増税の野望を捨てない財務省

 
昨日のエントリーの続きを極々簡単に…

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昨日のエントリーで述べたように、消費増税8%の影響はやはり想像異常に大きかった訳ですけれども、増税前、有識者はこぞって増税しないと財政の信任が落ちるから増税すべしと述べていました。

2013年9月の「消費増税の集中点検会合と安倍総理の胸の内」のエントリーでは、消費増税の影響を検証した集中点検会合について取り上げましたけれども、当時その会合に出席した60人の識者のうち7割超にあたる44人が予定通りの増税を主張していました。

彼らは、「消費増税に伴う景気の落ち込みは軽微」だの「国際的な信認が失われ、株・債券などへ悪影響を与える。長期金利の冒頭が懸念され、企業活動・金融システム・財政に大きな打撃となる」だの言っていましたけれども、それがこのザマですからね。

嘉悦大学の高橋洋一氏は、5月12日の夕刊フジの連載記事で「増税の影響『なかったこと』にしたい日銀総裁や学者 誰も口にしないお寒い現状」と題して、識者や大手マスコミをボロクソに批判しています。この記事で高橋氏は日銀の黒田総裁を「消費増税の直接的な影響について語らず、消費増税の影響は軽微であるとの見通しは大外れであったが、それを認められないのだ」と批判していますけれども、この記事を読んだのか読んでないのか、黒田総裁は、翌13日に国会で自らの過ちを認める発言をしました。

その意味では、黒田総裁は、消費増税に賛成したその口を拭って知らんぷりしている、そこらの有識者よりはマシなのかもしれません。

今回の想定以上の消費増税の悪影響は、政府に大きな衝撃を与えているようで、ある政策当局者は「国民が消費税にものすごく敏感だということがわかった」と述べ、10%への引き上げ時には、経済対策を実施し、景気の落ち込みをできるだけ回避する政策対応を検討しているようです。

けれども、"景気の落ち込みをできるだけ回避"だなんて文句は、消費増税によって景気が落ち込むことが前提だと自ら白状しているも同然です。

結局、なんだかんだ言っても、消費増税は景気を落ち込ませるということですね。

黒田総裁が自らの見通しが外れたことを、参院の「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」で認めたのですけれども、参院の調査会は長期的かつ総合的な調査を行う目的で設けられた参議院独自の機関で、参院の改選にあわせて3年間設置されます」

今回の「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」は去年の8月7日に設置され、これまで何回か会議が行われているのですけれども、4月15日に行われた会合で、前出した嘉悦大学の高橋洋一氏が参考人として出席し、消費増税の影響は甚大だった、と述べています。次にその部分を引用します。
参考人(高橋洋一君) 嘉悦大学の高橋でございます

 最後に、消費税の話、ちょっと時間もなくなっちゃったんで簡単にいきますけれども、消費税の増税について本当に迷言が多かったと思います。実は消費税が軽微であるとか、国際公約に反するとか、消費増税しなかったら暴落するとか、財政再建のために必要だとか、国際的に二〇%、たくさん言われましたけれども、ほとんど当たっていませんね。

 それで、ここではちょっと二点だけ述べますけど、消費税が社会保障目的税ということになっていますけど、これは世界標準からかなりずれています。その前に、消費税の影響は甚大だったということを実はこれは表しているのはこの図です。いいところ行って、ほとんど需給ギャップがなくなるところまで行ったんですけど、消費増税でがたんとおっこってしまいまして、需給ギャップは今十三兆円ほど開いております。これで軽微なはずないです。

 それで、実はこの理由について反動減だという人もいましたけど、反動減と駆け込み需要は実は推測できます。大体GDPの〇・七%ぐらいですけど、今回これで二%ぐらいおっこっていますから全く違いますね。要するに、普通の経済理論ですとこのくらいの予測はできるんですけれど、なぜあれだけ予測が外れちゃったのかと、これは実は議会の方でもきちんと検証した方がいいと私は思うくらいであります。

