本性を顕わにした中国とAIIB

 
今日はこの話題を極々簡単に…

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5月22日、シンガポールでAIIBの第5回首席交渉官会合が行われました。中国財務省は参加した57ヶ国の代表が設立協定に合意したと発表しました。

ただし中国は、協定の内容を明らかにはしていないのですけれども、参加者によると、設立資本金は1000億ドルで、その75%は域内国であるアジア・太平洋諸国で分担。出資比率は各国のGDPから算出し、中国が最大の29%、続いてインドが10%となったようです。

また、議決権も定められ、中国が26%、インドが7%となったようなのですけれども、参加者の一人は中国が事実上の拒否権を持つことで合意した」と述べているところをみると、案件の議決には75%以上の賛成が必要と決まったのではないかと思われます。

もし、そうだとすると、中国に続く議決権を持つインドが10%しか持ってないわけですから、AIIBの拒否権は中国ただ一国が持つことになります。まぁ、ぶっちゃけてしまえば、中国は自分の気に入らない投資案件は全部潰して、やりたい放題できる、というわけです。

確か、3月の段階では、中国は、AIIBに欧州各国を引きずり込むために、拒否権を持たないという意向を伝えていた筈だったのですけれども、早速裏切られました。ただ、裏切るにしてもちょっと尻尾を出すのが早すぎる気がしますね。まぁ、運営方法を早急に決めなけばならない事情があるにせよ、性急な感は否めません。

尤も、出資比率などを巡ってヨーロッパ諸国とアジア諸国の間で意見の食い違いがあったそうで、まぁ、どういう内容なのかは分かりませんけれども、出資比率の話である以上、それに付随して、議決権、拒否権の話にまで及んだ可能性は十分考えられます。

ただそれでも、元々「域外」で出資比率の少ないヨーロッパ各国にしてみれば、投資案件の良し悪しの判断よりも、ちょっとオコボレを貰えればいい、くらいに考えているのかもしれません。

対する日本は21日、公的資金によるアジア向けインフラ投資を今後5年間で約3割増やし、総額約1100億ドル(約13兆3000億円)に拡大すると発表しました。

これ57ヶ国が束になって立ち上げようとしているAIIBの設立資本金に匹敵する物凄い額です。これをAIIB会合の直前にもってきて、しかも中国の出資額を上回る額をぽんと出す。なんだかんだ言っても、日本は全然経済大国であったということですね。

無論、このタイミングでこれをぶち上げたのはAIIB潰しでしょうね。

政府筋は「量より質。選ぶならやっぱり日本という訴えだ」と説明しているそうですから、まぁ、そういうことですね。

金融機関の"量"が資本金のことであれば、"質"は借入金利に相当するのではないかと思いますけれども、AIIBにつくであろう格付けを考慮すると、AIIBは「ADBの融資よりも1%程度高い金利になるのではないか」という声もあるようです。

ただ、始まる前からこんなことをいうのもアレですけれども、金利の差が有利に働くのは、借りた金を返す人に当てはまることであって、借金を踏み倒す輩にとっては、あまり重要ではありません。踏み倒してしまえばそれで終わりです。その意味では「いくら貸してくれるんだ」という"量"のほうがモノをいう気がしないでもありません。

ですから、日本がいくら質をアピールしたとしても、事はそう簡単に運ばないかもしれません。あまり楽観視はしないほうがいいかもしれませんね。

この記事へのコメント

  • almanos

    量では確かにご指摘通りなんでしょうけれど、そもそも中国の自転車操業のための資金集めでは等とみられてもいます。融資を行う前に「みんな国内の案件に使った」なんて事も充分あり得る訳です。で、返さないなら土地とか諸々取る気満々な相手。貸し手としては最悪でしょう。まあ、今の中国はじっくりやるための「時間」が無い。成立前に破綻するかも知れませんね。
    2015年05月26日 06:07
  • opera

    日本は1997年のアジア通貨危機後に、当時の宮沢喜一蔵相がアジア通貨基金(AMF)構想を提案し、巨大な国際資本の投機的な動きによる経済の不安定化を防止するため、東南アジアを中心にした円経済(決済)圏の構築を呼びかけましたが、アメリカ、中国、IMF等の政治的な反対のために潰されてしまった過去があります。
     まだこのことを指摘する見解を見かけないのですが、今回のアジア開発銀行(ADB)をめぐる日本の動きを見ていると、中国のAIIB構想をダシにして、アメリカの黙認(TPP関連を含む)を取り付けつつ、IMFとはバーター取引をして、事実上のAMF構想の再現を狙っているように見えます。おそらく政府機関内にこれを意識している人ないしグループがいるのではないでしょうか。
     最近、土壇場でタイが日本の新幹線方式の導入を決定したことや、ネパールの復興への支援国会議を日本が主導していることは、日本の積極的な姿勢の現れでしょう。
     日本は経済大国というだけでなく、24年間連続の黒字大国ですから、今後の動きについては、要注目ですね。
    2015年05月26日 16:00
  • 白なまず

    ADBのストラテジー2020 pdf日本語ドキュメントを読むと元々大東亜共栄圏を経済で実現するのは最初からの目的のようですね。また、先日のTV番組「未来世紀ジパング【日本の鉄道】」ではタイに残した日本軍のSLが動作可能な状態で、戦後入ってきた米国製やイギリス製のSLは生き残って無く、日本製のSLのみが動作可能と言うある種の日本品質神話や実際にのぞみに乗り込んだプラユット首相は東京駅構内の商業施設について「参考にするべきだ」などと語った。新大阪駅で降車後には「(新幹線は)素晴らしい」と感想を述べた、とニュースでも伝わっているし、一応、中共からの他の投資話もあるので門前払いしなかっただけかもしれません。またタイの人口ピラミッドは日本に結構ちかく、若者が多いと言うより中年以降の人口が多いので、昔の日本(日本軍)の話も良く知っていて、中共の悪行も知っているので、心の底から信じてないと思います。
    2015年05月27日 00:51
  • 白なまず

    【中国高速鉄道とどちら良い? タイ首相が「のぞみ」と乗り比べ 東京-新大阪を新幹線移動】
    http://www.sankei.com/economy/news/150210/ecn1502100018-n1.html

    【アジア開発銀行と日本】
    http://www.adb.org/sites/default/files/publication/29043/japan-factsheet-jp_0.pdf

    【アジア開発銀行・駐日代表事務所(JRO)】
    http://www.adb.org/ja/japan/main

    【ストラテジー2020】
    http://www.adb.org/ja/documents/strategy-2020-working-asia-and-pacific-free-poverty

    【ストラテジー2020 pdf日本語ドキュメント】
    http://www.adb.org/sites/default/files/institutional-document/33070/files/strategy2020-jp.pdf
    2015年05月27日 00:51

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