日出づる処の総理、談話を日没する処の主席に致す、恙なきや

 
昨日の続きを極々あっさりエントリーです。

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一部の注目を集めているAIIBですけれども、3月31日、麻生財務相が記者会見で「極めて慎重な立場を取らざるを得ない」と述べ、日本政府として正式に参加見送りを表明しました。

そして、30日から中国を訪れているアメリカのルー財務長官が、北京で李克強首相らと会談し、AIIBへの参加を促されたのですけれども、「今の時点では、他の国際機関を継続したい」と参加しない意向を伝えたそうです。

AIIBは日米双方からフラれた形になった訳ですけれども、中国は人民日報が「専門家『日本のAIIB不参加は短絡的』」と報じたり、新華社通信が「日本は”米国の指示待ち、恥ずかしい”」などの記事を出していましたから、よっぽど参加して欲しかったのでしょうね。

ここのところ、中国は日本を仕切りに牽制しています。

3月23日、訪中している自民党の谷垣幹事長、公明党の井上幹事長ら与党幹部は中国共産党・序列4位の兪正声政治局常務委員と会談したのですけれども、この夏に出すと言われている戦後70年談話について、「戦後70年は一つのチャンスであり、日本側には正しい歴史認識を持ってもらいたい」と、中国の意向に沿った発言とするよう注文を付けました。

これに対して、谷垣幹事長は、「談話の内容は中国側が心配しているようなものにはならないのではないか」と応じたようですけれども、筆者には"アジアの盟主"の座を掛けての争いが始まっているようにも感じますね。

中国は今年9月に「抗日戦争勝利70年」の式典を行いますけれども、その式典に安倍総理の出席を打診していたことが明らかになったと伝えられています。

筆者は3月10日のエントリー「習近平が皇帝即位を宣言するとき」で、この「抗日戦争勝利70年」の式典は、習近平の"皇帝即位式"であり、これに日本の総理が出席すれば習皇帝に膝を屈したと捉えるのではないかとし、内心では安倍総理の出席を望んでいると述べましたけれども、益々その線が濃くなってきたように思います。

そうした観点からAIIBをみると、政治面では「抗日戦争勝利70年」、経済面ではAIIBで日本を屈服させようと狙っているように見えます。つまり、この2つで、名実共に"アジアの盟主"は中国であると内外に知らしめ、日本を華夷秩序の中に組み入れようとしているということです。

「華」は中華の華、「夷」は夷狄戎蛮、即ち野蛮人のことですから、中国を"華"、日本を"夷"とするには、日本が"蛮族の国"でなくてはなりません。そのためには、日本はファシズム国家であり、中国はそれに勝利した国なのだという図式を固定化出来れば、それを現代の"華夷秩序"にすることも可能になります。

要するに、中国は、「抗日戦争勝利70年」のパレードに日本の総理を出席させることで、そうした構図を世界中に喧伝し、作ってくるだろうということです。

けれども、幸か不幸か時を同じくして、日本は「戦後70年談話」を安倍総理が出す。この"安倍談話"の内容が、中国の意図する"華夷秩序"を否定するものであったなら、非常に都合が悪いわけです。故に、執拗な迄に安倍談話の内容に注文を付ける。そんな感じがしますね。

もしも、中国がこうした意図を持っているのであれば、"安倍談話"は物凄く重要な意味を持つことになります。

果たして、日本は中国の華夷秩序の中に飲み込まれるのか。はたまた聖徳太子の如く跳ね返すのか。ちょっと目が離せないですね。

この記事へのコメント

  • almanos

    まあ、日本は本音としては「盟主? 面倒」ですからね。でも、特亜三ヶ国以外は「盟主? 日本に決まってるじゃん」となっていてその乖離をどうするかという問題なんでしょうが。中国については「末代首席最後のあがき」ではと思えます。そもそも、官房長官に「我が国が戦ったのは中華民国で、中国共産党は嫌がらせのゲリラ戦以外での交戦記録はない。国民党が主催するというなら解るが」とか談話出されたらどうするんであろうか?
    2015年04月01日 06:13
  • 素浪人

    管理人様初めまして。

    管理人様は華夷秩序に関して正しく認識されていますが、尚且つ我が国が華夷秩序から脱する若しくは係わらざるべきとお考えになるのであれば、『中国』という呼称を用いられるのは矛盾していないでしょうか。矛盾しているとお考えになるのであれば、かの独裁国家を『支那』と呼ぶべきではないでしょうか。

    初めてのコメントで大変僭越でしたが、管理人様のブログの一ファンとして一言申し上げさせて頂きました。駄文失礼致しました。
    2015年04月04日 23:23

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