昨日のエントリーのコメント欄で、almanos様から、特亜問題ってのは「受け容れがたい相違点を持つ文明の対立」問題ともいえないかとのコメントをいただきましたので、そのお返事を兼ねてのエントリーとさせていただきます。
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1.中国の抗日式典
ロシア中部ウファで行われ、7月10日に終了した上海協力機構の首脳会議での記者会見で、中国の程国平外交副部長が、今年9月初めに中国で行う抗日戦争勝利70周年祝賀イベントに上海協力機構加盟6ヶ国首脳が出席することと、習近平国家主席が日本の安倍総理を招待したことを明らかにしました。
このイベントは中国が「戦勝国」として自国の存在をアピールする式典とみられているのですけれども、上海協力機構の加盟国のみならず、日本や韓国、北朝鮮、欧米諸国に加え、東南アジア各国の指導者を招待し、更には、中央アジアや中南米の各国合わせて50ヶ国に声を掛けています。
ところが、その殆どの国が返事を保留しているようです。やはり、日本および各国の動向を見定めようと様子見しているのでしょうね。
なにせ「抗日戦争勝利」と銘打ったイベントですから、慎重になるのも無理ありません。今は、まだ日本が参加するしないを表明していませんから、その段階で参加すると手を挙げてしまって、もし日本が参加しないとなったら、日本との関係が悪化する懸念がありますからね。
中でも特に迷走しているのが台湾です。台湾の馬総統は、戦後の中国国民党による台湾統治の正当化や、日中戦争の主役が国民党であったことをアピールしたいという思惑もあり日中戦争の勝利を祝う式典を次々と行ってきたとされているのですけれども、ご存知のとおり、台湾の対日感情は良好で、反日を掲げてもウケが良くありません。
昨年末に台北市長選に当選し、市長となった柯文哲氏は、「抗日の何を祝おうというのか」と抗日イベントそのものを不要とし、「中山堂」で予定されていた記念イベントを中止しています。
そうした現状をうけ、馬総統は「私は反日派でも親日派でもない。友日派だ。…恩と恨みを分ける原則に立ってこそ、中華民族と大和民族は長い友情を築くことができる」と苦しい言い訳をしています。
ですから、台湾世論は抗日で盛り上がっているというわけでもないのですね。
2.ワールドオーダーを巡る綱引き
筆者は3月8日のエントリー「習近平が皇帝即位を宣言するとき」で、このパレードは、習近平の"皇帝即位式"であり、これに各国首脳が参加することは、中華皇帝即位の箔付けにされ、安倍総理が出席すれば、習皇帝に膝を屈したと解釈・喧伝するのではないかと述べたことがありますけれども、やはりその懸念通りになりそうな気配が漂ってきました。
ただ、現時点で各国が返事をせず様子見をしているということは、躊躇するだけの理由があるということです。
筆者は今年5月に行われた日米首脳会談後に「境界の彼方 未来篇」エントリーで、日米両国は日米首脳会談後、共にニューワールドオーダー、"境界の彼方"に向かう意思を世界に示したのに対して、中韓は自らをオールドワールドオーダーに留まり、世界各国をそこに引き止まらせようとしている、と述べましたけれども、今、正に、新旧ワールドオーダーのどちらに属するかを巡っての駆け引きというか綱引きが行われていると思うんですね。
もしかしたら、中国からの招待に返事を保留している各国もその辺りを敏感に感じ取っているのかもしれませんけれども、それを後押しするのは、おそらくはニューワールドオーダーはこういう世界なのだ、というビジョンではないかと思いますね。
地政学者の
●北京には怪しい「特効薬」があふれていた。それは「中国は守りに徹している間に、アメリカは侵略している」というものだ。その核心にあるのが南シナ海の問題だ。このように、日本からみれば、なんと身勝手な見方だと思うかもしれませんけれども、これが彼等の感覚なのであれば、カプランが指摘するように「究極の解決法のようなものは存在しない」ということになりますね。
●北京では、タカ派もハト派も関係なく「中国が近代に入ってから西洋の列強に大きな被害を受けた」という感情が深く共有されており、彼らは南シナ海の問題を、例外なく「国内問題である」とみなしている。
●なぜなら彼らは単純に「南シナ海は、海洋に伸びた中国の領土である」と認識しているからだ。
●ある晩、私が中国の学生向けに開催したセミナーでは、緊張に震えながら恥ずかしそうにしていた若者が、「なぜアメリカは我々の調和と慈愛に対して覇権で対抗しようとするのですか?アメリカの覇権は中国の台頭に直面すれば混乱を招くだけです!」と吐き捨てるようにコメントしていたほどだ。
●北京の理屈からいえば、アメリカの権益はまたして「覇権的なもの」と映る。北京の理屈から言えば、アメリカこそが「アジアを支配下におさめて、その莫大な戦力投射能力を、野蛮な形で発揮している」ということになる。
