中国を睨む蒼龍

 
今日はこの話題をごく簡単に…

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1月29日、インド紙『タイムズ・オブ・インディア』は、インド政府が日本政府に対し、インド海軍の次期主力潜水艦候補である日本の「そうりゅう」型潜水艦を共同生産する可能性を検討するように要請したと報じた。

これは、インド政府が2007年から進めているインド海軍の潜水艦隊増強計画で「プロジェクト75インディア」に関するもので、この計画では、老朽化や事故で消耗した潜水艦隊を最新の通常型潜水艦6隻に置き換えるとしている。

ただ、これは、海外の潜水艦の輸入ではなく、インド国内の造船所とのジョイントベンチャーによる共同生産が前提になっていて、既にフランス、ドイツ、ロシア、スペインのメーカーがこの計画への参入を表明しているようだ。

「そうりゅう」型は、これら4ヶ国が売り込もうとしている潜水艦よりも大型で、性能も上回っているとされる。

「そうりゅう」型潜水艦については、過去何度か取り上げたことがあるけれど、その性能は通常動力型の潜水艦としては世界最高峰といっていいだろう。

だけど、これだけの潜水艦なのだから、当然、その建造は容易いものじゃない。使っている鋼板から溶接から、相当高度な技術が要求され、数多くの機密クラスのノウハウもある筈。

また、仮に船体を造ることが出来たとしても、その運用によっても、発揮できる性能に差が出てくることだってあり得る。

こちらに、元海自で潜水艦艦長も務めたこともある山内敏秀氏の講演の要旨が紹介されているけれど、その内容は「音」の話ばかり。

「特別無音潜航」という、完全無音にする潜航では、無音シートが敷き詰められている艦内の床に、ドアを開けっ放しにして固定し、開閉の音を無くすのは当然で、乗員の私物なども皆固定する。

また、船体からの音を海中に伝搬させないため、「フローティングデッキ」という、外に伝搬する通路を切った構造をしていて、現在、海自より静かな潜水艦は存在しないのだそうだ。

逆にいえば、潜水艦乗りはそれだけ「音」に非常敏感であるといえ、音の違いで艦が分かってしまうのだそうだ。そして、ソナー員ともなると、スクリュー音で「この船はプロペラの先が欠けている、この船はエンジンの調子が悪い、という事まで分かる」というから凄まじい。

そして更に面白いのは、中国の潜水艦についての指摘。

山内氏によると、やはり中国の潜水艦は非常に煩いらしい。「銅鑼を鳴らすくらい喧しい」と巷でも何度も噂されることがあるけれど、どうやら本当のことのようだ。因みに中国の潜水艦は海底のドロ巻き上げながら高速で動いていて、例えば、黄海の水深40~50メートルのところを、海底から10メートルで高速で突っ走っているので、潜水艦が通ると、海底のドロを巻き上げ黄色い帯が出て空から分かるのだそうだ。

昨日のエントリーで自衛隊が南シナ海をパトロールする計画が進んでいることを取り上げたけれど、東シナ海と違って、比較的水深がある南シナ海とて、運用が不味ければ、発見される確率が高まる恐れがある。それを考えると、中国にとって、世界屈指の対潜能力を持つ空自の南シナ海パトロールは悪夢であり、是が非でも阻止したいところだろう。

「そうりゅう」型潜水艦については、オーストラリアでも、退役間近のコリンズ級に代わる次期潜水艦の最有力候補に挙がっている。

日米同盟に「そうりゅう」を橋渡しとしてオーストラリアとインドが加わることになれば、海中でも、対中包囲網を構築することになる。確かに、潜水艦技術という機密が海外に流れるというリスクは気になるけれど、そういう話がある、というだけで相当な牽制効果はある。

空と海から中国を睨む蒼龍。今年は南シナ海から目が離せなくなるかもしれない。

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この記事へのコメント

  • 泣き虫ウンモ

    技術を与える相手国に、技術流出をすれば罰があるかどうかは知りませんが、要は信頼関係を築ければ良いのです。

    確かに、文明的に遅れた国は第三国により工作員を送られて、情報を盗みだされるというのはありますが、宗教的な信者を増やしたら何とかなるやろ。

    人口が多い国は、貧しいのです。
    裏切る人間も多いのですね。
    裏切るというのは失礼であれば、子供が労働力なのです。
    そこで、貧しさを経験すればお金だけになりますね。

    悪循環を断ち切れないかというのが、HSの活動なのですね。
    2015年02月01日 22:51

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