産経加藤氏の拘束解除で日韓関係は改善するか

 
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韓国で、永らく出国禁止措置を受けていた、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が14日、ようやく解除され、帰国しました。

加藤氏は羽田空港で記者団の取材に対し、「自由に出られる状況とそうでない状況の違い、重みを痛感した。自由な移動を制限することは大きな問題だ」とし、裁判については「これまでどおり淡々と事実関係を説明したい。今回の一件で(自分の報道に関する価値観や原則は)何ら変わらない」と述べています。

兎も角も、8ヶ月に及んだ拘留解除にまずはやれやれといったところですけれども、今回の急な解除措置は、やはり日韓関係改善のための韓国側のシグナルだという見方が浮上しています。

14日、韓国の外務省報道官は今回の出国禁止措置の解除について「日韓関係とは無関係な事案だ」と述べていますけれども、朝鮮日報は、韓国政府が歴史認識問題・領土問題と安保・経済問題を切り離して対応する「二重戦略」を本格化させたいという考えから、「加藤氏出国禁止措置の解除」という切り札を使ったと分析しています。

また、外交消息筋は「加藤氏に出国を許可したことで、韓国政府は日本に関係改善に前向きなサインを送った」と述べ、対日外交への配慮もあったことを示唆しています。

まぁ、あれ程、対日強硬を貫いていた朴槿惠政権がここにきて、急に軟化するとは何かあったのかと思ってしまいますけれども、やはりアメリカから相当な圧力を受けているようですね。

何でも、韓国の知日派の国会議員が「在韓米大使館員と会うと、『日本との関係改善は一体どうするつもりか』という話ばかりだ」と漏らしていたそうですから、水面下でのプレッシャーに折れた形ですね。

けれども、およそ民主国家ではあってはならない言論弾圧にも繋がる、理不尽な"拘束"を、一方的にやっておいて、拘束を解除したから関係改善しよう、なんてのは、強盗が「盗んだ品を返してやるから、仲良くしようぜ」というようなもので、本来は、前向きなサインでも何でもありません。

外務省幹部は今回の拘束解除についていて「当然のことだ。ずっと出国を認めろと言ってきたが、8ヶ月もかかった。ゼロからプラスになったわけではない。マイナスがゼロになっただけだ」と切り捨てたそうですけれども、これが普通の感覚ですよね。

通常、二国間において、一方がもう一方に何らかの"マイナス"なことをやった場合、それは、政治的側面だけでなく、国民感情の面においても悪影響を及ぼします。要するに、相手国に対する印象が悪くなる、ということですね。

そして、その悪化した印象は、相手からのフォローがない限り、そのままであるのが普通なのですけれども、そのフォローなしの状態が長期化すると、悪印象が"固定化"されてしまうのですね。国民の多くに、「あぁ、あの国はそういう国なのだ」と区分けされてしまう。今の所謂"嫌韓現象"なんかは正にそうですよね。

一旦、悪印象が"固定化"されてしまったら、それを"解除"するのは容易ではありません。少なくとも、"固定化"するまでに要した期間と同じかそれ以上の時間を使って解きほぐしていくか、大きなインパクトのある謝罪なり賠償なりを行って、"固定化"した悪印象を吹き飛ばさなくてはなりません。

勿論、これは、マイナスをゼロにしただけで足りるものではないことはいうまでもないですね。

産経の加藤氏は8ヶ月間も拘束されました。それを解除したから"チャラ"ね、というのは、ちょっと甘すぎる。まぁ、政治的には、今回の拘束解除を受けて何らかのアクションを取らなければならないのかもしれないですけれども、マイナスをつくった事実は消えるわけではありませんし、既に、8ヶ月という"固定化"期間が経過しています。

ですから、加藤氏拘束解除によって、一気に日韓関係改善というのは、少なくとも国民感情のレベルでは殆どないだろうと思いますね。

この記事へのコメント

  • almanos

    改善する訳が無いと思います。明らかに「異常」な状態ですから。7/8以降は関わりそのものを持つ事が「マイナス」になるでしょうし。世界的な流れでもありますしね。「権力に阿る卑しさ」が全てに優先する上に「平時の敬意無き食人」を肯定する「卑文明にして異文明」ですから。
    2015年04月16日 06:14
  • ぽーる

    TVで似非コメンテーターが言いそうですね「帰してくれた」「前向きに捉えて」とか。
    2015年04月16日 18:29

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