中華帝国の道具となるAIIB

 
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この程、国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーは、中国が南シナ海のスプラトリー諸島内のファイアリクロス礁で、滑走路建設を始めたとする衛星写真を公表しました。

それによると、礁の北東部に長さ503メートル、幅53メートルの舗装部分があり、これが南シナ海における中国初の「滑走路」となると指摘した上で、埋め立てにより、全長3000メートルの滑走路の建設が可能だとしています。また、長さ400メートル、幅20メートルの駐機場用地とする舗装箇所などもあるようです。

埋め立てについて、中国外務省は「われわれは、航海や探査・救助活動、あるいは海洋気象予想のサービス、漁業関連サービスなどの支援に、シェルターを建設している。…関連の建設作業は完全に中国の主権の範囲内」と述べ、島や岩礁が、軍事面での防衛目的にもかなうとの見方も示しています。

口では「正当、妥当かつ合法で、他国に影響を及ぼすことはなく、対抗する目的もない」と言っていますけれども、まぁ、他国との領有権争いをしている海域で、堂々と滑走路建設するのですから、周辺地域の警戒を招くのみならず、脅威となっているのは間違いないですね。

これについて、領有権を争うフィリピン政府は、埋め立てによっておよそ1.2平方キロメートルのサンゴ礁が破壊され、これによる沿岸国の経済的損失は年間1億ドルに上り、南シナ海の生態系に回復不可能な被害を与えていると批判。更に、「地域の平和と安定を脅かし軍事増強への不安を駆りたてるものだ」などとして、中国に埋め立ての中止を求めていますけれども、当然の反応ですね。

実際、この海域は、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾、中国が領有権争いをしているだけでなく、日本にとってもシーレーンにも当たりますから、他人事ではありません。フィリピンのアキノ大統領は「全世界の問題だ」と各国に中国に対する警戒を強めるよう求めていますけれども、その危機感は共有しておくべきものですね。

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中国が自身の軍事拡張と並行して進めているのが、「一帯一路」構想です。これは、2013年9月から10月にかけて、習近平主席がカザフスタンとインドネシアを訪問した際に提示された構想ですけれども、陸は、中国沿海、中原、西北を抜け中央アジア、ロシアを経てヨーロッパ西海岸に至る"一路"。海は南シナ海からインド洋に抜け、中東から地中海をうかがう"一帯"と見られていました。

尤も、13日に中国中央テレビが「一帯一路」構想のイメージ図を放送したのですけれども、それによると、陸路は、「中央アジア―ロシア―欧州」、「中央アジア―西アジア―ペルシャ湾―地中海」、「東南アジア―南アジア―インド洋」の3路。海路は「南シナ海―インド洋―欧州」、「南シナ海―南太平洋」の2路線。「一帯一路」といいながら、その実態は「二帯三路」です。

この「二帯三路」が通る「沿線国」なのですけれども、これはAIIBの創設メンバー国をほぼ網羅しているのですね。

中国は、AIIBはアジアのインフラ整備のために創設するという建前を唱えています。つまり、元々、AIIBと「一帯一路」構想はリンクしていて、AIIBの創設メンバーをみて、「一帯一路」から「二帯三路」へと軌道修正したと考えることもできますね。

その意味では、もしも、AIIBが国際基準を逸脱し、中国の思いのままにコントロールされる組織となるのなら、AIIBは「二帯三路」を介した"中華帝国"構築の道具であるとも言えます。一説には、当面のアジアインフラ資金需要の76%は中国向けとも言われていますけれども、額の多寡はどうれあれ、インフラ整備の名目で、ばんばん融資して"中華帝国"の建設に着手するとみるべきでしょうね。

問題は、それを"人の褌"でやろうとしていることで、その褌の中に日本が入ることは、中華帝国の建設に力を貸すことになります。

中華帝国が世界に幸を齎すか、災いとなすか。いよいよそれを問われる時が来たのだと思いますね。

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