例の日韓のスワップの件ですけれども、正式決定したようです。
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2月16日、財務省が日韓通貨スワップ取極の終了を正式発表した。
今回のスワップ終了に関しては、韓国メディアを中心に延長について協議しているなどと、飛ばしというか憶測記事が流れて、少し錯綜していたけれど、財務省の発表と時を同じくして、韓国銀行も延長しないと発表しているから、これは、もう本決まりと見ていいだろう。
財務省が発表した内容はこちらにあるけれど、ただ同時に、スワップ終了から丁度、3ヶ月後にあたる5月23日に、第6回日韓財務対話の開催するとも発表していて、更に、必要が生じた場合には適切に協力するとも取り決めている。
日韓財務対話は、両国の財務金融問題に関する相互協力を促進するために、両国財務大臣同士で対話する機会を設ける目的で、2005年11月に、その設置を合意。2006年2月に初会合を行っている。
この日韓財務対話は当初、毎年開催することとなっていたのだけれど、実際は、2007年(第2回)、2009年(第3回)、2011年(第4回)、2012年(第5回)と、1~2年置きの開催となっている。
その個々の内容は、財務省のサイトを見ていただければ分かるけれど、チェンマイ・イニシアティブでの日韓通貨スワップ協定は、この2006年の初会合で締結合意している。
そして、続く第2回、第3回、第4回の対話でチェンマイ・イニシアティブの進展・推進を確認しつつ、第5回の対話では、前回の通貨スワップ終了について、次のようにプレスリリースしている。一部引用する。
3.両大臣は、2012年10月31日に予定通り二国間通貨スワップの時限的な増額を終了した後も、依然として両国の金融市場が安定し、マクロ経済の状況も健全であるとの認識で一致した。両大臣は、これまでの時限的な措置がグローバルな金融不安の両国経済への波及を抑え、また、韓国の為替市場だけでなく地域の金融市場の安定確保にも大きく貢献してきたと認識している。両大臣はまた、両国及び世界経済の状況を注意深くモニターし、必要が生じた場合には引き続き適切に協力することに合意した。このように、スワップが終了しても問題ないとしつつ、「必要が生じた場合には引き続き適切に協力することに合意した」とある。
この文言は、今回の通貨スワップ終了に関する財務省の発表内容と殆ど同じ文言であり、恐らく、5月の日韓財務対話でも同じ文言が入ってくるのではないかと思う。
まぁ、それでも、何をもって"必要が生じた"とするのかや、何が"適切な協力"になるのか一切定義されていないから、まずは、互いの主観に基づいて要求するものと思われる。
今回についていえば、韓国の財務省幹部は、日本との通貨スワップ延長を望んでいたようなのだけれど、日本の首相官邸関係者が、両国の対立などのために「延長しないことになった」と漏らしたという話もあるから、要は、互いの国同士の交渉で決めていくことなのだろう。
その意味では、5月の日韓財務対話で、新たな日韓通貨スワップの話が出る可能性だって考えられる。
だけど、今回、日本がスワップ延長を断った理由に、日韓の対立が絡んでいるのだとしたら、5月の財務対話までに、対立が緩和される何らかの動きがない限り、再び通貨スワップを結ぶ可能性は低いと思われる。
従って、もし韓国が日本とまた通貨スワップ等、日本からの協力を得たいのなら、そのために、何らかのカードを切る必要があるのだけれど、もしかしたら、拘留が続いている産経の加藤氏を帰国させる辺りで交渉してくるかもしれない。
尤も、これは、日本から見れば、強盗が盗んだものを返してやるから何か寄越せといいような、理不尽なことであるのだけれど、形振り構わなければ、向こうは何だってやってくることは十分考えられる。
まぁ、それはさて置き、気になるのは、スワップが終わる今月23日から、5月の日韓財務対話までの3ヶ月。
日本の後ろ盾が切れた"丸裸の韓国"を市場が放っておくかどうか。利に餓えたヘッジファンド辺りがこの間に襲い掛かる可能性だってある。
偶然か必然か、丁度、このタイミングでIMFが韓国経済に黄色信号を発している。
2月13日、IMF協議団はソウルで「2015年例年協議結果」を発表した。それによると、韓国は、「長期的に非製造業分野の生産性が低く製造業輸出を通した成長依存度が高くて、今後持続的な成長が難しい。…韓国の成長が停滞している。今後景気循環的な観点と構造的な観点で挑戦的な要素が残っている。…経済が対外ショックに露出して、急速な人口高齢化による人口構造上問題が累積し始めた」として構造改革が切実だと述べている。
そして、更に「ドル高が円安影響を一部相殺するが、長引く円安が一部の韓国輸出産業に挑戦要因となっている。…このような観点から、為替レートはこの先も柔軟に市場によって決定されるべき」と為替についてコメントしている。
「韓国の為替は市場によって決定されるべきだ」と御丁寧にIMFがお墨付きを与え、更に、日韓スワップが終了して、日本という後ろ盾もなくなったとなれば、それを理由にヘッジファンドが仕掛けてきたっておかしくない。
終わりの始まりとまではいかなくとも、波乱が起こる可能性は考えておいたほうがいいかもしれない。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
IMFが言っている「構造改革」とは何だろう.
「まだ売れるものがある」と言っているのだろうか?
所詮は国を助けるのではなく銀行を助けるのがIMF.
安倍首相が言っている「改革」というのも
国内の有形・無形の資産の大特売をすることである.
昔は憧れた言葉だが, 最近は「改革」と叫ぶ人は
一歩下がって見るようになった.
「改善」で今の築いた大企業が「改革」に賛成する
のは金持ちのおごりである.
opera
もともと日韓のスワップ協定は、韓国の為替市場を安定化させることを通じて、韓国と取引する日本企業を保護する役割もありました。これが終了したということは、今後韓国と取引する日本企業は、金融・為替上のリスクに対して自力で対応しなければなりません。大手は大丈夫でしょうが、中小は要注意です。
次の経済的なテーマは、以下の問題でしょう。
*日本の技術盗用、海外製品の輸入停止制度 経産省が検討
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H6W_Q5A210C1EE8000/
最近では「改革」という言葉を聞くと胡散臭く感じるようになりましたが、今回IMFが言っていることに、別段おかしな点はありません。要するに、二番手戦略()に特化してマーケティングと価格戦略による輸出に極端に依存する韓国経済は、今後は立ち行かなくなるということ。それを回避するには、非製造業分野の生産性を高め内需拡大を目指す必要があるが、急速な高齢化等の構造的な阻害要因もあると。さらに、(この点は触れていませんが)利益になると思って締結した自由貿易協定も、将来的には足枷になってくるでしょう。
日本は、他山の石としなければなりませんね。