日本版CIAを作るために必要なこと

 
今日も極々簡単に…

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2月4日、衆院予算委員会で自民党の平沢勝栄衆院議員の「対外情報機関を創設すべきではないか」という質問に対し、安倍総理が「政府の情報機能を強化し、より正確かつ機微な情報を収集して国の戦略的な意思決定に反映していくことが極めて重要だ。ご指摘のような対外情報機関の設置については、さまざまな議論のあるものと承知している。」と述べ、アメリカのCIAのような対外情報機関の設置について、自民党内で必要性を検討している、と付け加えた。

政府は2013年12月に日本版NSC(国家安全保障会議)を設立しているのだけれど、これは、首相の政策決定や政治的決断のサポートを行う組織であり、その元となる情報収集等はまた別の組織が担っている。

現在、日本に存在する主な情報機関の職員数は約15000人で、その内訳は外務省5800人、内閣情報調査室170人、公安調査庁1530人、警視庁公安部2000人、警察庁警備局公安課1000人、防衛省情報本部2400人、陸上自衛隊中央情報隊600人、陸上自衛隊特殊作戦群300人、陸海空自衛隊情報保全隊1000人。

これらの中で中心となっているのが、内閣情報調査室。通称"内調"。

内閣情報調査室は1952年に創設された組織で、諜報部門は、国内、国際、経済部門の3つに分かれ、それおれ50人程度の調査員で構成されている。

元々、内閣情報調査室は"日本版CIA"を目指して作られたもので、伝統的にアメリカCIAのカウンターパートナーでもある。ゆえに、折に触れCIAから情報提供を受けていると言われている。

そのような組織があるにも関わらず、安倍総理が、対外情報機関の設置を口にしたところをみると、今の内調では、足りないところがある、ということなのだろう。

昨年1月、特定秘密保護法を巡って、自民党の中谷現防衛相を団長とする超党派の衆院議員団9名が、ドイツ、イギリス、アメリカの3ヶ国を訪問し、情報管理制度などを視察した。議員団は2ヶ国目となるイギリスで、MI5、MI6の情報局とイギリス政府の合同情報委員会担当官、議会情報保安委員会委員長、英メディア関係者らと会談した後、記者会見を行い、9名中6名が「日本にも対外情報機関が必要だ」とし、その理由として「紛争回避やテロ防止、防衛力強化のために不可欠だ」、「他国の情報に頼るのは独立国のすることではなく危険だ」と述べている。

イギリスの情報局のうち、テロリストやスパイを監視するのがMI5(情報局保安部)で、国外情報を収集するのがMI6(秘密情報局)。まぁ、MI6のほうが、映画「007」などで知られているだろうと思うけれど、今後、日本がテロとの戦いを想定しているとするならば、MI6ではなくてMI5の方を参考にしてくものと思われる。

MI5は、「国の安全を保護する」ため「テロ、スパイなどからの脅威を排除し、外国勢力のエージェントの活動からの脅威並びに政治的、産業的、暴力的手段による民主主義を転覆又は弱体化しようとする活動の脅威から国の安全を保護する」役割を与えられた組織。

少し古い情報になるけれど、2008年時点でのMI5の主要業務毎の予算配分をみると、その9割以上が「テロ対策と保護セキュリティ対策」に当てられている。MI5は、1960年代から、イギリスの国内外で、イギリスの利益に対するテロの脅威との戦いに関与してきた歴史があるのだけれど、その「テロ対策と保護セキュリティ対策」予算の内訳をみると、国際テロ対策に66%、国内テロ(北アイルランド関連)対策15%、保護セキュリティに10%となっている。イギリスにとって国際テロ対策はそれだけ重要な課題だということ。

だけど、MI5は文民組織であり、職員は逮捕権限を有していない。したがってターゲットの捕獲・捜査は、警察などと共同して行っている。また、海外に拠点を置くテロリストグループに対しては、海外情報を扱うMI6や外務省および現地の警察や情報機関とも協力しながら対応している。

こうしてみると、ISISのように、海外を拠点とする国際テロに対抗するためには、国内だけを対応すればよいというものではなくて、現地の国との協力や政府の他の組織との連携が欠かせない。

昨日のエントリーでは、テロとの戦いについて、「戦略の階層」の面から述べていったけれど、テロとの戦いと一口にいっても、その対応は多岐に渡る。だからその対策を個別に論じていくと、出来上がるものは、"ちぐはぐ"なものになってしまう危険がないとはいえない。

まずは、「戦略の階層」の最上位である世界観から固めていく必要があるのではないかと思う。

この記事へのコメント

  • opera

    今回のISISによる邦人人質事件に関し安倍政権の対応に問題があるとするなら、なぜISIS内部に詳細な情報と交渉ルートを持つトルコではなく、ISISと正面から敵対し犬猿の仲であるヨルダンに本拠地を置いたのか、という点であることが一部の海外メディアで指摘されています。これは、日本に本格的な情報機関が無いことと密接に関連しています。
     トルコ(及びヨルダン)は非常に優秀な情報機関を持つ国だと言われていますが、そこから真に有益な情報提供を受けるためには、日本にも本来の意味でそのカンターパートとなる情報機関が必要です。情報機関相互間の情報提供は、give and takeが原則で日常的な活動を通じた信頼関係が前提となると言われています。今回のように、事件が起きてから急に情報を収集しようとしても、得られるものは限られています。
     また、日本版NSCを支える国家安全保障局は、その初代局長が外務次官出身の谷内正太郎氏であることからも分かるように、日本の表の顔である外務省が主導する情報整理機関に過ぎず、警察の公安や防衛省といった治安・諜報対応部署との連携も不安視されていました。他方で、内閣情報調査室も実動部隊を伴わない情報調整機関にとどまっています。
     そうした結果が、従来から外交的関係が深かったヨルダンを窓口とするISISとの交渉という形になったのでしょう。
     今日本に必要とされているのは、警察の公安や防衛省といった治安・諜報担当の実動部隊を取り込んだ、国際的にも対応できる本格的な情報組織をどう構築するかという点だと思います。
    2015年02月09日 16:20

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