平昌冬季五輪と分散開催について

 
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12月8日、国際オリンピック委員会(IOC)は、モナコで開かれた第127回総会で、「五輪アジェンダ2020」を承認した。

これは、トーマス・バッハIOC会長が進める中長期改革。アジェンダでは、実施競技の夏季五輪競技の28枠の撤廃と、大会の肥大化抑制のために夏季五輪が参加選手数は約1万500人と約310種目、冬季五輪は約2900人と約100種目にすることを掲げ、また、招致プロセスも立候補都市のコスト削減策を盛り込み、これまで単一都市で開催してきた五輪を国内都市で分散開催することや、冬季五輪では例外的に国外都市との共催も認めるとしている。

夏季五輪競技枠の撤廃について、バッハ会長は「これまで28競技の上限は確たる理由もなく、形式的な数字だった。今後は種目に重点を置く考え方にシフトし、柔軟な改革を目指す」と説明している、また、招致プロセスの見直しについては、2022年の冬季五輪招致で立候補都市の撤退が相次いだことを考慮したものとみられている。

分散解散について、12月6日、バッハ会長は「アジェンダ2020が可決されると同時に、直ちに(平昌と)関連議論を始めることになるだろう」と述べている。

これは、2018年の平昌冬季五輪が財政難から、その準備が遅れていることが指摘されているため。開閉会式会場にしても、コスト面から一時は、平昌から約60キロ離れた江陵総合運動場を改装して開閉会式場としようとする案が出たようなのだけど、現地周辺には道路があり、アパートが立ち並んでいて、出入り口と聖火が入る場所はもちろん、オリンピックプラザなどの附帯施設が入る場所など何処にもないという有様。また、「開・閉会式は必ず主催都市で開かれなければならない」というオリンピック憲章34条の壁もあり、計画は元の平昌で、となった。

平昌冬季五輪には開閉会式場以外に合計13の競技場が必要になるそうなのだけれど、それらは、ようやく着工したばかり。10月時点ではそのうち3つの競技場しか着工してなかった。

中でも、韓国国内の一部関係者や五輪関係者からは、膨大な費用が見込まれる「そり競技」の会場建設に懸念が出ていて、今月になって、ボブスレーなどの「そり競技」を長野五輪で実績のある日本で開催する分散案が、韓国内の一部関係者やIOCの関係者らの間で急浮上した。

12月6日、IOCのリンドベリ調整委員長は「そり競技施設の建設は大きな負担になり、大会後の利用も難しい。平昌は賢明な判断をすべきだ」と、海外の既存施設利用を促す考えを示唆。7日には「決定権は結局、平昌が持っている。…世界12カ所の分散開催候補地がある」と重ねて述べた。IOCも相当焦ってる。

そしてリンドベリ調整委員長は、12月8日、AP通信のインタビューに対し「五輪そり種目を行える外国の競技場12カ所のリストを来週までに平昌五輪組織委に伝える。IOC提案を受け入れるかどうかの決定権は平昌にある。決定期限は来年3月末だ」と最後通牒を突きつけた。

リンドベリ調整委員長は「外国に既にあるスライディングセンターを利用すれば、平昌が建設費のかなりの部分と、年間300万-500万ドル(約3億6000万-6億円)の維持費を削減できる」と指摘したのだけれど、ここまで強調されると、もう殆ど分散開催しろ、と言っているようなもの。

これに対して韓国は猛反対。12月8日、江原道の崔文洵知事は「6カ所の新競技場はすでに着工している。今になって会場を変更するのは不可能だ」と主張。同じく江原道のチョ・ギュソク五輪推進本部長も「3回チャレンジしてやっと五輪の誘致に成功した。分散開催など絶対に受け入れることはできない。…特に会場を日本に移すというのは国民感情にもそぐわない」と明言している。

また、日本オリンピック委員会(JOC)も今のところは静観の構え。JOC広報は、日本での一部開催について、韓国から依頼は来ていないし、韓国は公式に「日本と五輪競技を分散開催することは不可能」と発表したわけだから、それが全てだ、とした上で「自分たちがやると言って手を挙げ、勝ち取ったオリンピックだから、他国に頼らず国の威信をかけて開催するのがあたりまえだと思いますよ」と述べている。

