ジプチの自衛官

 
今日はこの話題を簡単に…。

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1月18日、ジブチを訪問した中谷防衛相は、ハッサン国防相と会談し、両国間の防衛分野での関係強化で一致した。ハッサン国防相はジブチ軍の人材育成や能力構築支援への協力を日本側に要請したと伝えられている。

ジプチは、アフリカ大陸北東部の「アフリカの角」の付け根に位置する人口90万人程の共和制国家。エリトリア、エチオピア、ソマリアと接し、紅海、アデン湾に面する地政学上の要衝。

フランス領「アッファール・イッサ地区」として知られたこの地は、1977年にジブチ共和国として独立したのだけれど、国としての歴史が浅いためか、かつての宗主国であるフランスの影響が色濃く残っている。

言葉はフランス語を主に使い、英語はあまり通用しない。またパン店やリヤカーで売り歩いている行商人からはフランスパンが安くゲットできるなど普及している。

更に、紅海やアデン湾に接していることから、魚介類は豊富で、カニ、エビ、ロブスターなどが一年中手に入る他、マグロやハタ、タイなども入手できる。その一方、肉類はヨーロッパまたはエチオピアから輸入で賄っている。

ジプチは、気温が異様に高く乾燥していて、殆ど作物が育たず農業には適していない。可耕地面積は国土の0.5%に当たるわずか1万ヘクタール程。其の為、国民の約25%を占める12万人もの農業人口があるにも関わらず、食料自給率は極めて低く、わずか3%に留まる。

その為、野菜や果物類もエチオピア、ソマリアやヨーロッパから輸入しているのだけれど、酷暑の6~8月ともなると、フランス人などが休暇でいなくなるため品薄になるという。何だかんだいってもフランスの影響は大きいようだ。

そんなジプチは、ジブチ鉄道による収入、中継貿易、ジブチ港の港湾施設サービス、各国の軍等の駐留による利益をの主な収入源としている中継貿易国家。ジブチ港は実にエチオピアの海上貿易のほとんどを担っていて、その地政学的利点を最大限に生かしている。

だけど、近年ソマリア沖の海賊の影響で、頼みの綱の中継貿易が半減し、船舶保険の高騰もあり経済的打撃を受けていた。

更に、1991年より受け入れを始めたソマリア等周辺諸国からの難民・避難民が、ジプチの経済を圧迫していて緊縮財政を余儀なくされている。

だから、その意味では、ソマリアの海賊を追い払って、なおかつ、地元にお金を落としてくれる他国の駐留軍は、ジプチにとって有り難い存在だと言える。

現在、ジプチには、従来から駐留するフランス軍に加え、米軍基地が置かれ、ドイツ、スペイン軍も駐留。日本もジブチ国際空港に隣接する12ヘクタールをジブチ政府から賃借し、司令部庁舎や隊舎、P3C哨戒機3機分の駐機場と1機分の格納庫などを有した拠点を2011年6月に開設している。

現地での自衛隊の評判は上々で、海上自衛隊が護衛する海域には海賊は現れなくなったといわれているそうだ。

そんなジブチの自衛隊拠点を、有事の際にも多目的に使えるよう施設の強化を防衛省が検討していると伝えられている。

計画では、海賊対策以外にも、災害派遣や国連平和維持活動のほか、有事やテロなどの際に自衛隊部隊を送り込んだり、物資を輸送したりするアフリカ・中東の拠点として活用する、という。

これらを、長期間の使用を前提として、2016年度予算に計上するようだ。

有事の際の現地邦人の安全確保を考えると、近くに自前の拠点があるのとないのとでは、情報収取含めて、天地の差がある。粛々と進めていってほしい。

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