今日も極々簡単に。

3月25日、中国の史耀斌財務次官は、設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)の運営について、「出資国が増えれば、その分だけ、どの参加国も出資比率は下がる。…中国が拒否権を求めるとか放棄するとかという命題は成立しない」と、中国が特別な「拒否権」を持たないとする談話を同省のウェブサイトで発表した。
これは、3月23日にウォールストリート・ジャーナルが、中国がAIIBに関する欧州諸国との協議で、交渉カードのひとつとして運営上の拒否権放棄を提案したことが、イギリスを筆頭に続々と参加国を増やす契機になったと報じていたことを否定した形。
なぜ、AIIB参加にイギリスが手を挙げたのか不思議だったのだけれど、そういう裏があったとすると、頷けるものがある。
以前「アジアインフラ投資銀行(AIIB)の裏にある中華帝国の野望」のエントリーで筆者は、AIIBを設立・主導することで中国は人民元の基軸通貨化を狙っているのではないかと述べたけれど、産経新聞の田村秀男編集委員は、IMFが検討している人民元の「SDR」への組み込みが実現すれば、元はドル、ユーロに次ぐ第3の「自由利用可能通貨」となって、世界各国が、て元を準備通貨として保有、円を押しのけると警鐘を鳴らしている。
SDRとは、特別引き出し権(Special Drawing Rights)の略で、IMFが1969年に創設した国際準備資産のこと。SDRの保有国は、ドル、ユーロ、円、ポンドの四大自由利用可能通貨と交換できる。
これは、ブレトン・ウッズの固定為替相場制を支えるために創設されたものなのだけれど、世界貿易の拡大に伴い、当時、準備資産として使用されていた金とドルの国際的供給が追いつかなくなってきたため、それを補完するために創設された。
当初、SDRの価値は、純金0.888671グラムまたは、1アメリカ・ドルに相当すると決められていた。
だけど、1973年のブレトン・ウッズ体制の崩壊を受け、SDRは通貨バスケットとして再定義されることになる。
現在、SDRは、ドル、ユーロ、円、ポンドの通貨バスケットで構成され、その価値は、毎日のロンドン市場の正午の為替相場を基に、バスケット4通貨の特定額の合計を米ドルに換算して決定される。
※2015年1月現在、1SDR=157.0796円。
SDRの通貨バスケットの構成は、世界各国の財とサービスの輸出額や、準備金として保有されている額に基づいてIMF理事会によって、原則5年ごとに見直される。前回の見直しは2010年に行われ、今年が次の見直しの年に当たる。
SDRの通貨バスケットに入るためには、輸出高と通貨の流動性が条件になっているのだけれど、前回の見直しでは、人民元は輸出高はクリアしていたものの、人民元の流通性が低かったために採用されなかった。
そこで中国は2010年から国際貿易における人民元の占拠率を高めてSDR入りを狙っているのだけれど、最大のポイントは人民元が完全変動相場制に移行できるかどうかだろうと思われる。
昨年7月、中国は、銀行の相対取引で、ドル対人民元のレートを銀行が設定できるようにしている。一部では、これをもって、相対取引の為替レートが完全自由化されたと評す向きもあるようだけれど、実際は、中国人民銀行(中央銀行)が、レートの基準値を毎日設定する規制付で、完全自由化とは言いがたい。
これについて、先の産経の田村編集委員は、「管理変動相場制」を取っている人民元は、それを維持するために、上海などの金融市場への外からの資本流入を厳しく規制するなどの理由で、SDR入りする資格はないと批判している。
AIIBの裏に見え隠れする中華帝国の野望。世界はどう対応していくのか。IMFのSDR見直しの行方と合わせて目が離せない。
この記事へのコメント
白なまず
ひふみ神示 第20巻 梅の巻 第二十六帖 【 http://hifumi.uresi.org/ 】
金(きん)では治まらん、悪神の悪では治まらん、ここまで申してもまだ判らんか、金では治まらん、悪の総大将も其の事知って居て、金で、きんで世をつぶす計画ざぞ、判ってゐる守護神殿 早う改心結構ぞ、元の大神様に御無礼してゐるから病神に魅入られてゐるのぢゃぞ、洗濯すれば治るぞ、病神は恐くて這入って来られんのぢゃぞ、家も国も同様ざぞ。神示幾らでも説けるなれど誠一つで説いて行(おこな)って下されよ、口で説くばかりではどうにもならん、魂なくなってはならん。十二月十四日、ひつ九のかミ。
opera
では、何のためか。穿ち過ぎかもしれませんが、中国お得意の『資金調達詐欺』のような気がしてきました。実質的な理由は資金不足です。
今年に入っての中国の中央・地方を合わせた負債総額(マスゴミ用語では国の借金)は、日本円で3150兆円超、GDPの3倍を超えていると推計されています(ここ数年で爆発的に増加)。その内、少なくとも四割が不良債権化していると仮定すると、不良債権額だけでGDPを上回っている可能性もあります(ちなみに、日本のバブル崩壊時の不良債権額は、最大で130兆円、GDPの3分の1弱。アメリカのサブプライムローンによる不良債権額は、GDPの十数%程度)。人民元を増刷して処理しようにも、偽札が横行しインフレ懸念がある状態では困難でしょう。
対外的にも、例えばASEANの反中協調を攪乱するための個別投資は、その多くが失敗しただけでなく、それを継続する資金も枯渇しつつあるのかもしれません。
そこで出てきたのが(詳細は未だ不明)が、塩漬けになっている潤沢な米国債(外貨準備)を元手にした国際銀行構想(麻生政権時のIMF融資のパクリ?)ではないのか。
これに対するアメリカの共同出資案は、正攻法のアプローチ。それに比べイギリスのやり方は、中国により多くの資金(外貨準備)を吐き出させるための裏口からの唆しのように見えます。
いずれにしても、日本が積極的に関与する必要は無さそうです。