日本が竹島問題を国際司法裁判所へ単独提訴するとき

 
今日は、極々簡単にこの話題です。

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2月23日、日本政府は韓国が竹島を実効支配している問題に関し、国際司法裁判所への単独提訴を当面見合わせると複数の政府筋が明らかにしたと報道されている。

これは、島根県が22日に開催した「竹島の日」記念式典に松本洋平内閣府政務官が出席したことへの韓国側からの抗議に対し、菅官房長官が「わが国政府の立場にかんがみて、韓国側の抗議は受け入れられない。…国際司法裁判所への提訴も含めて検討、準備を行っているところだ。種々の状況を総合的に判断した上で、適切に対応していきたい」と発言しており、それを受けてのことと思われる。

報道では、竹島問題で政府が抑制した対応をすることで、韓国から日韓関係修復に向けた前向き姿勢を引き出したい考えだ、と報道しているけれど、こんなことで、前向きな対応を引き出せるのなら最初から苦労しない。

第一、韓国は、日本政府が「竹島の日」の式典に松本洋平内閣府政務官を派遣しただけで、「極めて嘆かわしい。…日本の政府の考えを疑わせる歴史に逆行する行為だ」と報道官声明を出している。それに対して、菅官房長官が「提訴も辞さない」と返した。表の動きを見る限り、政府レベルで互いに牽制し合った、というところか。まぁ、言われっぱなしで何もしないよりはうんとマシ。

ただ、官房長官が提訴を考えていると言った同じ日に、政府筋がそれを否定する。牽制するのであれば、もう少し引っ張って、相手の出方を見てからにするべきで、見合わせるなんて"カード"を切るのは、ちょっと早すぎるのではないかと思うのだけれど、もしかしたら、裏で何があったのかもしれない。

尤も、当面見合わせるとした政府筋も「将来的な提訴の可能性は排除していない。いつでも対処できる態勢を整えておく必要がある」としているから、単独提訴という"カード"はまだ温存しているといえる。

現在、国際司法裁判所で裁判は、紛争の当事国同士の同意がないと行うことができない。だから、韓国が裁判を受け入れない限り、永遠に裁判は行われないのだけれど、国際司法裁判所に付託すること自身は、当事国の一方のみでも可能であることから、単独提訴して、この問題を世界に提起すべきだ、という意見もある。

竹島問題については、既にいろんな方が取りあげ、議論されているけれど、一例として、こちらの島根県のサイトが参考になると思うし、最近では、テキサス親父殿が、調査し明らかにした「マッカーサー秘密電文」というのもある。

過去を紐解けば、1954年9月25日、日本は竹島問題について「本件は国際法上の基本原則に触れる領土権の紛争であるので、唯一の公正な解決方法は本件紛争を国際裁判に付託し判決を得ることにあると認められる。日本国政府は、紛争の平和的解決を熱望し、本件紛争を日本国政府及び大韓民国政府の合意の下に国際司法裁判所に付託することをここに提議する。」と、国際司法裁判所への付託を提案している。

これに対して韓国は、翌月の28日に「紛争を国際司法裁判所に付託するという日本政府の提案は、司法的な仮装で虚偽の主張をするまた一つの企てに過ぎない。韓国は、独島に対して始めから領土権を持っており、この権利に対する確認を国際司法裁判所に求めなければならない理由は認められない。いかなる紛争もありえないのに擬似領土紛争を作り上げるのは、まさに日本である」と、まるで北の将軍様の国のような声明を出して、これを拒否。今に至っても拒否を続けてる。

韓国のこの姿勢が今後も変わるとは思えない。その意味では、国際司法裁判所への単独提訴は、国際世論への問題提起以上の効果は望めないと思われるのだけれど、仮に、単独提訴したとして、その次に何ができるかといわれると、軍事的手段による竹島奪還以外には殆どないのではないか。

国際司法裁判所は判決こそ出すけれど、他国に対する強制執行権を持っているわけじゃない。その場合は、国連憲章第94条「国際司法裁判所の判決に従わない場合、国連安全保障理事会が適切な処置を取ることができる」に従って、国連安保理に処置を委ねることになるのだけれど、安保理がどこまできちんと機能するかは不透明。

少なくとも、この問題に対して、常任理事国の全てを日本の味方にしておかないと、実効的な処置はなされないと思われる。

竹島奪還作戦は最後の最後の手段だとして脇に置いておくならば、まずは、竹島問題について、世界を味方につけることが先になる。ただ、相手は、世界地図から日本海を消して、"東海"に書き直させようとする国。そう簡単な話じゃない。

まぁ、騒げば騒ぐ程、却って竹島問題が世界に知られるようになるという面もあるにせよ、竹島は日本領であるとの広報宣伝活動を徹底しつつ、提訴の機会を見計らうのがベターなところなのかもしれない。

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