境界の彼方

 
今日はこの話題を簡単に…。

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自民党内で総裁の任期を従来の2期6年から3期9年に延長すべきとの声が上がっている。

これは、2020年の東京オリンピックを、その招致に成功した安倍総理のままで迎えるべきだというのがその理由で、任期延長となれば安倍総理は2021年までになる。

この発案は昨年の衆院選直後から、安倍総理の周辺から上がったらしく、昨年12月19日、町村信孝衆院議長が「どこの首長も1期4年を3期、4期する。次回の総裁選のみならず、その後も可能な限り長くやって政治を前に進めることが、国民の期待することだ。首相は長くやったほうがいい」と述べている。

任期延長について、安倍総理の側近は「党則や総裁公選規程を改正して安倍首相の任期を延長し、『長期政権が視野に入る強い首相』をアピールすればいい」と述べているそうだから、東京オリンピック云々なんてのは、"表向きの理由"で、本音は「次の選挙でも勝てるから」というのがあると筆者は思う。

任期延長論は、過去にも話題になったことがあるし、実際延長されたこともあった。

昭和61年の衆参同日選で自民党が大勝した時には、中曽根康弘元総理の任期が特例で1年延長されたし、平成17年の郵政選挙で自民党が大勝したときにも、当時の小泉総理の任期を1期延長すべきだとの意見が出ている。もっともこの時、小泉元総理は延長論を退け、任期満了で退陣しているけれど、過去の任期延長論は、選挙に大勝した後に出てきている。

以前、「政権の求心力は解散する度に増し、改造する度に落ちる」のエントリーで、安倍総理の解散の決断と勝利によって、党も政権も救った結果、党内の求心力が高まったと述べたけれど、それを裏打ちするような動きではある。

無論、この案とて自民党の誰もが賛成しているわけじゃない。

ある幹部は、安倍政権の長期化は「ポスト安倍」候補が育たない危険があるとして、「党の力を弱める。犯してはいけない禁じ手だ」と述べているし、谷垣幹事長や二階総務会長らは任期延長に慎重だという。

まぁ、目先の身分を取るか、党の存続を取るかで別れる見解の相違だといえばそれまでだけれど、"選挙に勝てる総裁"というのは、党にとっては、事程左様に大きなもの。

だけど、いくら"選挙に勝てる"といっても、何故、選挙で勝てるのかについての分析なしで、安易に人気を延長してもしっぺ返しを食らうだけ。昨年の選挙についていえば、「アベノミクス」の結論が出ていないことに加え、野党に政権を託せないというどちらかといえば"消極的"な理由が佐用したことも無視してはいけないと思う。

今回の選挙では、共産党が議席を大幅に伸ばしているけれど、組織票はさて置き、あれは共産党の理念に賛同しているというよりは、自民党に対する批判票が大きかったのではないかと筆者は思っている。

民主党が、自公政権批判の受け皿になれなかったのは、民主党が政権政党だった3年3ヶ月の苦い経験がそうさせたということは改めて指摘するまでもないけれど、約束は守らない、言い訳と嘘ばかりでは、いつまでも支持を繋ぎとめておくのは難しい。今回の選挙では、「確かな野党」を標榜し、主張が一貫している共産党が"批判票"を集めたとするならば、国民は"嘘つき"より"ブレない"政党を受け皿として選んだということになる。

勿論、一貫した主張という意味では、次世代の党もそうだとは思うけれど、自民の更に右に立つ次世代の党に投票しても批判票にはならない。その意味では、次世代の党の支持層は、今の自民程度の保守では足りないと考えるくらいの保守層だと見る事もできる。だけど、今回の選挙で、次世代の党は壊滅してしまったことを見る限り、世間に、自民では飽き足らない"保守右派"はそう多くはいないのが現実とみるべきなのだろう。

こうしてみると、安倍政権が選挙で支持されたといっても、安倍総理の"保守性向"だけによるものだとは言い切れない。寧ろ、支持の大半は、まだまだ"景気"であり、アベノミクスの成功がその鍵を握っているとみるべきだろう。

