マクドナルドの異物混入とフードディフェンス

 
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マクドナルドでの異物混入が問題になっています。金属片、ビニール片にプラスチック、果ては歯まで…。

ビニール片とかなら兎も角、一体どうなったら、"歯"が混入してしまうのか不思議でならないですね。歯が混入したのは、昨年8月、大阪の店舗のドライブスルーでビッグマックセットを購入した客が「ポテトの中に入っていた」と届け出たそうなのですけれども、マクドナルドは、店員に聞き取り調査を実施し、歯が欠けるなどした店員がいないことを確認したといっています。

また。埼玉県川口市と吉川市にあるマクドナルドで、それぞれ、ハンバーガーやナゲットに鉄屑やスポンジに欠片などの異物が入っていたとして、保健所が立ち入り検査をしていたことが分かりました。

鉄屑の方は、店内でハンバーグを焼いたときに、鉄板を掃除した際に出た鉄くずが混入したと見られ、スポンジの方は、店内の調理室で使っていたスポンジと形が一致したそうで、こちらも何らかの原因で混入したとみられています。

なんだか、「一匹見つけたら、三十匹居ると思え」ではないですけれども、次々と混入の事実が明らかになっています。

まぁ、こうした異物混入については、先日のペヤングソース焼きそばのゴキブリ混入もそうですし、マルハニチロの冷凍食品にプラスチック片が混入していたり、和光堂の離乳食にコオロギが混入していたことが発覚していますから、マックだけの問題ではないのですけれども、弱り目に祟り目というか、去年の鶏肉騒動といい、マックは踏んだり蹴ったりですね。

謝罪会見に臨んだマックの青木岳彦上席執行役員は、「食の安全安心を図る上で異物混入は重要な問題とらえている」と述べたものの、混入した理由は不明と答えるのみでしたから、これで消費者の不安が解消されることはないでしょうね。

通常、異物への混入が見つかると、メーカーが設けているお客さま相談室などに連絡が入り、それを受けて、メーカーの担当部門が調査を行います。同時に経営幹部に報告が上がるのですけれども、それを一般に開示するかどうかの基準は、メーカごとにまちまちです。

ただ、今回の一連の混入問題を受けて、食品各社は、混入の情報開示や自主回収の基準引き下げを検討するようです。これは、混入に気づいた一般消費者が、ネットを通じてそれを公開してしまうことが影響していて、会社基準を理由にした非開示が「不都合な情報を隠している」と見られてしまうことを懸念しているとのこと。相手が食べ物であるだけに、ある程度は仕方ないとはいえ、メーカーにとっては頭の痛い問題でしょうね。

千葉県成田市の会社「ケイ・イー・アイ」は、 独自に食品検査室を設けているそうなのですけれども、「ケイ・イー・アイ」の川上隆司社長は「どこの食品工場さんでも、一番あるんですけども、入ってきた方が1日で辞めてしまうとか、2日で辞めてしまうとかいって、なかなか長く定着率がないというのが、今の食品工場さんの現状です。…食品工場の中で、ごみが落ちても、拾わない方がいるんですね。自分の部屋だと思って、意識を持っていただければ、ごみを拾えますよね。そういう意識をつけてあげること、教育をしてあげることが、これからの日本の食品工場に非常に大切なことだと思っています。」と述べ、食品工場での事故は、まだマニュアルを覚えていない作業員によるミスが多いと指摘しています。

新人がミスするのはよくあることで、教育してなんとかする、というのは理解できますけれども、1日2日で辞めてしまうのであれば、教育もへったくれもありません。こうした現状が改善しないのであれば、いっそのこと、野菜工場ではないですけれども、製造ラインそのものをクリーンルーム化し、工程そのものも極力ロボットなどによる全自動化をするなりして人手が入らない工夫を考えるべきなのかもしれませんね。

さて、今回のマックの件について、誰かがわざとやったのだ、と決めつけるわけではありませんけれども、筆者個人的には、混入が意図されたものなのか、そうでないのかの区別だけでもしてほしいと思っています。

製造工程での意図しない混入であれば、いくらでも改善できますけれども、意図した混入、つまり"食品テロ"だったらそれを防ぐのはそれ相応な対応が必要になり、簡単ではないでしょうから。

この辺りについて、奈良県立医科大学の今村知明教授は、「日本の食品企業の多くは、故意による毒物混入など『想定外の事案が起きる』ということは考えていません。危機管理の基本として、最悪のケースを想定し、悪意を持った人がいることも前提にした対応が必要となります。」として、「食品防御(フードディフェンス)」の概念を取り入れる必要があると述べています。

食品防御とは「悪意を持って食品へ毒物などを混入することで、社会や企業に大きな危害や不安を与えようとする人が存在する」という前提に立って、それに対する防御対策をとる、いわば「性悪説」に立った対策のことです。

通常、多くのメーカーが採用している「食品安全」という考えは、「過失やミスへの対策」なのですけれども、故意による異物の混入は、"食品安全管理の隙を狙った局所的な攻撃"であると今村教授は指摘しています。そして、それを防ぐためには、前もって「攻撃する隙を与えない」ようにするのが効果的であると主張しています。

何でも、犯罪が多い海外では、食品工場を施錠するのは当たり前であるのに対して、犯罪の少ない日本では、完成品を鍵のない倉庫に保管することが殆どで、従業員であれば、いくらでも入れてしまうのが実情なのだそうです。

今村教授は具体的な、食品防御対策として、監視カメラの整備や充実、工場内に出入りする人のチェック体制を強化するなどを挙げています。

今後はこうした「食品防御」の考え方が重要になってくるかもしれませんね。

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    少なくとも, 日本マクドナルドの一番の問題はトップが出てこないことではないか.

    エリート外国人がトップというのも大変だろう.
    我々が考えるエリートと欧米におけるエリートは別ものと考えて良い.
    欧米ではエリートは「貴族」と考えると良い.
    貴族というのはプライドが高いだけではない,
    自分の身を守るために部下を使い捨てにできるのが貴族だ.
    2015年01月10日 12:54

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