今日は、昨日のエントリーのコメント欄を受けての雑談とさせていただきます。

1月26日、自民党は役員会で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の呼称について、原則として「ISIL(アイシル)」か「いわゆるイスラム国」という表現を使うことを申し合わせた。
これは、党内から「日本がイスラム国を独立国家として承認しているかのような印象を与えかねない」などという懸念が挙がっていたための措置。
筆者も当初のエントリーでは「ISIS」と表記していたのだけれど、周りが「イスラム国」というのに倣って、それに合わせていたのだけれど、確かに「イスラム国」は当人達がそう宣言しているだけで、周辺国含めて、どこも彼等を「国」だと認めている訳ではない。筆者も今後はISISまたはISIL表記に戻したいと思う。
ただ、今では、マスコミを始め、多くが「イスラム国」表記を使っている。これについて、こちらでは、この名称は、さながら「イスラム諸国」を代表しているかのような錯覚を受ける恐れが高いとして、即刻止め、その代りに「イスラミック・ステート」(あるいは「アイエス」)とカタカナ読みにするか、「このイスラム過激派、名称は「イスラム国」ですが、あくまで名称であり、イスラム諸国家、イスラム文化を代表するものではありません」と都度断りを入れるべきだと提言している。
確かにイメージというのは大きなもので、例え間違いであっても、一旦広がってしまえば、それが暗黙の了解となっていく。それを後から訂正するのは大変。それは「慰安婦強制連行」のイメージを訂正するのがどれだけ大変かをみれば良く分かる。もっとも慰安婦については、今なお、イメージの拡散と定着を繰り返しやり続ける"厄介な隣人"がいるからという理由もある。
まぁ、実際、ISISが「国家」であるのかということについては、他国が承認していないということ以外にも、検証の余地はあると思う。教科書的には、国家の3要素とかいって、 領土、国民、主権を満たしていること、なんてのがあるけれど、今日のエントリーでは深入りしない。
ただ、領土についていえば、「シリア空爆でイスラム国は壊滅するか」のエントリーで、筆者は、彼等の支配地域は、イラクとシリアの幹線道路が中心だ、と指摘したけれど、道路や川の周りだけを支配して、それで国家だ、と言われても、それは無理筋でしょう、というのが第一感。
また、国民についても、彼等は各拠点に「知事」を任命して国らしいところを見せているけれど、そこに住む住人がどれだけ、彼等に服しているかについても疑問がないわけじゃない。
今回の人質事件にしても、ISISは、自身の支配地域の住民にインタビューした映像をインターネット上で公開したらしいのだけれど、その内容は、日本を批判するもので、住民がISISに言わされているのではないかと見られている。
また、シリア北部のコバニの住人はISISが町を掌握すれば住民殺戮が始まる、との危機感から多数が避難民となってトルコ国境に押し寄せたという。
これらを見る限り、ISISの"国"では恐怖政治が行われていると予想される。
ネットには、「日本に勉強しに来てる敬虔なイスラム教徒のトルコ人に『ISILとイスラム教徒はどういう考えなの?』と聞いたら、『日本にいる在日朝鮮人みたいなもんだよ。』って教えてくれたw」なんて書き込みもある。
まぁ、勿論、その真偽は不明だけれど、これが、一般のイスラム教徒が持つ、ISISに対するイメージなのだとしたら、彼等は、周りのイスラム諸国からみても"異質"の存在だと見られているということになる。
だとすると、イスラム原理の復古運動という意味では、アラブの"尊皇攘夷運動"であるにせよ、それを天狗党に擬えるのは、相応しくないかもしれない。これについては、一旦保留としたい。
1月2日、政府は、殺害されたとみられる後藤さんと湯川さんについて、遺体の引き渡しを求めることはISISに対して「新たな要求につながるリスクになる」とし、彼等に対して遺体の引き渡しを求めない考えを示した。
今回の人質事件に関して、菅官房長官は会見で、身代金を用意していたかについて記者から問われ、「それは全くない。100%ない」と明確に否定し、ISISとは一切、直接交渉をしたことも、する気もないことを明らかにしている。
これは、テロリストを助長させないのみならず、ISISを"国"とは認めない意思表明でもある。御遺族の心情を察するとやりきれないものはあるけれど、日本国としての対応という意味では正しい。
この記事へのコメント
ス内パー
最初はアルカイダの下請けテロ部隊。
中国のスポンサーと武器商人ルートを確保したこととアルカイダが反米色を強めてCIAの援助を受けられなくなってきた情勢を利用して反アルカイダ、反イスラム諸国の山賊となる。
・イスラム教徒を思う存分殺害できるとしてEUの反イスラム反移民な低中所得白人層を勧誘
・周囲のイスラム教徒を多数殺害。油田及び領土確保、人質ビジネス、欧米から勧誘した反イスラム主義者を満足させるため、あたりが理由。
・油田を略奪し密売。アラブ諸国の高すぎる原油を安く誘導する材料に使えるので欧米黙認。
・反アルカイダを押し出しCIAの援助を受ける
・支配領域(主に油田と密売用の街道)で国を自称
と好き勝手やれてたのが昨年まで。
今年に入ると
・反シェールガス、反ロシアの思惑もかねてアラブ諸国が原油値下げ。これにより密売の旨味が消える
・人質ビジネスやりすぎたこととISISシンパが国内にとどまってテロ予備軍化(以前はISISへ行ってくれたので問題なかった)
・欧米国内で反移民(反イスラム)感情が高まり暴動発生、治安悪化
・アルカイダがある程度片付き次の標的を探す余裕ができた
・核武装していない
などの理由から新たな標的として選ばれたのがISIS。その実態は…国になりかけてる山賊というところですかね。
あと数年放置してればキューバやかつてのアルカイダのように曲がりなりにも国として安定してしまっていたことでしょう。
泣き虫ウンモ
土台には、キリスト教に対する、あるいは文明に対する不信感とか、力が弱くなってしまったがゆえの独り善がり的な歪んだ優越意識があるかもしれませんね。