今日も感想エントリーを極々簡単に…

2月25日、この夏の発表されるとみられる安倍談話に関する有識者初会議が行われました。
会議で安倍総理は、「わが国は先の大戦への反省のうえに、自由で民主的で人権を守り、法の支配を尊ぶ国をつくり、平和国家として、米国の同盟国として、戦後70年間アジア太平洋地域の平和と繁栄を支えてきた。この平和国家としての歩みは今後も変わらない」と述べ、"20世紀の経験からくむべき教訓"、"戦後日本の平和主義、経済発展、国際貢献の評価"、"米中韓などとの間で歩んだ和解の道"、"21世紀のビジョン"、"戦後70年に当たって取るべき具体的施策"の5つを議論の柱に上げています。
そして、その上で、「未来の土台は過去と断絶したものではあり得ない」として、先の大戦の反省を踏まえ、日本が目指す将来像の検討を要請しています。
有識者会議の座長に西室泰三・日本郵政社長。座長代理には北岡伸一・国際大学長が選ばれているのですけれども、西室氏は、「新日中友好21世紀委員会」の日本側座長を務め、李克強首相と面会するなど中国要人とのパイプを持つ人物で、北岡氏は、集団的自衛権の行使を認める報告書をまとめた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」で座長代理を務め、安倍総理に近いと言われています。
有識者会議は5回程度の会合を開き、議論の結果を7月にも首相に報告する予定ですけれども、細かい表現は兎も角として、安倍談話の中身の大枠は殆ど決まっているのではないかと、筆者は考えています。
なぜなら、政府は談話の内容について、アメリカと調整を始めているからです。
安倍総理はこの5月に訪米を予定していますけれども、共同通信によると、今月中旬に政府関係者が、アメリカ当局者に村山談話の精神を「全体的に継承する」という安倍総理の立場を伝達し、13日に訪日したトニー・ブリンケン米国務副長官と会談した岸田外相も、この安倍総理の立場を伝えたと見られると報じています。
これらの調整は、談話発表後にいつものように反発すると予想される中韓に対応するためのもので、安倍総理の5月の訪米までに終えるとしていますけれども、これは要するに、それまでに談話の骨子を決めるということですね。
実際、安倍総理は、先の有識者会議で既に5つの議論の柱を提示していますから、アメリカと調整を始めている安倍談話の"素案"もこれら5つの内容を含んでいる筈です。そして、その上でアメリカと調整を始めているのですから、談話の内容の本命はこちらにあるものと思われます。
その意味では、こんな言い方はアレかもしれませんけれども、有識者会議は「ちゃんと会議をやって意見を聞いていますよ」というポーズ的な意味合いが少なからずあると思いますし、メンバーの人選自体が、一種の外交メッセージとして使っている面もあると思うのですね。
政府高官は、有識者会議は「バランスを考えた人選だ」と言っているようですけれども、先程述べた意味合いを考慮すれば、中国とパイプを持つ西室氏を座長に据え、副座長に安全保障関係に強く、安倍総理に近い北岡氏を置いた時点で、その意図は、ある程度見えるかと思います。
それはおそらく、中国に対してある程度配慮した談話にするけれども、日本の立場も譲らないよ、といったところではないか思いますね。
これがもし座長に北岡氏、副座長に西室氏という具合に逆にしたとしたら、そのメッセージは、日本の主張が第一であり、中国はその次という意味合いになりますから、中国或は、アメリカもいい顔をしなかった可能性があったでしょうね。
まぁ、日本人の立場からすれば、「何を弱気になっているんだ、実にケシカラン」という意見もあるかと思いますけれども、まだ今の段階ではそこまでいくのは危険だ、という判断なのでしょうね。その意味では、この辺りに微妙な配慮を施すのも、"外交"なのかもしれません。
ついでにいえば、有識者会議のその他のメンバーに誰なのか詳しいことは分かりませんけれども、もし、韓国とパイプを持っている人がこの中に入っていないのであれば、その意味するところは明確です。まぁ、少なくとも、座長・副座長に名を連ねなかった時点で、中国とは一段落ちる扱いであることは間違いないですね。
その韓国ですけれども、安倍総理の5月訪米について猛烈な妨害工作をしているようです。安倍総理は5月の訪米で、歓迎式典やオバマ大統領主催の晩餐会や共同記者会見などが予定され、国賓待遇で招かれるようですけれども、どうもそれが気に入らないらしく、在米韓国系団体がそれを潰そう画策しているとの情報があります。
アメリカ政府関係者は、「在米韓国系団体が『安倍は独裁者だ。議会で演説させるな』と、米政府関係者や上下院議員にすさまじい圧力をかけている。慰安婦問題などで日本を貶める『ディスカウント・ジャパン』工作の時と同じだ。組織だって動いている。…中国の習近平国家主席は今年9月、北京でロシアのプーチン大統領を招いて、日本に圧力をかける『抗日戦勝利70周年』軍事パレードを行う。アメリカ内では、韓国系団体と中国系団体が連携して『安倍首相の議会演説潰し』に動いている」と述べています。
また、アメリカ軍関係者も「アメリカ政府は日中韓3カ国に十分に配慮した。安倍首相の後に、習近平国家主席と朴大統領にも訪米を要請している。米国は日本と韓国の同盟国である。韓国系団体の暴走は、米国の顔に泥を塗り、東アジアの安全保障を危うくする行為そのものだ。米国を裏切って中国につくつもりか」と述べていますから、相当頭に来ていることが見て取れます。
まぁ、オバマ政権には安倍総理の思想に不信感を持つ人がおり、またオバマ大統領も安倍総理をあまり良く思っていないという声も一部にはあったかと思いますけれども、今回、安倍総理を国賓待遇で招くということは、オバマ大統領の個人的感情はさて置いて、アメリカが国として、日本国総理をそのように遇すると決めたということですね。
官邸関係者は「国賓待遇の訪米は2006年の小泉純一郎首相以来のことだ。民主党政権で信頼関係がズタズタに壊された日米関係がやっと修復される。…安倍首相とオバマ大統領は首脳会談後、戦後70年を踏まえた日米同盟強化をうたった共同声明を発表する。米上下院議会では安倍首相の演説が予定されている。歴代首相では、首相の祖父、岸信介元首相も演説しており、1961年の池田勇人首相以来54年ぶりで、本当に喜ばしい」と述べていますけれども、その意味するところは大きい。
安倍総理は、2012年の総理就任以来、地球儀外交を展開し、中韓に妥協しないことを貫いてきましたけれども、その上で、アメリカとの関係を修復したことを意味するからです。
そして、更に大事なのは、今夏に発表される「安倍談話」は、こうした外交的成果、或は国際政治の上に出されるものだということです。
安倍総理は、就任直後から価値観外交を展開し、3年近くかけて、セキュリティダイヤモンドを構築しました。
にも関わらず、それを「安倍談話」によって崩壊させたのでは、積み上げてきた外交的成果を無に帰することになりますし、「抗日戦勝利70周年」などというパレードを行う、中国はそれこそ願ったり叶ったりでしょうね。
そうした背景を踏まえた上で、安倍談話を出すのですから、或は、有識者会議の人選もその一環かもしれませんけれども、相当慎重に事を運ぶ筈ですね。
その答えは、訪米する安倍総理が予定どおり"国賓待遇"で迎えられることと、共同声明の中身によって、ある程度見えてくるのではないかと思います。
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