50年経ってようやく正常化に向かう日韓関係
昨日のエントリーに少し関連して…
5月21日、政府は、東京電力福島第1原発事故を理由として韓国が日本産水産物の輸入を規制している問題で、規制には科学的根拠が乏しく不当な差別に当たる―として、日本からの水産物を含めた全食品の輸入について規制撤廃を求めるため、韓国を世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きに入りました。
この問題については、以前「日本政府、韓国をWTOに提訴 」のエントリーで取り上げたことがあったのですけれども、どうやら当時はWTOに「特定の貿易上の懸念(STC)」を表明しただけで、実際の提訴にまでは踏み込んでいなかったようです。この部分についてはお詫びして訂正させていただきます。
そのエントリーでも少し触れていますけれども、WTOでは、紛争解決手続に係る規律として、「紛争解決に関する規則及び手続に関する了解(DSU:Dispute Settlement Understanding)」が定められていて、今回の措置は、紛争処理小委員会に付託する直前に行う二国間協議の準備です。
既に21日の段階で韓国に二国間協議を要請しているのですけれども、協議でも解決しない場合は、裁判に当たる紛争処理小委員会の設置を2ヶ月以内にWTOに要請し、正式に提訴する流れとなります。
林芳正農水相は、韓国政府の輸入禁止は 「WTO協定との整合性の問題がある段階と考えている。…これまでと同じ協議では、両国間の努力を続けても韓国政府が早期に規制を撤回する可能性が小さいと判断して、今回WTOの紛争解決手続きでの協議を要請した」と背景を説明しています。
日本はこの輸入禁止措置が施行されてから1年8ヶ月もの間、いくつかの機会を利用して韓国に対し規制を撤回するように促していたのですけれども、まるで規制撤回の兆しが見えない為、今回の措置となったようです。
ただ、ネット一部でもはや指摘されていますけれども、このタイミングでの提訴準備は、韓国が今話題の「明治日本の産業革命遺産」の邪魔をしていることに対する報復措置ではないかという見方もあります。確かにその可能性はある。
実際、韓国に二国間協議を要請したのは、世界文化遺産登録に関する日韓事務レベル協議の前日ですから、仮に報復だったとしても、「世界文化遺産登録の事務レベル協議でそちらが反対の姿勢を崩さないのなら、こちらもしかるべき措置をとるぞ」という外交メッセージだともいえると思いますね。
韓国はこの措置にビビり始めたようで「日本政府が要求し続けた水産物の輸入規制緩和措置を韓国が受け入れない中で、来年の総統選挙を控えた台湾が規制をさらに強化すると、韓国を犠牲の羊にしようとしている。…特に韓日の主要長官の相次ぐ会談を前にこのような措置を取ったのは理解できない」と述べています。
まぁ、流石に、日本からの"外交メッセージ"に気づかないことはないとは思いますけれども、いつものように即座に反論してこないあたり、多少、意表を突かれたというか予想していなかった可能性はありますね。
筆者のみる限り、安倍政権の韓国に対する態度は、度重なる挑発には、菅官房長官を始めとしてすぐに反論する一方で「対話のドアはオープンだ」の旗を掲げています。なんというか、常に正門玄関で対応し、裏口から入ってくることを許していない感じですね。極めて、ニュートラルな対応だと思いますし、もはや"価値観を共有"していない隣国なのですから、この対応は当たり前だと思いますね。
毎日新聞は社説で、「今年は日韓国交正常化50周年なのに、日本政府内に『韓国など放っておけばいい』という雰囲気が充満している現状もまた不健全だ。」などといっていますけれども、筆者には、まさしく両国が「普通の両国関係」へと"正常化"していっているように見えます。ですから、こちらのほうがはるかに"健全"だと思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
日本国が成立して以来の歴史の中で何パーセント位ある
のだろうか?