箱根山の警戒レベル引き上げについて

 
今日はこの話題を極々簡単に…

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5月6日、気象庁は神奈川県の箱根山について、小規模な噴火が起きる可能性があるとして、火口周辺警報を発表しました。

火口周辺警報とは、火山の噴火による重大な災害が起こる恐れがある場合に気象庁が発表する噴火警報の一つなのですけれども、火砕流等が発生しても居住地域までは到達しないと予想される場合に出される警報です。

火口周辺警報には警戒レベル2の火口周辺規制と警戒レベル3の入山規制に分かれていて、前者が火口周辺の立ち入りが規制され、後者は状況に応じて、登山禁止や入山規制などが行われます。

今回、箱根山に出されたのは警戒レベル2の火口周辺規制で、過去の火口を含む想定火口域周辺の立ち入りが禁止されます。これが警戒レベル3になると、想定火口域の周囲700m程度が立ち入り禁止となります。これは、箱根ロープウェイのほぼ全部、および箱根山の登山道入口から先はほぼ全部立ち入り禁止というもので、要するに入山できなくなるレベルです。

箱根山は複数の溶岩ドームからなるカルデラ火山で、過去の噴火は約3000年前にあったのですけれども、この時に、神山北西斜面で山体の多くを崩壊させる大きな水蒸気爆発が発生し、大涌谷・仙石原・芦ノ湖が出来たと考えられています。

また、過去最大の噴火は約66000年前に起こったのですけれども、この時は、約60キロ離れた横浜にも火砕流が流れ込み、火山灰も、東京で約20センチ、横浜で約40センチ、平塚では1メートル、小田原では4メートルにも達したと言われています。

ネットでは、箱根山が噴火したときの火砕流被害予想地域図が出回っているようですけれども、これをみると、火砕流がギリギリ横浜まで届いていますから、恐らく、前述した過去最大の噴火した場合を想定したものと思われます。

このケースでは、東は横浜、西は富士川あたりまで火砕流に飲み込まれるという凄まじいもので、東海の物流が完全にストップするのは元より、被災住民の数、被害の規模などちょっと想像つかないくらいです。

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まぁ、今のところ、気象庁は、マグマを伴う大規模噴火ではなく、水蒸気爆発程度を警戒しているようですけれども、だからといって、無傷で済むというわけではありません。水蒸気爆発の場合は、次のような被害が予想されているようです。
水蒸気爆発による、噴石と火山灰の飛来
火口から半径700メートル内での噴石(直径数センチから数十センチ)
半径2キロ内では火山灰が1センチから10センチほど降り積もる
山体崩壊による川のせき止め(土石流の警戒)
半径3~4キロに地下の熱水が吹き出すことによる熱泥流の発生
火山灰が降ってきたときの生活への影響については、2013年に「桜島の大噴火と火山灰の影響について」で述べたことがありますけれども、生活域に火山灰が積ると特に物流に大きなダメージがありますから、救援物資の輸送が困難となり、街が陸の孤島と化す可能性も十分有り得ます。

箱根山の想定火口から半径2キロでも、芦ノ湖・仙石原・強羅・小涌谷辺りまで含まれますし、半径4キロでは、西は芦ノ湖を超え、東は大平台、南は箱根神社あたりまでいってしまいますから、箱根の温泉街はほぼ含まれてしまいます。

神奈川県温泉地学研究所の観測によると、先月26日から大涌谷・神山付近の地下の浅い場所を震源とする小規模の火山性地震が増えていて、26日に102回、27日は84回、28日には146回あり、さらに今月2日には100回、3日が98回、4日が148回、5日に至っては226回と活発になってきているそうです。

確か、昨年の御嶽山の水蒸気爆発の際にも、噴火の1ヶ月前ほどから火山性地震が増えていました。もちろん、御嶽山と箱根山が同じではありませんけれども、噴火の兆候があることには変わりありません。その意味では、いつ噴火してもおかしくないとみるべきでしょうね。

少なくとも、周辺地域の方は、いつ避難勧告が出ても直ぐ対応できるように、準備をしておいたほうがよいかと思います。

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