2014年7-9月期GDPは予想外のマイナスだった

 
今日はこの話題です。

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11月17日、2014年7~9月のGDPの速報値が発表された。その値は実質で-0.4%、年率換算で-1.6%と2期連続のマイナス。

消費税増税前の駆け込み需要の反動減が長引き、自動車のほか、パソコン、エアコンなどの家電製品の落ち込みが目立っている。特に住宅投資が6.7%と大幅マイナスに加え、企業の設備投資も0.2%のマイナス。僅かに個人消費が4-6月期マイナス5.0%だったのが、プラス0.4%と水面の上に顔を出したくらい。

確か前回の4-6月期のGDPが大幅マイナスだったときは、国内のエコノミスト達は、駆け込み需要の反動減によるもので、7-9月期は年率換算でプラス4.08%と大幅回復といっていた。直前になって、2.47%と下方修正したようだけれど、蓋をあけてみれば大外れ。プラス2%どころかマイナス成長。

当時、筆者は「2014年4-6月期のGDP大幅マイナス」のエントリーで、そんな急回復なんてあり得るのか、と疑問を述べたけれど、やはり思ったとおり。

この結果を受けて、安倍総理大臣と麻生副総理兼財務大臣は対応を協議し、消費税率の10%への引き上げを先送りせざるをえないという認識で一致したようだ。

また、菅官房長官も政府・与党の幹部会合で、安倍総理が18日に行われる有識者会合の意見を聞いた上で、消費税率の引き上げについて判断すると述べている。この間は、速報値と12月の確定値をみて判断すると言っていたのに、速報値だけで判断すると変わった。まぁ、ここまで酷い値だと確定値を見るまでもないということなのだろう。

だけど、この結果を受けてもなお、増税すべきだという人たちがいる。

17日に行われた政府の4回目の消費税有識者会合では、10人中7人賛成、2人反対、1人その他と、賛成が多数になっている。この結果が出てもなお増税すべきだという気がしれない。ただ、増税すべきだとしている有識者の中には、一定の経済対策を実施したうえでと条件を付けている人もいる。

だけど、それをいうのなら、消費増税の悪影響を打ち消すだけの経済対策とは一体何なのかを示すべきではないかと思う。消費増税は、アベノミクス効果を台無しにしてマイナスに潜る程の物凄い悪影響を及ぼした。であれば、それを帳消しにするほどの経済対策は、アベノミクス以上のものということになる。そんなことをやらなければならないのなら、消費税を5%に戻すほうが余程経済対策になるのではないか。

よもや、有識者会合の面々にまで財務省が手を回しているとは思いたくないけれど、財務省は、自民党議員に対して、増税容認に傾けさせようと盛んに「工作活動」をしていたという。

何でも、財務省幹部は、再増税に慎重な議員に集中して工作し、再増税をしきりに訴えたという。ある若手議員には「社会保障費が膨れ上がる中、消費税率がこんなに低いのは、国民を甘やかすことになる。経済が厳しくても10%に上げるべきだ」と言い放った。若手議員は「景気はかなり悪い」と反論すると、その幹部は「景気は回復していきます」といったのだという。

「アベノミクスを成功させる会」会長の山本幸三議員は、10月下旬に会合への出席者が減ったことについて「財務省が根回しをしている」と漏らしていたというから、凄まじいまでの工作をしているのだろう。

こうした財務省の工作を察知した官邸が激怒したことも、安倍総理が衆院解散を決意した遠因だとも言われている。今回の解散には大義がないとも一部で批判の声があるけれど、であるならば、財務省は、その原因の一部に加担したことになる。

どこぞの財務省幹部が「消費税率がこんなに低いと国民を甘やかす」と嘯いたそうだけれど、それをいうならまず自身に厳しくあるべき。

先日、国家公務員の給与が7年振りに引き上げられたけれど、いっそのこと、7-9月期のGDPがマイナス1.9%だったから、財務官僚の給与もマイナス1.9%にするという具合にGDPに連動して、同じだけ給与も変動させてみたらどうか。きっと、国民の模範たるべく、率先してやってくれるに違いない。

それはさて置き、政府は消費を回復させるべく、対策を打つ必要に迫られた。増税先延ばしは単なる現状維持にしか過ぎないから。

仮に、今回の消費の落ち込み(鈍い回復)が、来年の増税に備えての買い控えであれば、増税先送りによって回復する可能性はある。ただ、そのときは、増税の時期が近づいてくると、また今回と同じく買い控えを始めることが予想される。それを考えると、増税先送りによる景気回復効果は、いつまで先延ばしするかという期間に大きく左右されると思う。

今のところ、1年半なんて数字が取り沙汰されているけれど、それで十分に回復しなかったらどうするのか。先の事なんて分からないし、1年半後に第2のリーマンショックが起こらないとも限らない。経済は生き物。それを本当に分かっているのなら、再増税の時期なんて明記すべきじゃない。

この記事へのコメント

  • almanos

    いっそ、実験として「減税したら税収が減るか? 」を試す為に消費税を3%に戻してみたら良いんですよ。後、色々控除をいじくったのも元に戻す。財務省は壮絶に嫌がるでしょうが「増税しないと税収が減る事を証明できるだろうが」と安倍政権で押し切って一年くらいやってみる。多分税収は増えます。税収増えたら「お前らが間違いだという証明だ」としてとかできんものですかね?
    2014年11月18日 06:32
  • 白なまず

    実験するのは血を流す覚悟が必要だ!と言う反日勢力が居る事でしょうから、日本のお家芸のスーパーコンピュータで計算すれば天気予報の様に詳しく振る舞いが解明されると思います。その為に様々な分野の学者などを総動員して様々なモデルを作り計算してみる。経済成長と税収、人口と経済成長、労働人口と経済成長など、、、又、財務省に洗脳されるといけませんから、モデルを沢山用意して様々な角度から比較できる結果だと、針小棒大な嘘理論に惑わされる事は少なくなると思います。そして、なにより、役人のインセンティブが国益、国民益でなく自分のお金ならば、経済成長と連動する報酬は効くのでしょうね。
    2014年11月18日 10:42
  • pink coral

    >法人減税の税収低下を、消費増税として補填するというトリックです(財務官僚のシナリオ)。 外交と安全保障の立法では安倍政権を高く評価しますが、経済政策では支持できません。橋本政権時と同じで容易に予想されたことです。 法人税を増税し内部留保を(金融投資は除外して、国内設備投資、国内研究、国内雇用の税制優遇などで)吐き出させる>国内市場に貨幣が流れるような税制に改めるべきと考えます。
    2014年11月18日 16:20
  • 泣き虫ウンモ

    経済の見通しが明るくないと、企業というのは借金を返すか貯蓄をするかという選択しかありません。
    内部留保もせいぜいリスクヘッジのために、金融取引に回ります。
    日本と言う国は、財政均衡を必要以上に考えなくても良い国なので、そこらへんから考え直して税制を抜本的に見直せば良いのです。
    2014年11月19日 21:29

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