アシアナ航空機の広島空港着陸失敗事故について

 
今日はこの話題を極々簡単に…

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4月14日、韓国アシアナ航空162便(エアバスA320)が着陸に失敗し、滑走路外に逸脱する事故を起こしました。今のところ、死亡者が出ていないのが不幸中の幸いといえるかもしれませんけれども、事故原因は、ローカライザーとの接触と見られ、パイロットの操縦ミスではないかとの声も上がっています。

ローカライザー(Instrument Landing System:ILS)とは、着陸進入する航空機に対して、空港・飛行場付近の地上施設から指向性誘導電波を出して、視界が悪いときでも滑走路上まで誘導する計器進入システムです。

通常、航空機はローカライザーの上空30メートルを飛ばなくてはいけないところ、事故を起こしたアシアナ航空は、接触時上空6メートルという超低空で進入したようですね。

視界不良に備えて、安全に誘導するために設置されたローカライザーに接触するということは、ローカライザーが壊れていたか、スイッチを切っていたのではないかと思ってしまうのですけれども、一部の報道は、事故当時、通常の着陸進入方向と同じ西から東への風が吹いており、管制が通常とは反対方向である東から西への着陸進入を指示したため、ローカライザーが動作せず、パイロットが手動着陸を行い事故が発生した、と伝えています。

アシアナ航空は、2013年にも、サンフランシスコ国際空港で似たような着陸事故を起こしています。事故機は、通常の着地地点から数百フィート手前の滑走路に尾部が激突し、衝撃で垂直尾翼と水平尾翼が胴体から破断したのですけれども、通常の着陸地点のはるか手前で接地したということは、このときも低高度で進入したと考えられます。

しかも、この時は例のローカライザーの一部が改修のために停止していたそうです。つまり、両者は共にローカライザーなしでの手動着陸で発生した事故だというわけです。

ローカライザーの有り無しで、それ程、着陸の難易度が変わってしまうのかとも思ってしまうのですけれども、大昔はILSなしで着陸していた筈ですから、あまり言い訳にはならないかもしれません。

今回の事故について安全担当の山村明好副社長は、「お客さま、各航空会社などのみなさまに心より深くおわびする」と謝罪していますけれども、実はこの山村氏は元全日空のパイロットで、2013年のサンフランシスコ国際空港の事故を受け、アシアナ航空が、初めて外国人の安全担当最高責任者として招いた人物なのですね。

山村氏は就任当時「世界最高水準の安全基準にANAの安全習慣をうまく混ぜ合わせ、新しいアシアナの安全文化を構築したい。…事故に焦点をあてるのではなく、根本的に何が必要なのかを精査し、アシアナに合うシステムを構築したい」と抱負を述べていましたけれども、また再び同じような事故を起こしたとあっては、内心忸怩たるものがあるかもしれません。

"根本的な何か"が精査できなかったのかどうかは分かりませんけれども、少なくとも、現時点では「アシアナに合うシステム」は完成していないと言わざるを得ないですね。

その意味では、事故にもしっかりと焦点を当てた上で、根本的に必要な何かちは何だったのかを公表していただきたいと思います。

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