今日は雑談エントリーを極々簡単に…

5月3日、日本エジプト友好議員連盟会長の小池百合子元防衛相が、エジプトのシシ大統領と会談しました。
その中でシシ大統領は、日本人の勤勉さや規律を守る国民性について、イスラム教の聖典コーランの教えの実践でもあるとの考えを示し、日本人を「歩くコーラン」だと讃えたそうです。
シシ氏は、2011年の1月25日革命(エジプト革命)で、ムバラク政権が崩壊した後、2013年7月3日のエジプトクーデターを経て、民衆の圧倒的支持を集めた人物ですけれども、2014年の大統領選挙に出馬したところ、なんと得票率96.91%で当選。エジプト大統領となりました。
シシ大統領は、低迷するエジプト経済の浮揚を最優先課題に据え、投資規制緩和とインフラ整備プロジェクトを重視し、スエズ運河再開発などを行っていますけれども、大統領選挙では「エジプトを改革するため、朝早くから夜遅くまで共に汗を流そう」と国民に呼びかけ、また、夫を亡くしたため43年間にわたって男装して働き、娘を育て上げたシサ・アブ・ダウーさんを「働く母親の模範」として自ら表彰するなど、国民に努力を求め、それによって経済を活性化させようとしています。
そのため、シシ大統領は公務員の「午前7時就業」を打ち出し、大臣以下幹部クラスは実際に7時に登庁しているようです。どうやら率先垂範型で引っ張っていこうというスタンスのようですね。その一方、実利主義者で人の意見を良く聞き、歴代大統領とは異なる独自の政治プランをもっていると評価する人もいます。
こうしてみると、シシ大統領が日本人を「歩くコーラン」だと持ち上げてみせたのも、半分は外交辞令だとしても、残り半分は、エジプト国民に向けたコメントではないかと思いますね。
確かに、国民に努力を促して、生産性を上げることで経済を活性化させるというのは、"王道"だとは思いますけれども、それを"王道"足らしめるためには、やはり、国内が安定していなければなりません。
国民が汗水垂らしてインフラを整備したとしても、テロか何かで爆破されると、結果として、国民の努力を否定することになってしまいます。それが続くと国民のモチベーションは下がり、経済活性化どころか、シシ大統領の首が危うくなってしまいます。
シシ大統領は、形の上では、国民の選挙によって選ばれたことになっていますけれども、元々は2013年のエジプトクーデターの首謀者なのですね。クーデターによって、権力を握った者は、クーデターによって倒される危険を内包しています。なぜなら、自らの権力の正統性がクーデターに拠っているからです。
まぁ、シシ大統領は、クーデター成功後、アドリー・マンスール最高憲法裁判所長官を大統領とした暫定政権を樹立させ、自らが直ぐに大統領にはならず、1年待ってからの選挙によって大統領になるという手順を踏んでいますから、選挙によって選ばれたことを自らの正統性にしたいのかもしれません。
けれども、それをいうなら、シシ氏のクーデターによって倒されたムルシー氏も選挙で選ばれた大統領です。シシ氏は、それをクーデターで倒してしまったのですから、いくら自身が選挙で選ばれたと強調したとしても、それを正統性とするには、まだ弱い。したがって実績が十分でない今の段階では、やはりクーデターで倒されてしまう危険があるわけです。
それを避けるためには、治安を安定させて経済を活性化し、それを、おそらくは何十年も持続させ続ける必要があるかと思いますね。選挙で90何%とったからといって安心はできない。
シシ大統領はこれから長い長い厳しい道のりを歩むことになると思います。まぁ、今はまだ、治安の安定が大きな課題として残っていますから、しばらくは経済対策と二本立てでいくのではないかと思いますけれども、将来、治安が安定するようになれば、次の段階として「歩くコーラン」に協力を求めてくる可能性はあると思いますね。
この記事へのコメント
白なまず
ちび・むぎ・みみ・はな
悪企みは暗闇で行なうものだ.
日の出と共に仕事が始まるなら国は安定する.
一般に欧米は仕事開始時刻が早いのは当然だが,
夜まで飲んでいても次の日も早朝出勤である.
この点は日本人(の肝臓)にはマネができない.