1月4日放送のTBSの「サンデーモーニング」で、安倍総理をヒトラーとなぞらえる特集を組んだ、としてネットが炎上しているそうだけれど、安倍政権の支持の中心が"景気"だとするならば、いくら安倍総理をヒトラーだと叫んでみても、あまり効果は見込めないだろう。

果たして、「サンデーモーニング」が、そんな意図で、こんな特集を組んだのかどうかは分からない。だけど、民主国家である限り、どんな意図であれ、それが効果を発揮するためには、その主張が多くの人に受け入れられなければいけない。それこそ、「サンデーモーニング」が取り上げたギュスターヴ・ル・ボンのように、衝動を煽り、暗示に掛け、断言を繰り返すことは効果があるだろうと思われる。それは、2009年の総選挙で、マスコミ自身が"政権交代"だとなんども叫んで、衝動を煽り、暗示に掛け、反復・断言していた。そしてそれは、効果を発揮した。

だけど、その煽られて火がついた"お灸"は、国民全部にすえられる結果となった。あの時、国民はマスコミと群集心理の怖さを"学習"した。今更、群集心理を云々と指摘しても、その警鐘は、安倍政権よりもマスコミ自身に向けられたものだと受け止められるだろう。マスコミの世論誘導に騙されてはならない、と。

事実、ネットではそうなっているし、もはや国民の意識はマスコミが想定した「境界の彼方」に位置してる。ともすればマスコミは、「マスコミは権力を監視しなければならない」というけれど、群集心理を誘導するという意味では、マスコミ自身もその権力者の一人になっているといえる。

そのマスコミという権力者を、ネットを介して国民が監視しだしているのが今。それを忘れて、群衆は騙される云々いわれても鼻白むだけ。

サンデーモーニング、あなたのやり方は、不愉快ですっ!

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > 次世代の党は壊滅してしまったことを見る限り、
    > 世間に、自民では飽き足らない"保守右派"は
    > そう多くはいないのが現実とみるべき

    次世代の党の失敗は党名の認知度が低過ぎた事に尽きると思う.
    その点では産経以外のメディアが徹底して同党を無視した
    作戦が効をそうしたとの見方が保守ではもっぱらのようだ.
    兎に角, 真面目な主張は一般受けしないのが平和な世の中の常.

    サンデーモーニングの制作会社は朝鮮系パチンコ資本の
    グループ企業であるらしいと小野寺まさる道議会議員の
    ツイッターで述べられている. 分かり易い.
    2015年01月05日 11:38
  • ナポレオン・ソロ

    >>安倍首相をヒトラー呼ばわり
     バカですねぇ、最早TBS=毎日新聞 と、ABC=朝日新聞は、世間では常識レベルの知見でしょうに。 こういう、共感を全く得られない説の流布は、却って流した方ばかりではなく、其のソースになった方も叩かれると云う事が判って居ない。

     ブログ主が仰る通り、自民批判側の選挙民には選択肢が共産党しかない状況だが、これ等の事態を誘引したのは、民社、民主、生活、維新(含む:みんな+ゆい)と云った野党勢力の失策、無策、無定見、そして自爆や党内不整合~解党に至ったと云う、野党自身に原因が有る事は明らかだから、安倍自民の勝因を批判するのは選挙民を批判したのと同じ事。 選挙に勝ったからファシズムとは、根も葉もない決めつけに過ぎないのだから、ネットが炎上するのは当り前でしょう。

     韓国ウォッチャーのfetiaさん(=「月見櫓」のブログ主)が仰るには、今年は嫌韓が定着してきた日本で、親韓派の巻き返しが有るダロウ、との予測でしたが、「さっそく・・」と云う感じです。 然し、図らずも炎上しているのでは、何の為の印象工作なのか判りませんね。
    2015年01月05日 15:31
  • 俊太郎

    次世代の党の壊滅は、次世代と謳っておきながら表に立つ人間が70代80代のご老体だった故に党名が図らずもブラックジョークになったことに尽きるんじゃないでしょうかね。
    あれではネオ保守ともいうべき若い世代の保守層には受けないと思います。
    引退を決めていた石原氏に出馬を懇願した若手も不甲斐ないと言うかそのせいで見限られたんだと思いますね。
    2015年01月06日 00:41

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