オーストラリアの次期潜水艦と集団的自衛型国防

 
今日も極々簡単な感想エントリーです。

 ブログランキングに参加しています。応援クリックお願いします。

2月20日、オーストラリアは日本とドイツ、フランスに対して潜水艦建造プロジェクト入札への参加を求める声明を発表しました。

オーストラリアの「3カ国は潜水艦の設計・建造能力面で実績があり、現在も潜水艦を生産している」と述べ、およそ10ヶ月間の評価の上、契約先を決定するそうです。

このオーストラリアの次期潜水艦建造プロジェクトでは、当初から日本の「そうりゅう型」潜水艦が最有力とされていたのですけれども、日本に潜水艦輸出の経験がないことや、次期潜水艦にアメリカの戦闘システムと、米豪共同開発の魚雷を搭載するという要求を満たせないのではないかという技術的懸念や、国内造船産業が衰退するのではないかという経済的側面、そして中国を刺激するのではないかという外交的側面が複雑に絡み合い、日独仏の競合ということになったようです。

そうりゅう型のライバルとなるのはドイツTKMS社の216型、フランスのバラクーダ級原子力潜水艦をモデルとした通常動力型だそうなのですけれども、オーストラリアの防衛当局者によると、アメリカ海軍との相互運用性や国内産業の関与の度合いが基本的な検討対象になると示唆しています。

オーストラリアの潜水艦専門家であるレックス・パトリック氏も「性能よりも(米政権のアジア戦略といった)要因が調達先を決めるだろう」と述べていて、技術的要因よりも、運用または戦略的観点からの選定になるようです。

確かに、どんなに性能が凄くても、複雑で操船が著しく困難で人を選ぶような代物だったら、実運用に支障をきたしてしまい、結局使えないものになってしまいますし、仮に使いやすかったとしても、相互運用性が低く、オンリーワン過ぎるものであったら、やっぱり困ります。

相互運用性(interoperability)とは、複数の異なるものを接続したり組み合わせて使用したときでも、きちんと全体として正しく動作する性能のことを指しますけれども、これが高いと他国のシステムと連携しての作戦行動も取りやすくなります。

現代戦は、相手を目視で確認して迎撃するものではとっくになくなっていて、様々なデータを活用しながら行う"電子戦"に変わっていますから、同盟国の衛星や哨戒機からのデータを受け取れない仕様だと非常に困るわけです。

まぁ、これが、他国を一切頼らず、自国で全て解決するというのであれば、構いませんけれども、今や国防は、複数の国同士が同盟、或はそれに近い関係を結んで相互に防衛強力する"集団的自衛"の時代になっています。

あのアメリカでさえも、とうとう世界の警察官を辞める宣言をしました。ですから、今後益々友好国間同士で連携した"集団的自衛"を柱とした国防体制が主流になっていくはずですね。

それを考えると、現在アメリカと同盟関係にあるオーストラリアが、新規調達潜水艦の相互運用性を重視するのも当然だと言えます。

そのアメリカですけれども、つい最近アデレードで先週開かれたオーストラリアとの会合で日本製の潜水艦の導入を支持したと話題になっているようです。これを見る限り、アメリカは太平洋を日米豪の三ヶ国で連携して対応しようしているように思われますし、また、日本にとっても、そうした新しい時代の国防の在り方にも当然適応する必要があります。

オーストラリアの次期潜水艦が決まるのは今年末頃と見られています。注目ですね。

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    北海や地中海での運用が主なヨーロッパ勢より
    太平洋での運用実績のある日本の方が技術的には上だろうが,
    オーストラリア当局の言っていることは
    性能よりは政治が大切だと言うことだろう.
    特に, 支那とどの程度対決する覚悟があるかにかかる.
    オーストラリは親日国家だとは言われているが,
    戦争で物理的に・精神的に・モラル的に痛い目に合わせた
    日本をライバル視する傾向があるのではないかと思う.

    防衛予算を2%まで引き上げれば当てにならない
    外国を頼む必要もなかろうに.
    2015年04月04日 12:37
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    戦争で物理的に・精神的に・モラル的に痛い目に合わせた
    ->
    日本に戦争で物理的に・精神的に・モラル的に痛い目に合わされ,
    2015年04月04日 12:41

この記事へのトラックバック