●つまりワシントン政府こそが南シナ海の紛争を「煽る」存在であり、中国ではなくアメリカこそが「抑止されるべき存在」であることになるわけだ。
●結局、中国は東アジアにおいて儒教の価値観を基礎とした冊封体制を2000年近くも維持してきたのであり、ヨーロッパの勢力均衡体制よりはるかに調和がとれて、戦争の少ない状態を維持してきたということになる。
●したがって平和の維持に関して言えば、「欧米諸国は中国に何も教える資格はない」というのが彼らの言い分なのだ。このような独特な感覚は、彼らの地理観によってもうかがい知ることができる。これについては究極の解決法のようなものは存在しないといえよう。
まぁ、彼等の言い分のように、中華帝国による冊封体制で各国が平和になるのなら、まだよいのかもしれませんけれども、その平和は民衆にとっての安寧を意味するとは限りません。なぜなら、それは国民の自由を抑圧した上に築かれる"平和"にしか過ぎないからです。それは今の中国をみれば明らかですよね。
中国政府の人権意識のなさや横暴については、改めて述べるまでもありません。最近は、株式市場でも自由に介入し意のままにできることを世界に見せつけました。これらから類推すれば、中華帝国冊封体制の中では自由が抑圧されることはもう目に見えていますね。
一方、近代西洋文明は民主主義を基盤としています。自由と民主の考えが底流にあります。ですから、今、中国が世界と起こしている摩擦は、つまり長年冊封体制を維持してきた過去を成功体験とする中華文明と、近代西洋文明の衝突でもあると思うんですね。
その意味では、almanos様の指摘するとおり、特亜問題とは、「自由に対して受け容れがたい相違点を持つ文明の対立」問題だといえると思います。
それを解決するだけのニューワールドオーダーのビジョンを日本が簡単に示すことができるとは思いませんけれども、少なくとも、中華帝国という世界を、各国が受け入れる積りがあるのかどうか、それを問いかけ、"中華版ワールドオーダー"はニューワールドオーダーなどではないと示すことが大事だと思いますね。
この記事へのコメント
あああ
奥山真司さんでは?
白なまず
①国とは言いがたい国で、組織化が不十分な国々、、、幼稚園~小学生低学年の世界。おもちゃの取り合い、食べ物の奪い合い。
②軍事政権で国をまとめている国々、、、中学生~高校生位まで。上下関係が出来て、力ずくで支配。組織的に武力行使。
③論理的なルールで国をまとめている国々、、、将来を考え勉強に励む中学生・・・大学生。人間関係より社会の価値観を拠り所に自分のポジションを理解し、守る。
支那韓国は②中学生、小学生高学年の悪ガキレベルなので、反抗期で大人への反感が大きく、感情的に何をするか分からない危ない時期。日本や欧米は悪ガキに憎悪される対象で、支那韓国にいじめられている諸国は支那韓国のクラスメート。いじめっ子が嫌いだが、力が弱く、意思、意地などの気持ちでも負けていて、先生に言いつけて叱ってもらうしか方法を見いだせてなく、いじめられと取り敢えず逃げるしか無い状態。
悪ガキの反抗期をどうやって脱出するのかは、悪ガキを主導するガキ大将を徹底的に追い詰めて孤立させ反省させるしかない。手下の子分や悪ガキ同士が孤立して悪いこと全てを他人のせいに出来ないような状態にして、自らを生かすような生き方を見つけさせるしかない。人間は大人になる過程でどうしようもない現実の中で色々諦めて大人しくなっていくので何とか収まるが、国家の成長経年は長い時間が必要で、日本の様に長続きしている国はほとんど無いし、ちょっと前の欧米も悪ガキレベルと考えれば、アジアには支那韓国に続く子供社会の国々がまだまだ多く、彼らの成長を制御しながら導くしか無い。
almanos
almanos
白なまず
【GHQ焚書図書開封】真夏の夜の自由談話Ⅰ ~ ユネスコ歴史遺産登録問題[桜H27/7/15】
https://www.youtube.com/watch?v=p40Km6nL_p8
【馬渕睦夫】世界から見た平和安全法制衆議院可決[桜H27/7/16]
https://www.youtube.com/watch?v=YBc7XgkH5uc
ちび・むぎ・みみ・はな
どの様な人でも正しく考察を進めてくれば同じ結論に至る.
「日本人」が先進民族として現存するのは奇跡と言っても良い.
言語から見ても日本民族は世界の中でも古い民族の一つであり,
類縁の民族は, 歴史の中で, 後発民族に圧迫されて消滅するか
孤立するかしているのが殆んどだからである.
逆に言えば, 日本が世界標準になることもあり得ないし,
試みるべきでもない. 台湾の中には日本人と類縁関係の
民族もいたに聞くが, 民族的には別種の朝鮮の併合が短期で
終ったのは日本にとっては幸いなことだと思う.
日本は日本としての独自性を誇り高く維持するべきであるし,
その様な教育を日本人に対して行なっていくべきである.
朱鷺池