緊縮財政の番人が先んじた先にあるもの
昨日の続きを極々さらりと…
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昨日のエントリーでは、中国のバーバリアンハンドラーこと金立群氏について取り上げたけれど、いち早くAIIB参加表明したイギリスにも金立群氏のカウンターパートナーがいます。ジョージ・オズボーン財務大臣がそうです。
彼は、セントポールスクール、ロンドン、マグダレンカレッジ、オックスフォードなどを卒業し、デビッド·キャメロンの片腕を務める1971年生まれの若い政治家で、緊縮財政の番人とも評されています。
その政策はサッチャリズムを継承し、外交政策はタカ派と見られていますけれども、対中関係で重商主義路線をとっています。
例えば、去年3月にイングランド銀行と中国人民銀行との間で、人民元取引の決済サービスに関する覚書に調印した際にも、オズボーン財務大臣は「我々は過去3年間に渡り、ロンドンを西側諸国の重要な人民元取引センターにするため、政府の取り組みを推進してきたが、ついに収穫を得た。英国の人民元決済銀行が一日も早く設立されることに期待する」と述べ、10月には、西側諸国では初めてとなる人民元建て3年国債を、中国以外では最大規模となる30億元発行し、注目を集めました。
そして、また一昨年の11月には、中国人向けビザ制限を緩和したりするなど、中国資本の引き込みを図っています。
フィナンシャルタイムズによると、今回のイギリスのAIIBの参加についても、その背景にはジョージ・オズボーン財務大臣の力があり、イギリスを中国の特権的なパートナーになることを目指していると指摘しています。
なんでも、AIIB参加による地政学的な影響については、関係機関に文書が1枚配られただけで、国家安全保障会議で議論されませんでした。外交機関は同盟国との相談が十分でなかったことに驚いたそうで、これが本当であれば、アメリカが激怒したというのも分かるというものです。
オズボーン財務大臣は、昨年、インターネットで広告ビジネスを展開する多国籍企業を対象とした税、いわゆる「google税」なる税金を新設するなどしています。
オズボーン財務大臣は、こういうユニークというか、これまで誰も考えなかったようなことに、いち早く気づいて実行することで、利益を得るタイプの政治家に見える。先んずればナントカ…。
オズボーン財務相は今回のAIIBの加入決定が正しい選択だとし、アメリカの反発は想定の範囲内だと発言しているようですけれども、先んずれば人を制する、といっても、それは、他の人も自分と同じ条件、環境で動いているという前提があってのことで、いくらスタートダッシュだけ早くても、他の人がバイクで追っかけてきたら、たちまち抜かされてしまうし、また、目の前に落とし穴があるのに気付かなかったとしたら、最初に動いた人がそれに引っかかる。
つまり、前提条件が全然違う相手に先んじても、結果が良いとは限らないということです。「先んずれば人身御供」なんて可能性もないとはいえないですね。
既にAIIBは日米両国の不参加表明によって、"二流格付"となり、資金調達コストが嵩むとみられています。資金調達コストが嵩むと、その分、儲けを出すためには、高金利に設定し、リスクの高い案件にも手を出さなくてはなりません。
確か、タイとの共同鉄道事業でも、タイ運輸省から金利が高すぎるとして交渉が難航していると聞きます。ですから、一概にAIIBが立ち上がったから直ぐに儲かる云々といった、簡単な話ではないような気がしますね。
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