改革と成長とアベノミクス

 
今日は、昨日のエントリーの続きを極々極簡単に…。

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安倍総理の施政方針演説に対して、野党は「説明不足」と一斉に批判の声を上げた。

民主党の岡田代表は「戦後最大の改革、戦後以来の改革という話だったが、中身がよく分からない、言葉が躍る演説だった。格差の問題にはまったく触れず、集団的自衛権という言葉も全く出てこない、つまり安全保障法制の中身の説明もない。国民にとってここは大変だから我慢してくださいとか、こういうふうに努力しますとか、そういうところがまったくない、『あれしますこれします』のオンパレードで、中身があまりない演説だったと思う」と批判。維新の江田憲司代表も「美辞麗句はいいが、国民にとって大事なのは改革の中身だ」と、こちらも中身がないだと不満を顕わにしている。

また、安保について、共産党の志位委員長は、「説明抜きで暴走する姿勢だ」と批判し、憲法についても、社民党の吉田忠智党首は「首相には憲法の尊重擁護義務がある。演説で憲法改正の議論を呼びかけるのは問題だ」などと、口にすることさえ憚られると攻撃している。その一方、次世代の党の平沼党首は「首相は『自主憲法制定』が一貫した方針だ。そのことは触れてもらいたかった」と不満を口にする。

まぁ、だけど、野党が自分の立場で与党を批判する以上、どんな演説をしようが、何処かは攻撃されることになる。先に上げた憲法にしても、演説に取り上げることそのものを問題視する社民と、自主憲法制定に何故触れないと不満を述べる次世代の党が、共に野党として国会にいる。喋っても喋らなくても、文句を言われることは避けられない。

かといって、どちらとも取れるように、"曖昧に"話したとしても、今度は、「説明不十分だ」、「中身がない」とくる。だから、何を言っても野党の攻撃対象にしかならない。

民主党の岡田代表は、安倍総理の演説を「中身がない」と批判しているけれど、去年9月の臨時国会での安倍総理の所信表明演説についても、彼は「中身がない」と全く同じことを言っている。

まぁ、考えてみれば、「中身がない」という言い方は、自分がこう思ったのだ、と、いくらでも"主観的"に批判できるから、野党が与党を批判するには、実に便利な言葉。だけど、毎回毎回、それを使ってしまっていたら、批判するほうがいつもの批判ばかりで「中身がない」と見られてしまうと思うのだけれど、そのことを野党の方々は気に掛けたりしないのだろうか。

そもそも、施政方針演説は、内閣総理大臣が内閣を代表して、向こう一年間の国政全般にわたる基本的政策や政治方針を示す演説であって、元より、細かい内容を求められているものじゃない。それどころか今回は、まだ具体的な内容に踏み込んで述べていたのではないかと、筆者は思っているくらい。

安倍総理は、今回の施政方針の中で、改革断行による規制改革を進めることで、生産性を押し上げて国際競争力を高め、世界の成長力を取り込んでいくことが成長戦略の実行だと述べているけれど、筆者が少しだけ引っかかるのは、その成長戦略を実現させる土台が国外に頼り過ぎていないか、という点。

2月10日、来日しているタイ暫定政権のプラユット首相が、将来的に検討している高速鉄道導入を踏まえ、新幹線「のぞみ」に乗車、東京-新大阪間を移動した。プラユット首相は、新大阪駅で降車後に「素晴らしい」と感想を述べたそうなのだけれど、首相同行のタイ高官は「日本の技術に対する信頼はあるが、予算の問題もある。高速鉄道を導入することになったら、 全ての要素を総合的に判断することになるだろう」とコメントしている。

つまり、外国相手に売るにしても、「素晴らしい」だけでは勝てない可能性があるわけで、それだけの"需要"を喚起する必要がある。特に、工業製品のように単価が高く、生活必需品でもない商品はその傾向が強く、それなりに経済力がない国でないと難しいのではないかと思う。

それを考えると、海外に売り込むのも結構だけれど、国内の景気を良くして、国内需要を高めることも大事。安倍総理は施政方針演説で国内経済については、企業に賃上げを要請したり、派遣労働者の正社員化への取組を派遣元に義務づけるとしている。

まぁ、それが駄目とはいわないけれど、そのためには企業が儲からなくては駄目で、その前提には売上の見込みが立たなくちゃいけない。生産性を上げることで、製品のコストを幾分かは下げることはできるけれど、それ以上に、売れなくなってしまえば、やはり赤字になってしまう。

施政方針演説で縷々述べている、改革についても、消費者負担が減るだろうと思えるのは、エネルギー市場改革に伴う、電気料金値下げくらいで、どちらかといえば、生産者側の便宜を図る内容が多いように思われる。

勿論、それも一つの道ではあるけれど、昨年の8%への消費増税が、景気回復に大ブレーキを掛けたことが明らかになった今、デフレ脱却の為には、次の増税までの間にそれを補って余りある景気回復が必要となった。

安倍政権は、改革断行が成長戦略だというのであれば、それが如何に景気回復に繋がるかの道筋を示す必要があるし、また更にそれを証明しなければならない。アベノミクスの成否の最後の鍵はその中にある。

この記事へのコメント

  • 白なまず

    辛酷日なのでオカルト発言です。立春過ぎても予想通り、、、春マケドンなので、春の嵐となると思われますので引き続き注意が必要です。

    千早ふる三輪の月神 有明に日の出の千曳岩戸開かん

    その方の名は天照国照彦天火明奇甕玉饒速日尊(アマテルクニテルヒコアメノホアカリクシミカタマニギハヤヒノミコト)
    2015年02月14日 04:47

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