世界遺産問題は韓国との宣伝戦に突入した

  
今日は感想エントリーを極々簡単に…
 
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先日の世界遺産登録問題が尾を引きずりまくっていますね。

世界遺産委員会で、日本の佐藤地ユネスコ大使の発言を巡って、韓国主要メディアは「日本が強制労働を認めた」と報じています。一方、日本は岸田外相が即座に「強制労働を意味するものではない」と否定しました。

これに対して、韓国側は「騙された」と沸騰。7月6日、韓国外交部は「5日に開かれた世界遺産委員会の審議で、議長が英語が正本だと明らかにした」と反論しています。

ここで、問題となっているのは、佐藤地ユネスコ大使が「there were a large number of Koreans and others who were brought against their will and forced to work under harsh conditions in the 1940s at some of the sites」と発言した部分です。この中の「forced to work」をどう解釈するかということが焦点となっているんですね。

韓国政府は、強制労働の被害について、1946年のニュルンベルグ国際軍事裁判所の判決文や、2012年の国際司法裁判所(ICJ)の判決文で、「forced to work」と表現したことを例に挙げて、日本の「forced to work」は強制労働だ、と主張しています。

けれども、1946年のニュルンベルグ国際軍事裁判も2012年の国際司法裁判もどちらも戦後のものです。

戦時徴用は戦時であれば、どこの国でも行われていたのですから、裁判の判決文を持ってくるのなら、戦時中あるいはそれ以前の判決文を持ってくるべきだと思いますね。なぜなら、植民地に対する認識に代表されるように、戦前と戦後では価値観が異なることがあるからです。

では、戦時中以前に国際法では、「強制労働」はなんと表現されていたのかというと、「forced to work」ではなく「forced labour」なんですね。

1930年6月28日にILO(国際労働機関)の第14回総会で「強制労働条約(29号)[Forced Labour Convention, 1930 (No. 29)]」が採択されているのですけれども、そこでは、強制労働は「forced or compulsory labour」と表現されています。

workとlabourのニュアンスの違いについては、よく「仕事」と「単純労働」の違いだと言われることがありますけれども、それぞれ語源が違います。

[work]はゲルマン語系の言葉で「何らかの自主的・能動的な活動」を意味していて、あまりマイナスイメージはないのに対して、「labour」はラテン語系の言葉で、古代の奴隷制を連想させる苦役のイメージが強いのだそうです。何でも、労働運動や革命運動などの文章で使われる「労働」は「labour」だそうですから、相当ニュアンスが違うとみてよいと思いますね。

日本がこの「強制労働条約(29号)」を批准したのは1932年11月21日ですけれども、少なくともこの時期から1946年のニュルンベルグ国際軍事裁判までの期間については、国際法的に強制労働は「forced labour」で通じると思われます。

その意味では、韓国がニュルンベルグ国際軍事裁判と2012年の国際司法裁判所(ICJ)の判決文を持ち出すのは、今の価値観でもって過去の価値観を裁く「法の不遡及」によるスリカエをしているのではないかと疑いたくなります。

では、肝心の「戦時徴用」が、果たして強制労働[forced labour]にあたるのかどうかということなのですけれども、ILOの「強制労働条約(29号)」の第2条2項(d)で、それには当たらないとされています。次に引用します。
第 二 条

1 本条約ニ於テ「強制労働」ト称スルハ或者ガ処罰ノ脅威ノ下ニ強要セラレ且右ノ者ガ自ラ任意ニ申出デタルニ非ザル一切ノ労務ヲ謂フ
2 尤モ本条約ニ於テ「強制労働」ト称スルハ左記ヲ包含セザルベシ
 (a) 純然タル軍事的性質ノ作業ニ対シ強制兵役法ニ依リ強要セラルル労務
(b) 完全ナル自治国ノ国民ノ通常ノ公民義務ヲ構成スル労務
(c) 裁判所ニ於ケル判決ノ結果トシテ或者ガ強要セラルル労務尤モ右労務ハ公ノ機関ノ監督及管理ノ下ニ行ハルベク且右ノ者ハ私ノ個人、会社若ハ団体ニ雇ハレ又ハ其ノ指揮ニ服セザル者タルベシ
 (d) 緊急ノ場合即チ戦争ノ場合又ハ火災、洪水、飢饉、地震、猛烈ナル流行病若ハ家畜流行病、獣類、虫類若ハ植物ノ害物ノ侵入ノ如キ災厄ノ若ハ其ノ虞アル場合及一般ニ住民ノ全部又ハ一部ノ生存又ハ幸福ヲ危殆ナラシムル一切ノ事情ニ於テ強要セラルル労務
 (e) 軽易ナル部落ノ労務ニシテ該部落ノ直接ノ利益ノ為部落民ニ依リ遂行セラレ従テ該部落民ノ負フベキ通常ノ公民義務ト認メラレ得ルモノ尤モ部落民又ハ其ノ直接ノ代表者ハ右労務ノ必要ニ付意見ヲ求メラルルノ権利ヲ有スルモノトス
このように、戦争あるいは自然災害に見舞われたときに関する労働は「強制労働」には当たらない、となっています。

