自分の首を絞め続ける上海株式市場

 
昨日の続きを極々々簡単に…

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7月31日の上海株指数は3663.73で取引を終えました。前日比で-1.13%のマイナスですけれども、大引け15分前くらいにまた大量に売られていますね。

まぁ、当局による露骨なまでの介入がされている市場で、チャートをみても仕方がないのかもしれませんけれども、日足だと7月14日にデッドクロスしましたけれども、31日は、下値でほぼ十字が出ています。週足では未だデッドクロスにはなっていませんから、短期的に反発の可能性はあるかもしれません。ただ個人的には、反発するにしても、5日線が25日線を超えるまでは、どうかなという気はします。

7月29日、華商報が、27、28日の2日間で時価総額にして約5兆元(約100兆円)が消え、個人投資家1人当たり5万4000元(約108万円)の損失となった、と報じているそうですけれども、これは単純に消えた時価総額を個人投資家の数およそ9000万人で割っただけのように思われます。個人によって投資額も状況も異なるのに、平均の損失がどうこう計算したところで、あまり意味ある数字とは思えませんね。

それよりも問題なのは当局の更なる介入です。

中国当局はなんと、27日の暴落について、投げ売りした投資家について取り調べると表明しました。先日は「悪意のある」空売りを捜査するといっていたのが、今度は普通の「投げ売り」すら駄目だと言い出したわけです。

これは、もう無茶苦茶を通り越して、「市場ではない」と宣言したも同然ですね。

更に当局は、コンピュータによる自動売買についても、頻繁な注文で株価に影響を与えたとして、24の証券口座の取引を制限しました。当局は「頻繁に注文を出すため、株価の変動を大きくする。最近の市場への影響は明らかだ」として、金融機関や個人に対する調査を開始したと発表しています。

自動売買すら制限するとは、どんどん「自由」からかけ離れていきますね。

流石にこうした中国の姿勢について、欧米の主要紙は批判を始めました。

7月9日、ワシントン・ポスト紙は社説で、「政治的権威主義と市場の自由は併存できるのか。上海株の急落は、これまで長く中国の資本主義的な実験で結論が出なかった問題を提起した」と述べ、上海市場の株価が、中国経済のファンダメンタルズからかけ離れているとした上で、その理由を「政府に統制されたメディアが奨励したことで、大量の投資家が金を借りて、株式売買に走った」と論じています。そして、市場機能が正常に働く条件として、「公正で透明性のある規制と、報道や調査をするメディアの自由」と述べていますから、思いっきり中共のやり方を批判しています。

同じく、9日、イギリスのフィナンシャル・タイムズは、中国経済の専門家、ジェームズ・キング氏のコラムで、株価の急落は政府の市場コントロールが利かなくなったことを意味するとして、更に、最近出された世界銀行の中国経済のリポートで、当初、中国政府が本来取り組むべき健全な金融市場の整備をせずに、市場に過剰に、かつ直接的に干渉していると、中国政府を批判する内容があったものの、後でその部分が削除されたという"裏事情"を暴露したそうです。

また、15日のウォールストリート・ジャーナルは、上海株の急落でみせた中国政府の対応からは「指導部に改革への意欲がうかがえない」と、中国経済の先行きに対し、警告を発しています。

このように、ようやくというか、欧米諸国も中国という国の性質に気づきだしました。まぁ、空売りも投げ売りも許さない、自動売買も駄目だ、となると機関投資家が入る余地は殆どないですね。

しかも、これでも株価下落が止まらなかったらどうする積りなのでしょうか。売買停止、空売り禁止、投げ売り禁止をしている現状で残されたカードは殆どありません。通常の売りも禁止するか、市場の完全閉鎖にに踏み切るのか。

買いボタンだけあって売りボタンのない"市場"で株を買う人はそういないでしょう。最早、中国当局は自ら首を絞める方向に向かっているという他ないですね。

この記事へのコメント

  • 白なまず

    日本でも「株の銘柄ごとに空売りを規制する」事は普通にあるので空売り禁止はそれ程かけ離れたルールと言う事はないのですが、、、規制するにしても段階的に、信用取引のレバレッジを大きく出来ないようにするとか、売れるのは現物だけとか、買えるのは信用取引で1倍までとか、信用取引で売れるのは信用取引で買った分のみとか(売りから開始出来ない)にすれば、暴落する株の銘柄を狙って取引して現実以上に売られてしまうリスクを小さくできるようにするとか、段階的に規制して市場の様子を見て市場を落ち着かせるようにしないと駄目だと思いますが、それがいきなり売り禁止になってしまうところが支那なんでしょうね。株は支那の持ち物でもないのに、その価値が下がっては駄目と思っている所がどうしようもない。株の所有者も株が下がるのは嫌だから早く売ってしまいたくなるのは心理ですが、下がり過ぎたら又戻すのも市場の心理でこれが決して起こらないと思っている支那政府は、この支那株市場がつまり支那の上場会社の業務上の会計が信用できないと告白しているようなものです。本当に会計が信用出来ないなら、それでは売り禁止もしようがないけれど、そうであれば残念な事に対処方法が無い。
    2015年08月01日 10:10
  • 泣き虫ウンモ

    price keeping operation(株価維持政策)と言われて、日本も90年代は施行したことがありますね。

    ただ、日本と違うのは金額の桁も違うが自由性が低いものですかね。

    自由性が低いというのは、外国からの投資にも規制をかけているところですかね。

    後々反動が来たと言うことですから、中国の反動は日本の比ではないでしょうね。
    2015年08月01日 20:49
  • ス内パー

    支那の、というより集金payの性格と金融知識がもろに出たのが今回の空売り禁止でしょうね。
    あれ、将棋で言えば初手7六歩、3手3三角成王手角取りが成立して馬が取られないと妄信している節がありますので一事が万事。
    対日本に限定すれば憲法9条と民主党、対欧米には遠い国というファクターがあって過去には妄信が成立したタイミングがあったことが問題なのでしょうが接待プレイしない相手にあれはないという悪手を毎回打っているのを見ると頭を抱えたくなりますね。
    小皇帝世代にも通じるのでしょうが先も譲歩も見ないで突っ走る躾に失敗したガキの動きですはっきり言って。

    「売りボタンがない」中国市場ですが売買は成立しています。
    本来なら売りボタンがない以上売買不成立、買い気配で終了となるのですが
    共産党アカウントでなら売れるのでそれで売買が成立しているという見方が一般的なそうな。
    2015年08月01日 22:17

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