昨日のエントリーの続きです。
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昨日のエントリーでは韓国の兵役忌避者がかなりの確率で出国命令を受ける可能性があることについて述べましたけれども、では、兵役忌避者でない人はどうなのかについて考えてみたいと思います。
といっても、そんな御大層なことではなくて、昨日紹介した強制退去のフローチャートに基づいてみていくだけで、それなりの事が分かるのではないかと思うんですね。
まず、フローチャートの始めをみると、「退去強制事由に該当すると思われる外国人」となっています。つまり、これが対象となる人であるということです。
これに該当した人は、次に「入国警備官の違反調査」を受けることになります。では、違反調査とは、一体何を調査するのか。
これについては、同じく入国管理局のサイトに説明があるのですけれども、次のようになっています。
(1)違反調査要するに、退去強制事由に該当するか調査するということですけれども、その退去強制事由とは入管法第24条で規定されています。
違反調査とは、退去強制手続の第一段階であり、退去強制事由(入管法第24条に規定)に該当すると思われる外国人に対して、入国警備官が行います。
入管法とは、正式には「出入国管理及び難民認定法」といい、「日本に入国し、又は日本から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備すること」を目的として定められました。
では、その24条にはどう定められているかというと、少し長くなりますけれども次のとおりです。
(退去強制)とまぁ、このように長々と規定されているのですけれども、掻い摘んでいうと、大凡次の通りです。
第24条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
一 第3条の規定に違反して本邦に入つた者
二 入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者
三 他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可、又はこの章の第一節若しくは次章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、譲渡し、貸与し、若しくはその譲渡若しくは貸与のあつせんをした者
四 本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次に掲げる者のいずれかに該当するもの
イ 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者
ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する者
ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
二 旅券法第23条第1項(第6号を除く)から第3項までの罪による刑に処せられた者
ホ 第74条から第74条の6まで又は第74条の8の罪により刑に処せられた者
ヘ 外国人登録に関する法令の規定に違反して禁錮以上の刑に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。
ト 少年法 (昭和23年法律第168号)に規定する少年で昭和26年11月1日以後に長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの
チ 昭和26年11月1日以後に麻薬及び向精神薬取締法 、大麻取締法 、あへん法 、覚せい剤取締法 、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律 (平成3年法律第94号)又は刑法第2編第14章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
リ ホからチまでに規定する者のほか、昭和26年11月1日以後に無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。
ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者
ル 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸することをあおり、唆し、又は助けた者
オ 日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者
ワ 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
(1) 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
(2) 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
(3) 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体
カ オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者
ヨ イ、ロ及びホからカまでに掲げる者を除くほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者
四の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第2編第12章 、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条 又は第261条 に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条 若しくは第16条 の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの
四の三 短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(東京都の特別区の存する区域及び地方自治法第252条の19第1項 の指定都市にあつては、区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの
五 仮上陸の許可を受けた者で、第13条第3項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの
五の二 第10条第10項又は第11条第6項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの
六 寄港地上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの
六の二 第16条第7項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの
七 第22条の2第1項に規定する者で、同条第3項において準用する第20条第3項及び第4項の規定又は第22条の2第4項において準用する第22条第2項及び第3項の規定による許可を受けないで、第22条の2第1項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの
・「不法入国」は強制退去(24条一、二)
・他人の在留資格・上陸許可の為に書類偽造したら強制退去(24条三)
・在留資格外の活動は強制退去(24条四のイ)
・「オーバーステイ」は強制退去(24条四のロ)
・「人身売買」は強制退去(24条四のハ)
・旅券法違反で処罰を受けたことがあったら強制退去(24条四の二)
・「集団密航」の手伝いをしたら強制退去(24条四のホ)
・外国人登録違反の罪で禁錮されたことがあったら強制退去(24条四のへ)
・少年法違反で懲役3年以上なら強制退去(24条四のト)
・覚醒剤違反で有罪判決を受けたら強制退去(24条四のチ)
・昭和26年11月以降で無期又は1年を超える懲役・禁錮を受けたことがあるなら強制退去(24条四のリ)
・売春に従事していたら強制退去(24条四のヌ)
・他の外国人の不法入国を手助けしたら強制退去(24条四のル)
・日本政府を暴力で転覆しようと企てたら強制退去(24条四のオ)
・暴力団体に加入していたら強制退去(24条四のワ)
・政府転覆又は暴力団体の手助けをする文書を作成、頒布したら強制退去(24条四のカ)
・法務大臣が日本国の利益を害する行為をしたと認定したら強制退去(24条四のヨ)
・刑法の罪、コソ泥、金庫破り道具の所持等で懲役、禁錮をうけたら強制退去(24条四の二)
・公共施設で暴力行為、破壊活動をしたら強制退去(24条四の三)
・仮上陸中逃亡したら強制退去(24条五)
・退去命令を受けても従わなかったら強制退去(24条五の二)
・一時上陸許可期間を過ぎても帰らなかったら強制退去(24条六、六の二)
・特別在留許可もないのに、上陸許可期間を過ぎても帰らなかったら強制退去(24条七)
要するに、犯罪者は強制退去ということですね。特に、24条四のワを厳格に適用したら、仮に暴力団に所属する在日外国人は一発でアウトでしょうね。それ以外にも、オーバーステイや在留資格外活動もアウトですから、もしも"やましいこと"をしていたら、引っかかる可能性が高い。
まぁ、普通に"品行方正"に暮らす分には、なんてことはありませんけれども、そうでない場合は厳しく処せられるということです。
このように入管法では、強制退去となる事由を厳格に決めているのですけれども、それがきちんと行われる為には、一つ大きな前提条件があります。
それは、フローチャートの一番最初の部分にある「退去強制事由に該当すると思われる外国人」をちゃんと抽出できるということです。
いくら、犯罪歴があり、強制退去に該当すると思われる人でも、本人が外国人かどうかがはっきりと分かっていなければ、そもそも調査が始まりません。入管の人員リソースにも限りがありますから、無暗に調べるわけにもいかないのですね。
まぁ、一目でガイジンをわかる顔立ちであればともかく、見た目が日本人に近く、更に通名を使っている在日韓国人、在日朝鮮人となると、一見しただけでは、殆ど分からなくなってしまいます。しかも、その通名は、これまで免許証から銀行通帳から、公文書で使えたのですから、余程のことがない限り赤の他人がそれと見抜くのは困難だと思われます。
けれども、2012年から施行されている新しい在留管理制度では、そうした公文書での通名が使用できなくなり、本名が記載される。何かの会員カードを作るにも本人証明が必要になりますけれども、それによく使われる免許証にしても、数年経てば更新しなければなりません。つまり、本名があらゆる場面で晒されることになるというわけです。
そうなると、赤の他人でも、誰それは在日○○人だと分かるようになる。そしてその人物が、もし、退去強制事由に該当すると"思われ"たならば、入管に通報することで、調査が行われるようになります。少なくとも、外国人であることは、はっきりしていますから、あとは本当に入管法に違反しているかを調べるだけです。これなら入管も動きやすいでしょうね。
ネットの一部では、7月9日から「通報祭りだ」なんて声もあるようですけれども、これらを考えるとあながち冗談でもないように聞こえてきます。
いずれにしても「品行方正」に暮らす分には問題ない。けれどもそうでない場合には、日本から出ていかなければならなくなる可能性が高まっている。そういうことだけは言えると思いますね。
この記事へのコメント
almanos
弁信
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO071.html