今日は、感想エントリーです。

もうあちこちで取り上げられ、大きな話題となっていますけれども、3月5日、マーク・リッパート駐韓アメリカ大使が刃物を持った男に襲われ負傷する事件が発生しました。
リッパート大使は、この日の朝、朝鮮半島の統一について話し合う講演会に出席するため訪れたソウル市内のイベント施設内で襲われたのですけれども、大使は大量に血を流し、パトカーで近くの病院に緊急搬送されました。
目撃者の話によれば、男はリッパート大使を何度も攻撃したようで、大使の傷は深く、右頬に長さ12センチ、深さ3センチの傷を負ったばかりでなく、左腕尺骨神経の損傷、じん帯2箇所裂傷、腕に貫通傷と一歩間違えれば命を落としかねないものです。
リッパート大使は収容された病院で約80針を縫う手術をし、その後ツイッターで「元気です。支援に深く感動した」とツイートしたそうですけれども、やはり事件の衝撃は大きく、CNNやBBCでは、一面トップで報道。血を流すリッパート大使の様子が繰り返し放映されました。
リッパート大使は、キャロライン・ケネディ駐日大使程の知名度はありませんけれども、オバマ大統領の上院議員時代に外交顧問を務め、オバマ政権発足後は国家安全保障会議首席補佐官、国防次官補、国防長官首席補佐官を歴任。米軍普天間飛行場へのオスプレイ配備や、米軍嘉手納基地以南の土地返還計画の策定に取り組んだことから、日本政府にも知られた人物で、オバマ大統領の側近中の側近と言われている人物です。
聯合ニュースによると、大使を襲い逮捕された男は、革新系団体「ウリマダン独島守護」代表の金基宗(キム・ギジョン)容疑者。これまで外交官への暴行など前科があり、2010年には駐韓日本大使にコンクリート片を投げつけて、隣にいた通訳にけがを負わせています。この時は、懲役2年、執行猶予3年の実刑判決を受けているのですけれども、金容疑者は今回の事件現場で、「あのときはテロではなかった。今回はテロだ」と叫んでいたそうです。ですから、これはもう故意犯といっていいでしょうね。
一部には、金基宗容疑者が今回の事件に及んだ動機の背景には、先月27日、アメリカのウェンディー・シャーマン国務次官が講演で「政治指導者が旧敵を中傷することによって、安い拍手を得ることは難しくない。しかし、そのような挑発は、そのような挑発は進歩ではなく、麻痺を引き起こす」と発言し、それが韓国側に「従軍慰安婦問題を国内政治に利用している」と非難するものだと受け止められていることがあるのではないかという指摘もあるようです。
ただ、金基宗容疑者は犯行について「10日前から計画していた。民族和解協力汎国民協議会の招待を受けた」とも述べていますから、これが本当であれば、時系列からいって、最初の犯行動機ではないでしょうね。まぁ、後から最大の動機になった可能性はあるかもしれません。
けれども、動機云々は兎も角、駐在大使を殺傷することは、戦争になってもおかしくない行為です。少なくとも外交問題になることは避けられない。
韓国の民間シンクタンク、世宗研究所の洪鉉翼首席研究委員は「国民1人の危害に対しても黙っていないのがアメリカだ。アメリカ大使はある意味、アメリカそのもので、大使への攻撃は米国を攻撃したことになる」と指摘していますけれども、アメリカ国務省のハーフ副報道官は「暴力行為を強く非難する」との声明を発表しています。同盟国に配慮した"遺憾"などではなく、いきなり非難声明ですから、その怒りも分かろうというものです。
勿論、これで、米韓戦争になるわけではないでしょうけれども、我慢にも限度がありますからね。
リッパード大使は、去年の10月に駐韓大使に着任しましたけれども、それに先立つ6月に、アメリカ上院外交委員会の承認公聴会に出席し、議員から「日韓関係に改善はみられるか」、「日韓関係を改善する案はあるか」などと質問され、「もし大使として承認されれば、ケネディ駐日米国大使、ワシントンの国務省チームと共に日韓関係の仲裁役を担う。…日韓の良好な関係を維持することが米国の安全保障に直接的に関係する。努力はしているが、先はまだ長い」と発言しています。
要するに、リッパード大使は日韓関係の改善をミッションとして送りこまれたともいえるわけです。そのリッパード大使を、襲って怪我を負わせる。アメリカとしては、韓国に一体どういう料簡だ、と問い詰めたいくらいでしょうね。
今はまだ、アメリカもなんとか我慢してくれてはいますけれども、流石にそろそろリミットが近づいている気がしないでもありません。先日、日本外務省HPから「韓国と基本的価値を共有」の表現が削除され、一部で騒ぎになっているようですけれども、先の日韓スワップ終了といい、日本は静かに、韓国との"縁切り"に動き出しているようにも見えます。
これについて、もしも、アメリカが日本にクレームを入れていないとするなら、アメリカもとうとう日韓関係の改善を諦め始めた可能性も考えられます。
これで、オバマ政権がリッパード大使を本国に呼び戻して、駐韓大使交代という事態になるようであれば、それは、アメリカの韓国に対する三行半になるのではないかと思います。
この記事へのコメント
通りすがり
カリフォルニアから日本を想う
で、今回のテロ行為は有罪? それとも無罪? 相手がアメリカ様だから、お人好し日本のようにはいかないでしょうけど。
ひとえに、テロリストを英雄と讃える韓国の身から出たサビ。
さて、どのような展開になるのでしょう。
反日無罪を国是とする韓国なんかと価値観の共有など絶対にお断りです。
ポール
「I understand indeed」
ポール
すでに警備体制の強化はなされているでしょうが。