「艦これ」をプロパガンダに利用したTBS
今日は、少し軽めのこの話題を極々簡単に…
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7月18日、TBSの報道特集「戦艦『陸奥』 隠された爆沈」で「陸奥爆沈」を放送したことが話題となっています。話題になったのは旧帝国海軍長門型2番艦「陸奥」が謎の爆沈事故によって沈んだことではなくて、その番組構成と編集です。
その番組は冒頭に今人気のネットゲーム「艦隊これくしょん」を取り上げ、とある店(広島のお好み焼き屋:もみじ亭)で「艦これ」をプレイする人に「陸奥」について取材するという出だしから始まっているのですけれども、まぁ、落語でいうところの「マクラ」的な扱いにしたのではないかと思われます。
けれども、問題なのはその後で、「陸奥」は謎の爆沈をしたから、当時は爆沈について箝口令が敷かれた、国家は都合の悪いことは隠すと続き、最後には「安保法案反対」で締めるという構成になっていました。
「艦これ」で取材をうけた人物やその関係者は、この放送をみてショックを受け、騒ぎになっているのですけれども、取材を受けた人によると、どうやら局からは「艦これプレイヤーの取材をしたい」という話だったようなのですね。
取材自身はTBSが直接した訳ではなくて、系列子会社であるRCC(中国放送)が行ったのですけれども、取材を受けた人は、艦これについて聞かれることと、場合によっては観光産業への活用等を取材するかもしれないと想定して、大和ミュージアムを訪れた時の写真等をすぐ出せるように用意していたそうです。
けれども、実際の取材は、「陸奥爆沈の悲劇を知っていますか?」とか「集団的自衛権は?」といった具合に当初の話には全然なかった内容だったそうなんですね。
取材を受けた人は、その時点で「オタクの若者の右傾化を撮りたいのでは?」と疑念を抱き、言質を取られないよう注意して答えたのですけれども、どうやら、取材した記者は、艦これファンはどうせ、陸奥爆沈とか知らないだろうから、その事実を知らせて我々の反応を見ようとしていた態度だったそうです、
けれども、残念ながら「陸奥」の爆沈は艦これファンであれば常識の部類のこと。取材では、当たり前のように歴史的事実を述べ、自らの考えを話したのだそうです。まぁ記者の目論みはあっさり潰されたということですね。
直接取材したRCC(中国放送)による放送「104Wk ~隠された不戦巨艦の爆沈~」は6月28日に行われたのですけれども、そちらは、まだ普通に陸奥爆沈についての放送で留めていたようです。
ところが、7月18日のTBSの報道特集はそのRCC(中国放送)の放送を素材として再編集するのみならず、それを政権批判に繋げたとして騒ぎになっているのですね。
確かに番組の題名をみると、「隠された爆沈」となっています。つまり、そういう意図で編集したということですね。
けれども、もっと問題なのは、そういう意図の取材であると対象者に告げることなく、アポだけ取って取材し、更にはその映像を自分の都合の良いように使ったということです。
このような構成の放送では、正直言って、「艦これ」を使う必然性はありません。権力者は自分に都合の悪いことを隠蔽するのだ、ということを言いたいのなら、中国に腐るほどありますよね。テレビやネットが逐一検閲され、NGワードを言おうものなら即座にブラックアウトする。わざわざ"むっちゃん"を出すまでもありませんね。
まぁ、視聴者が喰いつき易い流行りのネタを使うこと自体は否定しません。落語の"マクラ"のようによくある手法だと思います。けれども、そうであるならば、猶更、取材対象者への配慮は勿論のこと、番組内容についてもきちんとしたものでなくてはいけないと思いますね。
なぜなら、流行りのネタは流行っている以上、多くの人の注目を集めるからです。それだけ影響力があるのですね。
今だと、安保法制もそうかもしれません。
7月20日放送のフジテレビ「みんなのニュース」では、安部総理が緊急生出演し、安保法制について説明したのですけれども、アナウンサーが安倍総理の話を何度も遮り、「脅威の国は中国ということですよね?」と、まるでそう言わせたいかのような質問を繰り返していましたし、国民の質問として流れたVTRでも「戦争するんですか?」とか「徴兵令になるんですね」とか、やたらと戦争・徴兵を強調した質問ばかりが流れていました。
まぁおそらく、「安倍総理は戦争しようとしている」と印象づけることで政権転覆或は支持率低下を狙っているのでしょうけれども、普段は、戦争にならないように外交努力すべきだと散々いう癖に、この時だけ「仮想敵国」をいわせようとするのはちょっと都合が良すぎますね。
自分たちの意図に沿うように、誘導質問したり、編集したりするのは、報道でも何でもなく、ただのプロパガンダです。
先日、国立国会図書館がテレビやラジオ番組を録画・録音して保存する「放送アーカイブ」構想が取沙汰されているという話もあったように記憶していますけれども、今回の「艦これ」取材の顛末をきくと、放送されたものだけではなくて、取材映像一式全部を保管してもいいような気さえしますね。
筆者はこれまで「艦これ」については「『艦これ』が日本にもたらすもの」や「『艦これ』と見直される歴史認識」のエントリーで、「艦これ」を通して、史実を知り、歴史認識を見直す切っ掛けになるのではないかと述べたことがありますけれども、RCC(中国放送)の記者が「陸奥の爆沈など知らないだろう」と多寡を括っていたところ、「艦これ」ファンはそんなの常識だと言わんばかりに答えたという話を聞くと、やはりそうなのかなと思いますね。
今や艦これユーザーは300万を突破しています。TBSは、彼らを敵に回して、一体どうする積りなのでしょうか。結論ありきで番組をつくって、それが通用した時代はとっくに終わっています。
この記事へのコメント
almanos
八目山人
嘘 プロパガンダなら 毛沢東や金日成やスターリンでしょう。集合写真なんかでも全部書き直しているし。