今日は諸般の事情により、雑談を極々簡単に…

ここの所、何かと話題に上がるAIIBですけれども、マスコミからの「AIIBに参加しろ」という煽り記事が後を絶たないですね。
各社の報道をみても、一部を除けば、ほぼ、参加しろ一色で気持ちが悪くなるほどです。そして、当の中国はしつこいくらいに日本に入るよう要請しています。14日の人民網では「AIIBをめぐる日本の姿勢に変化 加入する方向へ一歩前進」などと、加入を決めたかのような記事を書いています。
日本は麻生財務相が、参加を何度も明確に否定していますし、16日には、アメリカのルー財務長官と会談し、「AIIBについて、国際的に確立したスタンダードに基づくことが重要ということで、一致をしています」参加見送りの方針を再確認していますね。
筆者はこれまで、AIIB設立の狙いは、近々には中国国内の経済対策、中長期的には、人民元のハードカレンシー化にあるのではないかと述べてきましたけれども、先日、香港の英字紙サウスチャイナ・ モーニング・ポストがシンクタンク関係者の話として、AIIBによる融資・決裁通貨に人民元を加えるよう加盟国に働き掛けると報じています。やっぱりそうかという感じです。ただ、ちょっと本性を露わにするのが早すぎる気がしますね。イギリスが参加表明したことで、イケる、とでも思ったのでしょうか。
「いつまでも発車しないAIIBバス」のコメント欄で、opera様が指摘していますけれども、イギリスは暫定的創設メンバーに参加する積りだという表現で、参加するとは言ってない。「暫定的な協定の条項に付いての討議に参加する」とだけ。渋いですね。要するに、何も決まっていないということです。
くだんのブログでは、イギリスはAIIBについて透明性やガバナンスの確立に一肌脱ごうとやる気満々であることから、今後の協議の行方に疑問を投げかけていますけれども、御説ごもっともです。
これが、国内報道になると、イギリスが参加を決めた、となるのですから、バイアスが掛かっていると言わざるを得ません。確か、この間も、ドイツのメルケル首相が日本にAIIBに参加するよう呼びかけたと報じていましたけれども、菅官房長官がそんな事実はない、と全否定しています。
その意味では、冒頭で紹介した人民網の記事も「トバシ記事」の可能性が高い。これほど政府が参加見送りを強調しているのに、その真逆をいく報道が執拗に繰り返されること自体、おかしいと思うべきですね。
要するに、情報戦が行われているということです。
まぁ、マスコミは相変わらず「バスに乗り遅れるな」論を振りかざしていますけれども、今回のように「決裁に人民元を使え」などと言い出すと、流石に怪しいと思う人も出てきますし、その数が増えてくれば、マスコミもそれを無視することはできなくなります。なぜなら、自分が煽っている手前、胴元の発言を隠蔽することはできない上に、記事についての説明責任も求められるからです。
実際、当初から比べれば、AIIBのガバナンスの問題にも触れるなど少しだけ論調が変化しているようにも感じます。まぁ、この調子だと、日本は見ているだけで、中国が自分で勝手に襤褸を出してくる気もします。ですから、慌てる必要は全くないと思いますね。
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