今日はこの話題を極々簡単に…

5月13日、日銀の黒田東彦総裁は参院の「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」に出席し、昨年4月の消費増税8%への引き上げについて「経済に想定以上の影響を与えたのは事実だ。…やや予想を超えた大きさだったと認めざるを得ない」と述べました。
増税前は「予定通り増税しても、基調的に潜在成長率を上回る成長が続く。景気が腰折れするとは思っていない」と啖呵を切っていた、黒田総裁もとうとう負けを認めたというわけです。
実際、消費増税の影響はとても大きいものでした。次の図は、5月1日に総務省統計局が発表した「消費支出の過去の消費税導入時等との比較」のグラフですけれども、増税前の2013年の年平均を100として、増税後の推移を指数化したのが(3)と(4)です。
これをみれば、一目瞭然で2014年3月までプラスで推移していたのが増税後にどーんと落ち込み、5ポイントのマイナス、1年経ってもまだ元の2013年水準まで達していません。
まぁ、でも回復傾向にあるからいいではないか、という見方もあるかもしれません。けれども、これはアベノミクスを継続し、株価がうなぎ登りの状態を維持した中のことです。日経平均をみると、2014年3月は14827.83円だったのが2015年3月には19206.99円。率にしてほぼ30%株価が上がっているのに、消費支出はマイナスのままです。
次の図は今年3月に、みずほ総合研究所が発表した賃金に関するレポートですけれども、名目賃金はやや上昇しているのに対して、実質賃金は18ヶ月連続のマイナスです。みずほ総研は、これを消費増税や円安に伴う物価上昇率が名目賃金の上昇を上回っているからだとし、この実質賃金の低下が購買力を低下させ、消費増税からの回復を鈍らせている原因だと指摘していますけれども、まぁそういうことですね。
それ以前に、名目賃金で1~2%程度しか上昇してないのに、消費税が3%アップしたら、それだけで差引きマイナスです。そこに、円安による物価高が追い打ちをかけるのですから、プラスになるわけがありません。
まぁ、確かに中長期的にみれば、その名目賃金とて消費税分を上回る上昇をするかもしれませんけれども、日経平均で30%上がっても、賃金は3%も上がらないのです。2014年の賃金上昇率を均して大体1.5%だとみても、株価30%上げで1.5%の賃金上昇だとすると、5%から8%への消費増税分の3%に追いつくためには、単純計算でここから更に30%株価が上がらなくてはならなくなります。
今年3月の株価19206.99円の3割増しは24969.087円になりますけれども、計算上は日経平均がここまで上昇して漸く消費増税3%の影響をキャンセルできることになります。
2014年から2015年までの日経平均の上昇が今後もそのまま続くと仮定して日経平均のチャートから、今の株価の3割増し水準となる25000円台に何時頃のるのか単純に線を伸ばしてみると、大体2016年8月くらいになるように見えます。
つまり、来年の夏頃になってようやく消費増税8%の影響が相殺されるということですね。
安倍総理は解散総選挙までやって、財務省と対決して消費増税10%を2017年4月まで先送りしましたけれども、これがもし、当初予定通り今年10月の増税していたら、とんでもないことになっていたと思われます。その意味では、安倍総理の先送りの決断は、最悪の最悪を防いだものだったといえるでしょうね。
安倍総理は、5月12日の経済財政諮問会議で「経済再生なくして財政健全化はない」と経済成長の達成を優先する方針を表明しました。また、同じく経済財政諮問会議に出席した、甘利経済再生担当相は、安倍内閣で消費税率10%を超えることは想定していないと述べていますから、消費増税の悪影響を相当認識していると思われます。
けれども、そう思っているのであれば、消費増税ではなくて消費減税をすべきですね。+3%の消費増税がこれほどの悪影響を与えるのですから、逆をやるのがシンプルで効果がある筈です。それが出来ない理由が何かは分かりませんけれども、今のところ安倍内閣は経済成長でそれをカバーする道を選ぼうとしています。
ただ、消費増税10%となると、2014年4月からみて都合5%以上の賃金上昇がないとその影響は相殺されないことになります。先の日経平均の上昇率換算でいえば丁度100%、つまり、2014年の倍、38000円以上となります。これは丁度、バブル景気の最高値とほぼ同じですから、それくらいまで景気を良くしないと消費増税10%の影響はキャンセルできないことになります。
まぁ、実際は、今の株価水準で、名目賃金上昇率1.5%、実質賃金はマイナスの状況で消費支出が増税前水準に近づいていることを考えると、バブル最盛期まではいかなくても、そうなるような気がしますけれども、ただこれは、何事もなく、一本道で経済成長しての話ですし、何よりそこまで安倍政権で居続けられるかという問題もあります。
まぁ、東京オリンピックまでは景気上昇局面を演出しやすいでしょうから、そこまでにどこまで頑張れるか。それを考えると、アベノミクスとて決して楽な道ではないと思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
株式と賃金に直接の関係はないだろう.
安倍首相が株価に拘るのは分かり易く,
そして操作し易いからだ.
実際問題として, 株価が上がるのは買いが沢山入るからだが,
売り買いの大半が海外の投資家に依るものなのだから,
株価が上がる, つまり海外からの買いが集中したからと言って
日本人の賃金が上がるわけではない.
株価上昇は円安の影響が大きいだろう.
つまり, 海外から見て, 日本の株が割安に見えると言うだけの話し.
株価で国民を煽って政府の経費削減の悪影響を誤魔化すという
安倍政権のやり方は国民を欺くものだろう.
米国からの要請も断ってまで経費削減に邁進する理由は
何処にあるのだろうか.
物の分かった反日勢力からすれば,
暫く経費削減をもてはやしておいて,
賃金に対する国民の不満が出始めるのを待てば良い.
不景気感は騒動を起こすのに絶好の機会である.
日本の政治家は歴史を知らない.
低学歴ほど外国で暮らしたことがない
大企業に入れない奴隷階級は介護でもしてろ
在日ですか?
海外で暮らしたこともない低学歴低納税乙