッジもあったけれど、よく凌いだという印象。アウェイジャッジはFIFA理事選挙ブルーレイディスクの返礼だったということにしておこう。 岡崎のゴールは値千金…

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討論の中身の分かりやすさ(党首討論についての雑考 後編)

  党首討論が導入される前の国会での質疑に対する回答は、政府委員と呼ばれる各省長の局長級、要するに官僚が行なっていた。だけどそれは官僚主導政治であり、国会審議の低調を招くとして、政府委員制度の廃止に伴って、議論が高まって党首討論が制度化された経緯がある。 それはそれで、制度として政治をオープンなものとするものではあるけれど、それが有効に機能するかどうかはそれを如何に使うかに掛かっ…

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ぶらさがりクエスチョン(党首討論についての雑考 前編)

  党首討論についての雑考を。全2回シリーズでエントリーする。   5月27日、麻生総理と鳩山民主党代表との間で党首討論が行なわれた。 話が噛み合わないとか、どちらが勝ったとか負けたとか喧しいけれど、元々党首討論は勝ち負けを云々するものじゃない。 党首討論はイギリス議会のクエスチョンタイムをモデルにして、1999年11月から行われるようになった。 イギリスのクエス…

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核心を突くたけしのコメント

  今日は軽い話題で。。 5月30日放送の情報7Daysの中でビートたけし氏が実に核心を突いたコメントをしていたのを偶然耳にした。 放送を見たのは途中からだったのだけれど、日本の借金が膨らんで返済できなくなるからヤバイといった主旨の話をしていたときのこと。 録画していたわけではないので、記憶が頼りなのだけれど、たけしのコメントは、大体次のようなものだった。 …

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レアメタルの獲得と再生(エコカーと資源について 後編)

こうした資源獲得にたいする対策として考えられる方法は2つある。ひとつは資源埋蔵場所を新たに探索、発掘すること。もうひとつはレアメタルを回収・リサイクルする技術を開発すること。 前者については日本の排他的経済水域(EEZ)と大陸棚延伸可能域内にはレアメタルを含む海底熱水鉱床やコバルト、銅、白金を含むコバルト・リッチ・クラストなどが多数発見されている。海底熱水鉱床では世界第一位、コバル…

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エコカーの時代(エコカーと資源について 前編)

  エコカーと資源について、全2回シリーズでエントリーする。 新型プリウスが爆発的に売れているという。発売直前の時点で先行予約は8万台を超え、発売後1週間で更に受注が伸びて、11万台を突破した。あまりの売れ行きに生産が追いつかないほどだという。 エコカー減税の効果ももちろんあるのだろうけれど、ハイブリッド等の環境技術はますます注目され、購買意欲に一役買っているのは間違い…

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タッピングミサイル(北朝鮮の核実験とミサイル発射について 補追1)

  北朝鮮の核実験とミサイル発射について、補追1としてエントリーする。 北朝鮮は29日に日本海に向けて、6発目のミサイルを発射した。しかも今度は新型の地対空ミサイルのようだ。 また、30日にはテポドン2とみられる長距離弾道ミサイルの発射準備を進めていると米偵察衛星が探知している。 新聞の見出しではないけれど、まさに乱れ打ちの様相を呈している。 それにしても今回の…

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