今日はこの話題を簡単に…
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12月21日、中国軍が沖縄の尖閣諸島から約300キロ北西にある浙江省・南キ列島で軍事拠点の整備に着手したことが明らかになった。既に最新鋭レーダーが設置されており、現在はヘリポートを整備している。
これは、日米との有事を想定して危機対応能力を高めると同時に、東シナ海上空に設定した防空識別圏の監視を強化する狙いがあると見られている。
ただ、南キ列島は、浙江省からわずか約56キロの位置にあって、尖閣に近いというより、大陸にずっと近い位置にある。
南キ列島は、大小52の島からなる列島なのだけれど、列島最大の島である南キ島は、別名を『海山』とも言い、美しい景色と種類豊富な海洋生物で有名な観光島。海岸線は総延長75km、陸地面積は11.13平方キロメートルで、島の周りには暗礁が多い。また、南キ列島全体も中国・国務院の基準によって制定された中国五大海洋国家自然保護区の一つとなっている。
この南キ島に今年秋、軍事拠点整備のため、数百人の軍関係者が上陸し、軍が利用するための超高速インターネット通信網の敷設も始まったと伝えられている。
一部には、南キ列島に軍用機の滑走路建設計画も浮上しているようなのだけれど、浙江省東部沿岸地域の中国軍関係者によると、列島が非常に陸地に近いことと、山ばかりで離発着できるのはヘリコプターに限られることなどから、南キ列島にはレーダー拠点を整備することは可能だが、固定翼の飛行機が離発着できる滑走路の建設は不可能だ、と指摘しているという。
南キ島には広さ800平方メートル、延長600メートルの貝殻でできた砂浜があるそうなのだけれど、延長600メートルでは軍滑走路としては短すぎて使えない。ただ、中国は南シナ海のファイアリークロス礁に大規模埋め立て工事を施して人工島をつくるくらいの国だから、その気になれば埋め立てでも何でもして滑走路くらいいくらでも作るだろうと思われる。
この南キ列島への軍事拠点整備について、12月22日、菅官房長官は記者会見で「中国は東シナ海をはじめとする周辺の海空域などで活動を急速に拡大し、活発化している。政府として引き続き動向を注視していく。…中国軍の動向には重大な関心を持ち、平素から情報収集と分析に努めているが、具体的な情報内容についてはコメントを控える」と述べている。
いくら大陸に近いとはいえ、軍事拠点の建設である上に、尖閣までの距離は、沖縄本島よりも100キロ近い。ゆえに日本として、その動向を注視するのは当然だといえる。
菅官房長官の指摘のとおり、中国は東シナ海をはじめとする周辺の海空域などでの活動を活発化させている。だから、中国が尖閣だけを狙っていると考えるのは甘い考えだと思う。
日本の外交問題を研究する米国人学者ライアン・スコバイル氏は、尖閣諸島や台湾に近く、戦略的に重要な位置にある八重山列島が将来ホットスポットになり、日中両国の摩擦を招く可能性があると指摘している。
確か去年から今年に掛けて、石垣島に陸自を配備するとかしないとかいう話があったように記憶しているのだけれど、今はどうなっているのか。
或は、陸自だけでなく、空自も配備できるように、尖閣まで190キロに位置する下地島の空港を利用できるようにするといった議論も、活発化してしかるべきだと思う。
下地島空港の使用に関しては、1971年に当時の琉球政府の屋良朝苗行政主席と第3次佐藤内閣の丹羽喬四郎運輸相との間で、「屋良覚書」といわれる文書を交わしている。次に引用する。
通海第702号 1971年8月13日この覚書に対し、政府は同年8月17日に依存のない旨を回答している。この「屋良覚書」について、2013年1月30日に、社民党の照屋議員より、「屋良覚書は現在も有効なのか」という趣旨の質問主意書が提出され、政府は、下地島空港の利用の調整権限は管理者である沖縄県が有すると回答している。
運輸大臣 丹羽喬四郎殿
琉球政府行政主席 屋良朝苗
下地島パイロット訓練飛行場の建設促進について
下地島パイロット訓練飛行場の建設については、格別の御配慮を賜っておりますが同飛行場の建設を進めるにあたり、下記事項についての確認が必要でありますので、貴職の御見解を承りたくお願い申し上げます。
1 下地島パイロット訓練飛行場は、琉球政府(復帰後は沖縄県)が所有し、及び管理するものである。従つて、同訓練飛行場の使用方法は、管理者である琉球政府(復帰後は沖縄県)が決定することである。
2 運輸省としては、同訓練飛行場を民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させる意思はなく、また民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させることを管理者である琉球政府(復帰後は沖縄県)に命令する法令上の根拠を有しない。
従って、空自が下地島空港を使えるかどうかは、現沖縄県知事である翁長氏の手に委ねられている。だけど、普天間を辺野古ではなく、県外にと主張して当選した翁長知事が下地島の空自利用について判を押すとは思えない。その分、八重山諸島の守りが遅れてしまう可能性が出てくる。
逆に、中国からみれば、日本を押し込んでいくチャンスだともいえるわけで、今後、どんどん基地を建設してはプレッシャーを掛けてくることも考えられる。
やはり、沖縄の動向には注意せざるを得ないし、今後数年、十数年の中国の動きから目を離せなくなるだろう。
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