今日は昨日のエントリーのコメント欄でいただいたコメントにお返事がてら、つらつらと気軽な雑談エントリーです…

まず、最初にいただいた、almanos様からのコメントは次のとおり。
量では確かにご指摘通りなんでしょうけれど、そもそも中国の自転車操業のための資金集めでは等とみられてもいます。融資を行う前に「みんな国内の案件に使った」なんて事も充分あり得る訳です。で、返さないなら土地とか諸々取る気満々な相手。貸し手としては最悪でしょう。まあ、今の中国はじっくりやるための「時間」が無い。成立前に破綻するかも知れませんね。そうですね。中国の資金集めだ論は、前から結構指摘されていましたし、その可能性は十分あると思います。ただ、それ以上に気になるのは、やはり、ご指摘の「返さないなら土地とか諸々取る気満々な相手」という部分ですね。almanos様より
筆者も「借金まみれの中華帝国」のエントリーで、AIIBが融資した案件が貸し倒れたときは、融資相手国の担保を差し押さえるという口実で、軍を派遣することだって考えられると述べていますけれども、やはり警戒すべき部分だと思います。
まぁ、相手がアフリカであれば鉱物資源か何かを担保に取るあたりが一番有り得るだろうと思いますけれども、これがASEANが相手だったらどうなるか。
一つ考えられるというか、可能性が高いのは、やはり港湾使用権とか、空港使用権ではないかと思うんですね。例えばインドネシアとかマレーシア辺りの港湾の使用権を手にして軍港化してしまう。
実際、中国からの港湾開発への融資を受けたバングラデシュは、チッタゴン港の中国海軍利用と施設の受け入れています。少し前、「真珠の首飾り」戦略というのが話題になったことがありましたけれども、融資が焦げ付いたことを口実に、担保として南シナ海に面する港湾や飛行場を分捕って軍の施設にする。そうすれば、わざわざサンゴ礁を埋め立てては、周辺国と軋轢を起こすこともありません。堂々と南シナ海を"北京の海"にできるというわけです。
ですから、拒否権を手にしてAIIBを我が物にした中国がどういう担保をとっていかなる融資をするのか、ちょっと注意したいと思います。
次にopera様のコメントです。
日本は1997年のアジア通貨危機後に、当時の宮沢喜一蔵相がアジア通貨基金(AMF)構想を提案し、巨大な国際資本の投機的な動きによる経済の不安定化を防止するため、東南アジアを中心にした円経済(決済)圏の構築を呼びかけましたが、アメリカ、中国、IMF等の政治的な反対のために潰されてしまった過去があります。なるほど。AMF構想再びですか。ご指摘されるまで気づきませんでしたが、コメントをいただいて、1年半ほど前にエントリーした「パシフィックリム経済圏」を思い出しました。先程読み直してみたのですけれども、オフショア・コントロールに触れつつ次のように述べていました。
まだこのことを指摘する見解を見かけないのですが、今回のアジア開発銀行(ADB)をめぐる日本の動きを見ていると、中国のAIIB構想をダシにして、アメリカの黙認(TPP関連を含む)を取り付けつつ、IMFとはバーター取引をして、事実上のAMF構想の再現を狙っているように見えます。おそらく政府機関内にこれを意識している人ないしグループがいるのではないでしょうか。
最近、土壇場でタイが日本の新幹線方式の導入を決定したことや、ネパールの復興への支援国会議を日本が主導していることは、日本の積極的な姿勢の現れでしょう。
日本は経済大国というだけでなく、24年間連続の黒字大国ですから、今後の動きについては、要注目ですね。opera様より
今後中国は、益々、東アジアや東南アジアに対して、挑発と侵略を強め、アメリカをアジアから完全に追い出しに掛かるのではないかと思う。中国のA2/ADは正にそれを体現するもの。このように、当時、今後、中国とアメリカとの間でASEANを巡って主導権争いがおこるのではないかと述べていたのですけれども、もうこれは、実際に起こっていることですね。こうしてみると、opera様の御指摘のように、日本の新AMF構想と合わせて、AIIBは、安全保障をも巻き込んだ壮大な陣地取りが繰り広げられているのかもしれません。何はともあれ目が離せませんね。
それに対してアメリカは、オフショア・コントロールによってで、A2/ADを実現させまいとしてる。つまり、今後10年か20年の間に、インドからASEANを経由して日本に繋がる沿岸部において、中国とアメリカとの間での主導権争いが繰り広げられると思われる。
今は、自由主義圏側にいるASEANとて、アメリカによる安全保障が担保できないとなれば、中国に飲み込まれる危険はうんと高まる。
日本にとっても、ASEANを失えば、シーレーンを失うことにも繋がるから、ASEANの未来は、日本の運命にも大きく関わっている。その意味では、TPPはアメリカとASEANを繋ぐ鎖になる可能性がある。
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almanos