南シナ海をめぐる新たな攻防

 
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ロイター通信は、1月30日までに、アメリカ第7艦隊のロバート・トーマス司令官が「南シナ海での自衛隊の活動は将来、有意義になる」と、自衛隊が南シナ海へパトロールを拡大することに期待を表明したと伝えた。

自衛隊が南シナ海に出てくるなんて、一見、唐突な話のように聞こえるけれど、昨年10月に公開された「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」に次の記述がある。
Ⅵ.地域の及びグローバルな平和と安全のための協力

 地域の及びグローバルな変化する安全保障環境の影響を認識し、日米両政府は、日米同盟のグローバルな性質を反映するため、協力の範囲を拡大する。日米両政府は、より平和で安定した国際的な安全保障環境を醸成するため、様々な分野において二国間協力を強化する。二国間協力をより実効的なものとするため、日米両政府は、地域の同盟国やパートナーとの三か国間及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進する。見直し後の指針は、国際法と国際的に受け入れられた規範に基づいて安全保障及び防衛協力を推進するための日米両政府の協力の在り方を示す。当該協力の対象分野は、次のものを含み得るが、これに限定されない。

・平和維持活動
・国際的な人道支援・災害救援
・海洋安全保障
・能力構築
・情報収集、警戒監視及び偵察
・後方支援
・非戦闘員を退避させるための活動
このように、「日米両政府は、地域の同盟国やパートナーとの三か国間及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進する」として、その対象分野の中に「情報収集、警戒監視及び偵察」を挙げている。

つまり、地域の同盟国やパートナーの安全保障の為に、警戒監視・偵察をする、としている。

そして、南シナ海についていえば、防衛省は平成26年度の防衛白書で次のように述べている。
4 南シナ海をめぐる動向

南シナ海においては、南沙諸島(Spratly islands)や西沙諸島(Paracel islands)の領有権などをめぐってASEAN諸国と中国の間で主張が対立しているほか、海洋における航行の自由などをめぐって、国際的に関心が高まっている。

≪中略≫

一方、南シナ海においては、関係国が領有権主張のための活動を活発化させている。中国は、92(同4)年に南沙諸島、西沙諸島などが中国の領土である旨明記された「領海および接続水域法」を制定したほか、南シナ海における自国の「主権、主権的権利および管轄権」が及ぶと主張する範囲に言及した09(同21)年の国連宛口上書にいわゆる「九段線」の地図を添付した。また、この「九段線」については、国際法上の根拠があいまいであるとの指摘があり、南シナ海における領有権などをめぐる東南アジア諸国との主張の対立を生んでいる。

南シナ海をめぐる問題は、その平和的解決に向け、ASEAN関連会議などにおいてもたびたび議論がなされているが、12(同24)年7月のASEAN外相会議において共同声明が採択されない事態となるなど、加盟国の足並みが乱れる場面もみられた。しかし、14(同26)年5月、南シナ海における中国およびベトナムの船舶の対峙について、ASEAN首脳会議および外相会議において、「深刻な懸念」が表明されるなど、ASEANが一体となって対応する場面もみられる。

南シナ海をめぐる問題は、アジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項であり、引き続き関係国の動向や問題解決に向けた協議の行方が注目される。
と、南シナ海で、ASEAN諸国と中国の間で領土を巡っての主張が対立していると述べている。つまり、この地域に安全保障上の問題が生じている訳で、南シナ海を自衛隊がパトロールするということは、正に「日米防衛協力のための指針」に従った「情報収集、警戒監視及び偵察行動」ということになる。

冒頭のロバート・トーマス司令官の発言は、これを受けてのものと思われるし、恐らくは、既定路線として具体的な計画を策定している段階に入っているのではないかと思う。

この発言に対して、やはり中国は反応した。1月30日、中国外務省の華春瑩・副報道局長は「南シナ海情勢は安定している。…平和と安定を守る地域の国の努力を尊重すべきだ」と、アメリカに首を突っ込むなと、猛反発している。

まぁ、それにしても、周辺国に喧嘩を吹っかけては、南シナ海情勢を自ら不安定にしている癖に、「南シナ海は安定している」だの、昨年8月にフィリピンが出した、挑発行為の凍結を含む3段階の行動計画案を拒否しておきながら、「平和と安定を守る地域の国の努力を尊重すべきだ」だの、相変わらずの厚顔ぶりは健在。

だけど、空自が実際にパトロールを始めたら、中国はそれなりの対抗策を取ってくるものと思われる。

1月30日、人民日報は、「南中国海地区は、日本が『第二の米国』になることを許さず、この地域に米日軍事同盟の影が現れることを許さない。一部の国の支持は、地区全体の態度を示すものではない。中国の意見も尊重されるべきだ」とした上で、「日本が航空自衛隊を強行派遣し南中国海の巡航を実施するならば、中国は厳しい措置によりお返ししなければならない。中国は南中国海の防空識別圏を宣言し、南中国海における基地建設を加速・拡大することを検討してもよい。中国はロシアと北東アジアの軍事協力を強化し、米日同盟をけん制することも可能だ」と牽制している。

東シナ海のときと同様に、いきなり南シナ海の「防空識別圏」なるものを設定して邪魔してくることは大いにあり得る。

今年は、南シナ海において、ASEANを巻き込んで、日米vs中の対立が激しくなるかもしれない。

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > いきなり南シナ海の「防空識別圏」なるものを設定して

    支那はこの様なヤクザのやることしかできない国である
    ことがようやく分かってきた.

    しかし, 実際に海上自衛隊の艦船がパトロールし始めると
    面白いことになるのではないか. やるべし!
    2015年01月31日 12:52

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