世界を引っ掻き回すAIIB

 
昨日の続きを補足して、極々極簡単に…

 ブログランキングに参加しています。応援クリックお願いします。
AIIBに参加しないことについて、麻生財務相がド直球の説明をしたと一部で話題になっていますね。

これは、4月9日の記者会見で10分に渡って麻生財務相が説明した内容が分かり易くかつ正論だということで賛同の声が集まっています。もう色んなところで取り上げられていますけれども、おおよそ次のとおりです。
 --日本が参加した場合、AIIB設立当初の出資金は最低でも1000億円と試算されている

 「AIIB参加国は最終的にいくつになるのか知らないが、出資額の総額も中身もわからないので、今の段階で考えているわけではない。何回も同じことを言っているので、もう飽きてきたけど、やることは1つなんですよ。お金を貸すというのは、返ってこないお金は貸せない。返ってこないお金はやるっていうんだからね」

 「(インフラ整備の)ニーズがあるというのはわかる。米国が世界銀行、日本がアジア開発銀行(ADB)、ヨーロッパが国際通貨基金(IMF)は責任を持ってやっている。ところが、日本は1905年、日露戦争をやるにあたって戦時公債を発行した。1000万ポンド。日本は1日も遅れず、1銭たりとも約定を違えず全額を返済した。名も知れぬ東洋の小さな黄色人種にお金を貸した英国もすごかったんだろうが、1銭たりとも、1日も約定を違えずきちんと払った。今日、世界で他国の外貨でカネを借りて返済が滞ったことが1回もない国が日本以外にあるならば教えてくれ。ぜひ俺はそれを知りたい。他の国の中央銀行総裁も知らない」

 「だから、お金というのは貸したら返ってくるもんだと日本の人は思っているんだ。子供の時からしつけられてきたんだから。しかし、今、借りたお金を返さないのは多いんじゃないの? 世界で借りたお金を約定通り返さない国の方が多い。何が言いたいかというと、もう1個(国際金融機関を)増やすんだぜ。きちんと審査をして(既存の国際金融機関の)3行で足しても400億円か500億円かといっているときに、いきなり後ろから来て、みんな貸さないの? じゃあ俺(AIIB)が貸してやるよと、300億円、400億円を貸しますと言ってなったとするよ」

 「その時、この後からきた300億円は前から貸している3行の400億円に乗っかった。返済が始まり、400億円のお金は計画通りに返ってくるんだけど、後からきた300億円は全然、融資計画ができていないから、その分は返せませんでしたと。そうなったとき、まずは3行の400億円は優先的に返してくれるかと。国内だったら、まだやれるだろう。しかし、海外相手にそれができるか。700億円が全部焦げ付き、お返しできるお金は300億円だけです、といわれたら、間違いなく被害が出る。こっちは税金を預かっているわけだから」

 「ちゃんと審査やら、何やらは参加する国で決めましょうねと。どういう理事会の構成ですか、審査はどこで、誰がやるんですかと。最初から俺たちはこれしか言っていない。だから(中国側は)返事を下さいと。3月31日というのは、こっちが出した提案を聞かない限りは俺たちは答えようがない。何の返事もないなら、こっちもしようがないと言っているだけだ。AIIBの話というのは、次は(参加判断の期限が)6月だとか報道されているが、どうして6月なのかさっぱり知らない。日本はなぜ参加しないのかと色々な人が言ってくるが、面倒くさくていちいち説明しないといけないので、飽きるくらい同じ話をしている」
と、このとおり。一言でいえば、「返って来ないなら、お金は貸せない。どう貸して、どう返して呉れるのか説明してもらってからだ」というもの。実に正論ですね。

この当然過ぎる質問に、中国は何の答えも寄越しません。確かにこれでは話にならないですね。麻生財務相はこれについて「飽きるくらい同じ話をしている」と述べているのですけれども、その通りなのですね。

財務省のホームページに、麻生財務相の4月3日の記者会見の概要があるのですけれども、一部引用します。
問) アジアの中で参加していない国は極めて少ないのですが、日本が参加しないということは日本の国益には反しないでしょうか。外交的に孤立してしまうといった批判の声もありますが。

