天津大爆発の裏で蠢く権力闘争

  
今日は唯の感想エントリーです。

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1.拡散する化学物質

8月19日、菅官房長官は記者会見で、中国・天津の大爆発について「被害に遭われた方には心からのお見舞いと、亡くなられた方には哀悼の意を申し上げたい。現段階では、日本人が人的被害を受けたという情報はないが、一部の日系企業で工場や店舗に被害が生じている。…政府としては、外交ルートを通じて、現地の日本人の保護や日本企業がしっかり対応できるよう、 情報提供も含めた配慮を要請している」と、中国政府に対し、現地の日本人の保護や日系企業への情報提供などに配慮するよう要請したことを明らかにしました。

そして更に、爆発によって発生した大気汚染物質について、PM2.5など大量の大気汚染物質が発生したと考えられるとした上で、大気中の拡散や事故後の気象条件などを踏まえると、健康被害が出るほどの汚染は考えにくいという報告を専門家から受けたことを明らかにして「我が国で健康影響が懸念される汚染が生じることは考えにくい」との見解を示しています。

報道では、12日の爆発で、汚染物質を含む煙が大気中に広がり、朝鮮半島付近まで達していることが衛星画像から確認されたと報じられています。ただ、こちらに九州大学応用力学研究所が開発した、大気中の浮遊粒子状物質の拡散状況の予測シュミレータソフト「SPRINTARS」による向こう1週間のエアロゾル拡散予測動画を見る限りでは、強度の汚染大気の殆どは大陸上空に滞留しており、どばっと日本にやってくる感じではなさそうですね。

天津大爆発で大気汚染が取り沙汰されているのは、御存知のとおり、爆発地点に大量にあった化学物質が大気中に飛散したと見られるからですね。けれども、ここにきて、それら40種類以上の危険化学物質がトータルで3000トン(硝酸アンモニウム約800トン、硝酸カリウム約500トン、シアン化ナトリウム類約2000トン)もあったと報じられています。

これら化学物質は、水と混ざったり、互いに化学反応したりして、有毒ガス(青酸ガス)を生成する場合があるのですけれども、16日以降に、北京市公安消防総隊の隊員が、防護服と酸素ボンベを装着して爆心地に入り、空気中の有毒物質の濃度を測定したところ、シアン化ナトリウムと神経ガスという二つの有毒物質の値が最高値に達したことが分かったと中国中央テレビが伝えています。

これに対して、天津市の環境保護局は、環境保護部門の調査では検出されていないとして、これを否定。更に有毒ガスが検出されたと報じた中国中央テレビのニュース番組はネットから削除され視聴できなくなっているそうです。

まぁ、中国中央テレビが毒ガスがでているといい、天津市はそんなものはない、と否定しているところをみると、もしかしたら、中央政府と地方政府との間で確執とは言わないまでも何らかの対立があるのかもしれません。或は、天津市は外資を多数誘致している関係上、今回の爆発で、外資に撤退されては困るといった事情から、必死に隠していることも考えられます。

けれども、そうはいっても、立ち入り禁止となっている爆心地周辺ならいざ知らず、住民が行き来している天津市街地で起こっていることは隠しようがありません。

昨日辺りから、爆発後の雨上がりの天津市内に"謎の白い泡"が大量に発生しているなどとツイートされています。現地からは、肌が焼き付いて痒くなるとか、空気が化学的な臭いになっているという報告があるようです。

これについて、天津市環境監測センター主任が、「地面に発生した泡は雨のあとの正常な現象で問題ない」とツイートしたそうですけれども、流石にちょっと強引過ぎます。もしも正常な現象であれば、今回以外にも同じ現象が起こっていてもおかしくありませんけれども、そうであれば、こんなに話題になる筈がありませんからね。まぁ、雨水と爆発で飛び散った化学物質とが何らかの化学反応を起こしていると考えるのが普通ですね。

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2.囁かれる権力闘争説

今回の爆発について、8月18日、共産党の規律部門が、重大な規律違反容疑で党中央委員でもある国家安全生産監督管理総局の楊棟梁局長への調査を発表。更に爆発が起きた倉庫を所有する企業「瑞海国際物流公司」の于学偉会長ら10人を拘束したと伝えています。

楊棟梁局長は天津市副市長を10年以上務めた地元の名士で、政府閣僚級の人物なのだそうですけれども、危険物専用倉庫の建設許可などをめぐり、収賄疑惑などがあったとの情報が流れているようです。

けれども、中国人記者の間では、この企業の本当の後ろ盾は地元出身の李瑞環・元政治局常務委員で、その親族も経営に関与していると囁かれていて、もっと根が深い問題なのかもしれません。

ここ数日来、天津大爆発について、共産党政府内部の権力闘争説もちらほらマスコミでも報じられてきたように思いますけれども、こちらの大紀元ではなんと黒幕は江沢民派ではないかとの記事を出しています。

記事によると、今回の爆発は、党指導部の主要幹部の暗殺計画が事前に漏れたため、その証拠隠滅のために、爆薬を仕掛けてわざと爆発させたというもので、その黒幕は、習近平陣営との権力闘争で敗北しかけている江沢民派なのだとしています。

記事では、爆発の報告を受けた習主席が江沢民父子の身柄を拘束し、江沢民グループの中心人物である曾慶紅・元国家副主席をも自宅に軟禁したと伝えていますけれども、本当であればとんでもないことですね。

ただ、ここからは全くの憶測ですけれども、仮に爆発が江沢民グループによるものであったとしても、彼らはここまでの惨事になるとは思っていなかったような気もするのですね。

大紀元の記事では、暗殺計画は、北戴河会議を終えて帰京する党幹部らが乗る鉄道を爆破する計画だと伝えていますけれども、そのための証拠隠滅を図るだけなら、爆薬の原料となる硝酸カリウム、硝酸ナトリウム辺りを始末すれば事足りるでしょうからね。

今回の爆発の原因の一つに、金属ナトリウムへの放水が指摘されていますけれども、放水したということは、それ以前に発火しているわけで、それがもし、この証拠隠滅のための爆発だったとすると、それに対する放水で、金属ナトリウムにも放水して、更なる爆発を誘発した可能性も考えられますね。

確か爆発は2回あったように記憶していますけれども、これなら辻褄もあうような気がします。

ただ、真相はどうであれ、今回の天津大爆発で、中国が経済的に大ダメージを負ったことは間違いないですね。復旧もそうそう簡単にいかないと思います。

一応、一部報道によると、機能麻痺していた天津港でタンカーによる陸揚げが先週末にかけて始まっていると伝えられています。

これについて、港湾当局からはまだコメントが出ていないのですけれども、天津の海事局は「現時点で、危険物やバンカー油を積んだ船舶以外は天津港北セクションの出入りを通常通り行っている。他の停泊中の船舶は計画通り操業中だ」と発表しています。

ただ現地では、爆発による爆風で税関の建物が大破して、多くの資料が紛失しており、本格的な業務は到底無理なのが現実で、どうやら完全復旧には少なくとも数ヶ月はかかるのではないかと見られているようです。まぁ、税関が吹き飛んでいる状態では、輸出入はできませんから経済的に大きなダメージを受けることは間違いないですね。

政治的強権を発揮している習政権ですけれども、上海の株価といい、天津大爆発といい、どうやら経済問題が最大のアキレス腱になってきたように思いますね。

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