 消費税の話。

 これは、一番最後に書いてありますけど、社会保障目的税にしている国なんて聞いたことないです。私はこれ経緯をちょっと知っていますけれど、実はこれ社会保障目的税にしようと思って、それは財務省の方で言って、これは最初に、一九九八年の自自公連立のときですけれど、そのときに予算総則に書いていまして、このときは実は小沢一郎さんに話しかけて書いたという経緯がありますけれど、実はそのときに、平成十二年の税制改正答申、これも私も多少関わっていましたけど、そこに書いた文言がこれで、諸外国において消費税を目的税としている国は見当たらないということです。

 実は、普通の理論で考えると、社会保障にするというのはあり得ないです。普通は社会保障は年金で賄うもの、お金の払えない人は実は年金保険料払えません、社会保障の保険料払えませんね。それですから、その人は実は高額所得者から所得税取って穴埋めると、それが原理です。ですから、その意味で消費税が出てくる余地はほとんどなくて、消費税が出てくるのは、安定財源ですから、大体地方の財源であると、地方若しくはそういうふうなところでよくやるというようなパターンが多いです。

 例えばオーストラリアとか、ほかの国なんかでもドイツ、オーストリアなんかで、国、地方というものが消費税を共同税としているとか、そういうのがあります。カナダなんかでは両方、国とその上に地方で消費税を上乗せしていると。アメリカなんかでは、実は国は消費税はなしで地方しかないと。

 そういうことなので、結構分権度が高い国はほとんどが実は消費税というのを地方の安定財源に回しているというところだと思いまして、それは実は、社会保障に回すという形になると国税化になるんですよね。これはもちろん国税化にしたいがゆえに社会保障目的税と言っているんですけど、それはちょっと財政、年金とか社会保障の理論からもちょっと逸脱した話だと思います。

 最後に、消費税の正しい理解を言いますけれど、実は影響は甚大でした。よく考えてくださいということです。

 このときに、これは影響が、私は実は、消費増税したら二〇一四年度の経済成長率はマイナスになるということはきちんと言っていますけど、それがどうして言えなかったのか。普通の経済モデルを使うと、この辺りは簡単に言えます。というか、それがなかったというのが非常におかしいというふうに思います。

 あと国際公約、これはもう安倍さんが答弁しましたけど、全く関係ありません。国債暴落も全然しません。それと、先ほどのCDSのレートでもほとんど上がっていません。実は何にも起こらなかったというのが現状です。

 それとあと、よく二〇%と言われるんですけど、環太平洋の国で見てもらったら、そんなに高い国は余りないです。ヨーロッパは特に高い。ヨーロッパが特に高いのは、いろんな事情があります。

 ということで、時間だと思いますのでこれで話を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
とまぁ、このとおり。そんなに悪影響があるのなら、やっぱり消費増税など止めればいいと思わざるを得ません。それでも、財務省は増税の野望を全然捨ててはいません。

ジャーナリストの磯山友幸氏は、5月8日、財務省が今年3月末時点の「国の借金」残高を発表し、「国の借金が増えた」と大騒ぎしているのは、消費税10%不要論を封じる「情報操作」だと厳しく批判しています。

これが本当だとすれば、財務省は、今から増税のための下準備に入ったとみることもできますね。果たして次の増税を迎える2017年の世論はどうなっているか。増税不要か必要か。

まぁ最後には、"景気"がその答えを出すのでしょうけれども、"税"など、国民生活がきちんと成り立った上で納めるものです。税によって国民生活を壊してしまっては元も子もありません。

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    財務省はせっせと省益を目指しているが,
    次の消費税増が財務省主導で強行されたと
    国民が考える, もしくは, その様なプロパガンダが
    なされた場合には財務省が解体される
    と言うことを考えないのだろうか.

    そう, 考えられないのだろう.
    増税に向かって走る鼠の集団と変わらない.

    藤井氏が「凡庸という悪魔」で指摘している通り.
    日本の最高学府を出た人も実は多くが凡庸で,
    彼らは狂人よりもたちが悪い組織を作る.
    そんな組織の「深意」なぞは阿呆らしくて考える
    気にもならない.
    2015年05月15日 11:46
  • 泣き虫ウンモ

    自分たちが、マイナスを産み出している張本人であることに、いつになれば気が付くのでしょうかね。


    というか、政治家自身が気が付かないとね。

    知天狗も悪くないけど、短期間に止められないということは、相当なもんでしょうね。
    2015年05月27日 23:02

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