自民独走とネガキャン効果
今日は極々簡単に…
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選挙もすっかり終盤に入った。各紙の選挙情勢調査も、自民優位で変わらない。とりわけ、東京都の選挙区は自民が圧勝の勢いで、産経は21区を除いて残りは全部自民公明優勢で「自民独走モード」と報じている。
一区に出馬している、民主の海江田代表は自民山田候補に大きくリードされているようで、小選挙区での勝利は厳しい情勢。あとは比例復活に期待するしかないのだけれど、こんな状況では、とても民主党の選挙スローガンの「今こそ流れを変えるとき」どころじゃない。むしろ、海江田代表の流れが終わることを心配したほうがいいくらい。
すでに野党は自身の政策を訴えるのではなくて、「自民の独走を許していいのか」とか「自民党に300議席以上与えたら一党独裁だ」とか、ネガキャンを叫んでいる。
民主党の福山政策調査会長は「自民議員は安倍さんの言いなり。そんな議員が300人になってもしょうがない。15対0の試合より2対1の試合の方が面白いに決まってる」と演説し、同じく民主党の安住国対委員長代理も「右手に自民党を持っても良いけれども、左手に民主党を持ってほしい。自民党がダメなら民主党に代える。民主党がダメなら自民党に代われば良い。いつも選べる二つの党を持っていなければ健全な議会政治にならないと思う。いま第三極がみなさんの期待を裏切った以上、私たちの責任は非常に大きい。」などと訴えている。
だけど、政治は野球じゃない。「面白いか面白くないか」で政治をされちゃ堪らない。国民は面白さよりも、平和と景気回復を望んでいる。それを実現できると思わせることができない限り、支持を集めることは難しい。
それに、民主党は、政権政党時代に派手にやらかしているから、全く信用されてない。安住氏は、第三極が国民の期待を裏切ったから、民主党の責任は大きい」なんて嘯いているけれど、むしろ第三極の何十倍も期待を裏切ったのは民主党。右手に自民を持ったとき左手に民主を持ってくれるなんて人は殆どいないだろうと思われる。
こういった「自民の独走を許していいのか」的なネガキャン選挙が通用するのは、その政党が政権の批判票の受け皿になる政党であってこそ。それ以前に、自民の暴走を許さない、というロジックは既に公明が使っている。与党内に政権のブレーキ役が入っているという公明の触れ込みは、野党のネガキャン効果を薄める効果も発揮する。だから、野党のネガキャン選挙は、戦略的に既に失敗しているように見えなくもない。
期日前投票も行われ、選挙が終盤に近づくにつれて、投票先を決めていなかった人もぼちぼち投票先を決めていくころだけれど、世論調査によると、今回の衆院選では、無党派の中にも自民党に投票すると答える人が増えているという。
11月28、29日に共同通信が行った「第2回衆院トレンド調査」では、「あなたには日ごろ、支持している政党がありますか」という問いに対して64.8%が「ない」と答えているのだけれど、この無党派層に対して「あえて支持するとすれば、どの政党ですか」と聞くと、自民党(34.0%)、民主党(10.3%)、維新の党(6.4%)、共産党(2.4%)、公明党(1.9%)、社民党(1.8%)の順になったそうだ。
むしろ、政権の批判票という意味では、民主よりも共産のほうが票を集めている気配すらある。共産党の候補も、今回は広く野党支持層の受け皿になっていると肌で感じると手応えを口にしている。
12月8日、共産党の志位委員長は、日本外国特派員協会の記者会見で、衆院選で共産党が躍進した場合の天皇制への対応を聞かれ、「天皇制度を国民の合意で民主共和制に変えることを展望するが、かなり先の段階で解決される問題だ。…私たちが参加する政権ができても、天皇制はかなり長期にわたり共存する」と述べている。
これまで共産党は「確かな野党」を標榜し、政権政党は望まなかったように記憶しているのだけど、ここにきて何やら政権政党を意識した発言をした。よほど手応えがあるのだろう。
まぁ、今回共産党が躍進したとしても、民主を超えて野党第一党になるかといわれると、さすが厳しいと思うけれど、それでも、維新を抜いて野党第2党にでもなろうものなら、永田町での発言力は随分増すことになるだろう。共産がそこまで勢力を伸ばすのはどうかとも思うけれど、民主党が政権運営能力がないと証明してしまった為に、野党は単に批判票を集める存在にしかなってない現状を生み出したのではないか。
もちろん、野党に政権担当能力がないことは今に始まったことではないけれど、これまでは55年体制でそれが表沙汰にならなかっただけ。国民はそれを意識することなく過ごしてこれたけれど、国民がはっきりと認識するようになった今、それが議席で明確に表れるようになったと思う。ましてや得票数の差が増幅されて議席に反映される小選挙区であれば猶の事。
無党派でさえ、自民支持が多い現状をみれば、野党は、ネガキャン選挙ではもう世論を動かせないことを知るべきではないかと思う。
この記事へのコメント
sdi
私の職場では、其の手の報道に興味や注意をはらわない人ばかりですが。
ちなみに、本日(12/11)の日刊ゲンダイの見出しは「民主、急追」でした(藁)