ですから、純粋に「理屈」の上では「forced to work」は戦時徴用のことを指し、「強制労働(forced labour)」ではないという主張にそれほど無理があるとは思えないですね。

けれども、相手はそんな"理屈"など、まったく通用しない韓国です。「forced to work」を錦の御旗にして、日本は強制労働を認めたと、世界中に宣伝することはほぼ間違いないですね。

実際、既に韓国の尹炳世外相は、ソウルで開かれた討論会に出席し 「英文に忠実ならば誤解がない。それがどんな意味かは火を見るより明らかで議論の余地もない」と宣伝を始めています。

また、韓国以外の世界の人も「forced to work」の字面だけみて、「戦時徴用のことであって強制労働ではない」と見抜ける人はそれほど多くはないと思われます。

ですから、今のまま韓国のプロパガンダを放置すれば、また、第二の慰安婦問題となる可能性は非常に高い。日本の世論がこの問題で怒りを顕わにしているのも、その危険を感じ取っているからだと思いますね。

もっともその世論が、政府や外務省にアクションを起こさせるプレッシャーとなっていることも事実です。

今回の問題について官邸筋からは「詰めが甘かった。職業外交官として失格だ」と批判の声があがっているそうですし、また「forced to work」は強制労働ではないという広報を強化する方針を出していますけれども、世論の声がここまで高まらなかったら、果たして、このような動きになったかどうか、ちょっと疑問がないでもありません。

ならば、ひとつ、この機会に、外務省に韓国との宣伝戦をやってもらうべきだと思いますね。それこそ「勝つまで帰ってくるな」とばかり、世論がプレッシャーを掛け続けて、徹底的に戦わせてやればいいと思います。

まぁ、一つ懸念材料があるとすれば、マスコミが「報道しない自由」を駆使して、この問題をスルーして風化を狙ってくることですけれども、まぁ韓国が謝罪だ賠償だとイチャモンをつけては、思い出させてくれるでしょう。

それに、来年は佐渡の金山の世界遺産登録案件が控えていますから、少なくとも、そこまでは、そう易々と風化はしないのではないかと思います。

ただ、そうはいっても最終的には、やはり世論の声が鍵を握ります。政府とて世論が沸騰すればそれを無視することはできませんからね。

ですから、「卑怯な真似は許さない」、「国益を害してはならない」と声を上げ、政府と外務省に仕事をさせることが大事だと思いますね。

この記事へのコメント

  • 暇工作

    最近、コメンテーターが「fact ファクト」という言葉を使わなくなりました。
    外務省には、是非ともプロパガンダにファクトで対抗していただき、自身の汚名を晴らし、国益に沿った活動をしていただきたいものです。
    2015年07月10日 03:20
  • 名無しの工作員

    発生してしまった問題については方々で山火事のように燃え上がっとりますが
    それとは別にこの問題、外務省に対する人事権への干渉が可能になる案件だと考えます。
    安倍首相は政府の人事及び方針の策定において全能を振り絞っても財務省の行動に対抗しきれなかったのは記憶に新しいと思います。
    この問題もまた外務省の意見が先行した結果であるならば、逆に国内政治への利用を考えてもおかしくはない
    安倍首相が経験した1次内閣の辛酸から考えれば泳がせて弱みにつけこむことも想定内じゃないかと思います。
    2015年07月10日 06:48
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    掲示版や情報センタでの説明をするのは日本側であるから
    南朝鮮も本当はなす手がないのが真実であろう.

    彼らが騒ぐ目的は掲示版に強制性を入れるためである.
    ここで問題になるのが朝鮮から入国してくる活動家による騒動.
    関係官庁の在日朝鮮人や親韓派のサボタージュ・裏切りであろう.
    2015年07月10日 12:19
  • cut

    a large number of Koreans and others who were brought against their
    will and forced to work under harsh conditions in the 1940s at some of the sites

    a large number of Koreansとin the 1940s も問題ありますね
    半島の徴用は1944/9からの11か月程度で、日本人徴用者が圧倒的に多い思われるのに
    この表現だと、長い間、大量の朝鮮人がとなりますね。
    しかも、 1944/9は1940sでないので、事実に反します。
    2015年07月11日 11:13

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