答) バスに乗り遅れるなんていう話はよくマスコミがする話なのですけれども、どうして国益に反すると言われるのかという感じがします。例えばお金を投資して、いわゆる資本金なり何なりに参加するという額は巨額なお金になると思います。そのお金は国民の税金を預かってそれを海外に、インフラストラクチャーの援助としてやることになるが、その場合に、そのお金が保証されない限り、我々の税金の無駄遣いということになりますので、そういったようなことは十分に考えた上でやらないといけないということで、AIIBできちんと確保してくださいということなのが1つ。それからほかの国はどうか、それは第三国の話で、その第三国の動きについてコメントすることはありません。

問) そもそもこれは政策ですのでメリットとデメリットがある話だと思います。参加するメリットとデメリットについて自民党内でも議論が始まったようですけれども、大臣御自身は条件が満たされたらその後の判断というお話をこれまでされてきていますけれども、大臣御自身は参加のメリットとデメリットについてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせ願えれば幸いです。

答) メリット、アジアの中においてインフラストラクチャーに対して供給資金の絶対量が不足している、事実だと思いますよ。したがってそれに対してはADBも世界銀行もそれなりに増資をして対応ということをやってきました。案も出ました。なかなか増資比率についての案がまとまらなかった。

例えばIDAでは、待てないというので、それは融資で賄いますということで、増資ではなくて融資対応ができるようにしました。日本はその融資の資金も提供しました。そういった形でやっていますが、お金というのは貸したら返ってくるあて、これはODAの寄付ではありませんから、ちゃんと返ってくるには返済プランというものを立ててもらわないと、国内でも国外でも同じです。

貸したお金をどうやって返してくるのかという、そのプランができなければお金を貸すということはどこでもやらないということだと思いますね。国外の話ですから、そういうことになってくる。世界銀行、IMF、ADB、これは同じルールでやっていますから、基本的には同じ。

その同じルールと別のルールを持ち込んできてお金を貸しました、返済計画には全然見合いません、そんなに貸して大丈夫ですか、このお金は返ってこなくなりますという場合になった時に、別のルールを持ち込んで貸したところだけ返ってこないのであればいいよ、それは貸した人の勝手だから。

しかし国として対応できないといった時に、それまできちんとしたルールで貸してあった国のお金も返ってこなくなる。誰が責任をとってくれるのというのが3行から見たら一番肝心なところですよ。おたくらの方だけはちゃんとやる、平等に返します、ここだけは返しませんという話が通るのかね。ちょっと考えてみてよ。普通の会社でやってみても、国と会社と置き換えてみたら大体分かると思うけれども、倒産した時の返済という話は結構忙しい話になるのではないか。

それと同じことになるという愚は避けなければいけないと思いますから、税金を預かってやる以上は当然そういった配慮をしてしかるべきだと。私共は同じことを言っているのであって、別にそんな難しい話をしているわけでも何でもありません。
全く同じ説明ですね。しかもこの時の記者会見では、なぜAIIBに参加しないのかと何度も同じ質問が繰り返されているのですね。これほど分かり易い説明を受けてなお、同じ質問をするとは、どうにかして"参加する"という言質を取ろうとしているのでしょうか。麻生財務相もよく我慢して同じ説明を続けていますね。

それはさておき、麻生財務相の説明で、一点注意しておきたい箇所として筆者が気になったのは、「例えば、ADBなりIMFが融資していた案件に、AIIBが碌に返済計画も経てずに、後貸しして、貸し倒れさせてしまった場合、ちゃんと貸していたADBやIMFが巻き添え被害を食う危険がある」という指摘です。

確かに言われてみれば、その通りなんですね。ADBが300億円の返済能力がある相手に300億貸して、計画通りに返済を進めていたところにAIIBが割りこんで400億貸したことで、貸し倒れてしまった。300億は返せるけど700億は無理となったら、その300億がそのままADBにだけ返ってくる保障はありません。

まぁ、日本人の感覚からいけば、そんなの先に貸した相手に返すのが当たり前だろうとなるとは思いますけれども、海外はそうとは限らない。例えば、AIIBの誰かが、貸し倒れした相手に、「半分の150億をこっちに返してくれるなら、そのうち50億をバックマージンとして与える用意がある」なんて耳元で囁いたら、ころっといってもおかしくありません。

ガバナンスをはっきりさせずに、勝手な金融機関をつくって適当に融資しては破産させ、ADBや他の金融機関を巻き添えにされたら堪ったものではありません。

いくら、インフラ整備の資金需要があるといって、AIIBを作ったとしても、下手をしたら、引っ掻き回すだけの結果になるかもしれませんね。やはり、日本は様子見で正解だと思います。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック