2015年版防衛白書と情報戦時下にある日本

 
今日はこの話題を極々簡単に…

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7月21日、政府は2015年版の防衛白書を公開しました。

白書は安全保障環境は一層厳しくなり、日本のみでの対処が難しくなっているとして、中国と北朝鮮の脅威を具体的に記述。中国の軍艦や軍用機による東シナ海での活動や、南シナ海のスプラトリー諸島での岩礁の埋め立てを「高圧的な対応」と批判し、ミサイル防衛網を突破する新兵器の開発など、軍拡の動きにも警戒感をあらわにしています。

また、北朝鮮の核・ミサイル開発についても「重大かつ差し迫った脅威」とし、核弾頭を搭載した弾道ミサイル配備の危険性に触れています。更にはISISについても触れ、国際テロは「日本も無縁とはいえない」としています。

先日、政府は中国が東シナ海で進めている天然ガス田の海上掘削施設(プラットフォーム)を公表しましたけれども、中国は既設の4基から新たに12基、計16基を建造しているんですね。

もう既に色んな人が指摘していますけれども、これら海上施設が軍事転用される恐れがあります。実際、今の掘削施設の殆どには、ヘリポート付きのプラットホームがあります。また、先日中谷防衛相が国会で「施設にレーダーを配備する可能性がある」とも述べていますけれども、現代戦ではレーダーのサポートのあるなしは決定的に重要なんですね。

要撃の要となるレーダーシステム」でも述べましたけれども、要撃戦闘においては、味方からのレーダーサポートがあれば優位に立てるのですね。ですから、日中中間線付近に何基もレーダーが配備されるのは国防上の大きな脅威となります。

中には、ここに地対空ミサイルや地対艦ミサイルを配備するのではないかという人もいるくらいです。それによって、台湾有事の際に、米軍の補給路を寸断することができるというのですね。

まぁ、台湾有事の際の補給路の寸断という意味では、尖閣を占領して、そこに飛行場と地対空、地対艦ミサイルを配備することも考えられます。これは南シナ海のスプラトリー諸島でやっていることをみれば、いうまでもないですね。

先日、与那国島に陸自が「沿岸監視隊」を配備することがきまりましたけれども、日本は先手を打ってそのための備えをしたとみることもできるかと思います。

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防衛白書では、中国が東シナ海で進めている新たなガス田の開発についても「新たな施設の建設作業などを進めていることが確認され、一方的な開発を進めていることに対し繰り返し抗議し、作業の中止などを求めている」と警鐘を発しています。

このようにただ事実を並べただけでも、日本を取り巻く安全保障環境は厳しくなってることは、もう誰の目にも明らかになっています。

7月21日、日本の国防白書に対して、中国外務省の陸慷報道局長は、「中国脅威論を悪意で誇張し、人為的に緊張を作り出すもので、中国は強い不満と断固たる反対を表明する」というコメントを発表しています。

南シナ海で人工島をつくって飛行場を設置する。東シナ海で勝手に海上プラットフォームを作る。これで中国脅威論がでないほうがおかしいというべきですね。菅官房長官も中国外務省のコメントについて「全く当たらない」と斬って捨てています。

まぁ、中国がここまで喰ってかかるのは、現在、安倍政権が進めている安保法案が中国を牽制するものだからだと言われています。これは中国自身がそういっていますね。

7月16日、中国紙・新民晩報は、日本の安保法案には、それは「日本が戦後体制を脱却するため」、「中国の平和的台頭に対する戦略的威嚇」、「米国のアジア太平洋リバランス戦略に協力するもの」の3つの政治的思惑があると述べていますけれども、向こうからは当然そう見えるでしょうね。

けれども、中国が拡張主義、帝国主義を止めて、"本当に"平和的台頭をする分には、安保法案がどうこうなんてない筈ですから、それだけ気にするということは逆に、安保法案が「邪魔だ」ということですね。

それにしても、安保法案を巡る、マスコミのネガティブキャンペーンは尋常ではありません。特にというか、やはりというか朝日新聞のそれは取り分け酷いですね。

7月11日、朝日新聞は「憲法学者122人回答 『違憲』104人『合憲』2人」という憲法学者へのアンケートを行い、回答者の大半が安保法案について違憲か違憲の可能性があると報じていますけれども、同じアンケートで「自衛隊の存在は憲法違反か」という問いに、回答者の6割超の77人が違憲もしくは違憲の可能性があると回答したのを記事には載せていなかったのですね

自衛隊からして憲法違反だと考える人に安保法案が合憲かどうかを聞いたところで、違憲と答える可能性は高いだろうと思われます。自衛権の行使機関である自衛隊を違憲だとするということは、そもそも"自衛"を認めないということです。これでは集団的自衛権もへったくれもありません。

それを考えると、そんな人たちを対象にしたアンケートに果たして意味があるのか、ということになるのですけれども、或は、朝日もそう受け取られることを嫌って、わざとこの回答を載せなかったのかもしれません。けれども、仮にそうだとすると、朝日は自分で「このアンケートは偏っています」と白状したも同然ですね。

朝日の"偏り"はこれだけではありません。

過去には「集団的自衛権、行使容認反対63%に増」という調査結果を記事にしてことがあるのですけれども、4000人余りの対象者のうち半分は中国と韓国とで行った調査なのですね。日本の集団的自衛権なのに、なぜ他国で調査をする必要があるのでしょう。

百歩譲ってアジア諸国の反応を知る必要があるというのなら、反日で名高い中韓だけでなく、ASEAN諸国など、中韓以外の国でも行って、その結果を国別に報じるべきでしょう。

日本と中韓で半々の調査を行って、結果を全部纏めてしまうようなことをしては、調査の意味合いは相当ボケたものになってしまいます。これでは、何某かの特定の意図の下に行ったといわれても仕方ありませんね。

その意味では、安保法案に関しては、既に世論誘導が行われている、或はそうしたい動きがあるとみるべきだと思いますね。

まぁ、白書では中国によるサイバー攻撃について取り上げていますけれども、何のことはない、とっくにマスコミを使った"電波攻撃"が行われているということです。

日本人も砲弾こそ飛ばないですけれども、既に情報戦という戦時下にあることをもっと自覚したよいと思いますね。

この記事へのコメント

  • ミモロン

    当方も詳しくは知らないのですが、「中国は、米国向けを含め、各国にサイバー攻撃を仕掛けているのでは?」という噂があるとか…
    ※バックドア付きのパソコンを製造して輸出している等

    サイバー戦(第五の戦場)に関して、現在はまだ正式では無いそうですが、国際交戦規則となる「タリン・マニュアル」の存在が注目されているようです(2013年3月、NATOの専門委員会が編集)。

    この「タリン・マニュアル」の中に、自衛権行使という面から注目すべき規定があるそうです:

    "人の殺傷・傷害、財物の破壊等を伴うサイバー攻撃は、武力行使として国際法上禁止されており、この場合、被害国は、均衡性ある対抗措置を取ることができる"…と解釈できるもので、

    つまり、【殺傷・傷害・破壊等を目的とした深刻なサイバー攻撃を受けた場合、被害国は、「自衛権の行使(国連憲章第51条)」を認められる】=【被害国は、自衛権の行使という側面から、実際の武力を使用した報復ができる】という事です。

    中国が「自衛権」や「安保法制」に強硬に喰ってかかる理由は、こんな所にもあるのかも知れない…と思われました。マスコミまで総動員して情報操作するあたり、日本が米国と組むのは、中国にとっては、よっぽどマズイ事態だ、という事でしょうか…
    2015年07月26日 08:02

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