勿論、日本国内でも圧倒的に反対の声が多い。

JOCの竹田恆和会長の子息で作家の竹田恒泰氏は「ヒラマサ五輪の日韓共同開催はダメでしょ。要請があっても断るべき。歴史上、日本が韓国の要請に答える度に惨憺たる結果を招いてきた。そもそも、韓国の政治情勢から見て、日本に共同開催の要請をできる状況にない。韓国では「親日=売国奴」。気配を見せただけで朴大統領は失脚する。」とツイートし、多くのリツイートを集めている。尤も「父親にもそう言ってくれ」という内容の返信ツイートも多く寄せられたようだ。

更に、IOCのいうように分散開催したらコストが削減できるという主張に対しても疑問の声がある。12月9日、舛添都知事は、2020年東京五輪で一部競技を韓国や中国など周辺国で開催する可能性について、「東京五輪と言ったら、東京中心にやるべきだ。物には限度がある。…欧州のように陸続きの国境地帯でやるなら分かるが、日韓は海を隔てているし言葉も違う。関係改善には有効かもしれないが、純粋に五輪開催を考えると難しい。」と述べ、国外開催は選手村の整備などでかえって財政負担が重くなる点、東京の組織委関係者の往来で繁忙になる点などを指摘している。

舛添都知事は2020年の東京五輪の会場整備計画について見直しをして、11月19日に新設予定だった都内3会場の建設を中止すると正式に表明している。

これは、例のIOCからの分散開催によるコスト削減要請に応えたもので、IOCはサッカーやバスケットボールの予選を地方都市の既存施設で開くことを推奨し、候補として大阪を提案したという。既に事務レベル協議でおおむねの合意を得ているそうだ。

都によると、建設を中止するのはバドミントン会場「夢の島ユースプラザ・アリーナA」とバスケ会場の「同アリーナB」、セーリング用の「若洲オリンピックマリーナ」の3会場で費用削減効果は2000億円規模。

代替施設はバスケが「さいたまスーパーアリーナ」、バドミントンは「武蔵野の森総合スポーツ施設」を軸に調整し、セーリングは近隣の既存施設「若洲海浜公園ヨット訓練所」を改修して活用する考えのようだ。

もしかしたら、IOCは2020年東京五輪で費用削減効果が出ていることから、平昌冬季五輪も分散開催すればいいなんて考えたのかもしれないけれど、国内なら未だしも、国外となると、いわば国際大会を同時期に別の国で行うのと同じ。その負担はバカにならない。

舛添都知事の指摘するように、選手村の整備から交通機関の調整から、やらなけばいけないことが桁違いに大きくなる。かりに、平昌冬季五輪の「そり競技」だけ、カナダのカルガリーでやる、なんてことになったら、時差の問題までも考慮しなければならなくなるだろう。

これまで、全ての競技は、オリンピックの開催都市でおこなわれなければならないというオリンピック憲章第39条が定めらえているのには、それなりの合理性がある。よしんば、国内の他の地方都市での分散開催を許すにしてお、それがちゃんと成立するためには、開催都市と地方とを結ぶインフラがきちんと整備されていることや、移動距離が長くなり過ぎないなど、それなりの条件がいる。オリンピックに出場するレベルのアスリートともなれば、移動に伴う体への負担にだって気を使う筈。

金持ち国がグリーン車でゆったり移動するのに対して、予算のない国が鈍行で何時間もかけて移動したのとでは、競技のパフォーマンスにも影響するだろう。

実際、平昌五輪がどうなるのか分からないけれど、少なくとも、現時点では日本との分散開催にメリットは感じない。

この記事へのコメント

  • 俊太郎

    まあ何があっても日本は一切手助けなどせず、一度韓国に国際的大失態を味あわせればいいと思いますね。
    アスリートには罪はないから可哀想などと人道的配慮ととれるような生ぬるいことは言わずに
    全部韓国に責任を取らせることです。
    それで国際的評価がどうなろうと自業自得ですがそれは結局彼の国のためになるだろうし
    ひいては我が国のためにもなるでしょう。
    韓国は完全に官民ともに頭がおかしくなっているのでいい薬になるでしょう。

    日本人にとっては事あるごとに日本が手を差し伸べてきたことが韓国の狂いっぷりに拍車をかけていることに
    気付くいい機会です。
    2014年12月10日 04:58
  • mayo5

    東京オリンピックのコンセプトの一つに、コンパクトというのがあったと思うのだけれどなあ。
    それと空気の読めないJOCの竹田さん、辞表書いたら良いのに。すんなり受理されると思う。今の職に居続けることは、誤ったサインを発信し続けることになるから。・・これはコンパクトとは違った次元の話ですけれどね。
    2014年12月10日 10:29

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