更に昨日の続きです。
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一昨日、昨日と半島情勢を主に北朝鮮側から見てきましたけれども、今日は韓国側からの視点で考えてみたいと思います。
8月22日夕方から板門店で行われた南北高官の会談は断続的に約10時間続いたものの、結論は出ず翌23日未明午前4時15分過ぎに一旦中断し、23日午後から再開されました。韓国大統領府報道官によると、今回の接触で南北は最近起きた事態の解決と、今後の南北関係発展の方法について幅広く協議したようで、拡声器による宣伝放送以外の問題についても議論されたと見られています。
その一方で、北朝鮮は後方にあった火力を前方に移動配置し、砲兵戦力は2倍以上増加、また、潜水艦が東海と黄海の基地を離脱したと伝えられています。韓国軍関係者によると、北の潜水艦が普段の10倍にあたる数十隻が東海と黄海の基地を離脱したようなのですけれども、韓国軍の追尾の目を逃れたため、監視戦力を強化したとしています。
けれども、韓国にしてみれば、一部とはいえ、北朝鮮の戦力が追尾できていない状態にあることは、いつ奇襲を受けてもおかしくないわけで、あまり良い状況とはいえませんね。
ただし、問題は、この状況を韓国が望んでいる、或は元から想定しているかどうかだと思うんですね。今の状況が想定の範囲内なのであれば、そのための対策が出来ている筈ですからね。
筆者は2013年6月に南北が局地戦を行う可能性について触れた「韓国が北朝鮮を攻撃する日」というエントリーで、韓国から北朝鮮に仕掛けるというケースについて述べたことがあります。次に引用します。
軍事的にみても、アメリカがバックにいる限り韓国は負けることはない。アメリカ軍が本格的に参戦する迄の、少しの間だけ持ち堪えることができれば、38度線以北に押し返せる。あわよくば、アメリカ軍の力を借りて、金正恩を捕まえて、半島統一だってできるかもしれない。このエントリーで筆者は、日経新聞編集委員の鈴置高史氏の書籍「朝鮮半島201Z年」を参考に半島有事の可能性について取り上げ、当時2013年の状況が鈴置氏のシミュレーションの201X年と酷似しているの述べたのですけれども、韓国が経済危機に陥っている2015年は益々それに近づいているように見えるんですね。
まぁ半島統一は過剰な期待だとしても、非常に不謹慎な言い方をすれば、韓国にとって、今、直面している苦境を打開できる要素は、"有事"の中に多くある、と見ることも出来る。
勿論、だからといって、韓国が「有事」を望んでいるとは言わない。だけど、もしも、朴政権の中に物凄い"謀略家"かなんかがいて、誰がやったか分からないように、北朝鮮に攻撃を仕掛けたらどうするのか。例えば、海上や38度線を挟んで散発的に局地戦が起こるような事態となったら、日本はどう対応するのか。
全面戦争でない散発的な局地戦で、しかも誰がやったか分からないような状況となると、戦争したがらないオバマ大統領が、果たしてどこまで介入してくるのか分からない。下手をすれば、戦線が拡大しないように、部隊だけ展開しておいて、後は様子を見ているのではないかとさえ。
そうなってしまうと、北朝鮮と韓国の戦争は、だらだらと長期間に渡る可能性が出てくるし、ウォンも慢性的に安くなる。また、国内の混乱を回避するためとか何とかいって、韓国は日本に通貨スワップの拡大のみならず、大規模な経済支援をも要求してくるかもしれない。日比野庵「韓国が北朝鮮を攻撃する日」2013.6.13より引用
そして、韓国にとってみれば、全面戦争ではない、局地戦が散発的に発生する"半有事"の状態こそが、意外と今の苦境から脱出できる機会にもなるかもしれないと述べました。
たとえ、全面戦争でなくとも、半島が"半有事"の状態で慢性的に固定化することができれば、半島から手を退きたいアメリカ軍を半島に縛り付けておくことができますし、同盟国であるアメリカ、或はアメリカ経由で日本に経済的援助を要求することもできる。要するに、脅しとタカリでなんとかしようというわけですね。けれども、いくら苦境とはいえ、正直こんな瀬戸際なやり方は、一国の政策としては下の下だと言わざるをえません。
勿論、これは、韓国が有事を想定して、それを逆手に取る形で取り得る手段として何かあるかを筆者が考えてみただけのことで、本当にそうだと言っているわけではありませんし、そうとも思いたくありません。ただ、可能性としては有り得るというだけのことです。
ただまぁ、これくらい"斜め上"でないと、韓国が、わざわざ北朝鮮を挑発して、半島に有事を招くメリットが思いつかない、というのが正直なところです。
では、本当のところはどうなのかということですけれども、なんとも言えないですね。仮に、韓国の意図的な挑発による"瀬戸際政策"だとすると、北朝鮮の潜水艦を見失ったりするのは杜撰に過ぎます。もちろん、その情報自体が北朝鮮を騙すためのブラフである可能性もあるのですけれども、この"瀬戸際政策"のキモは、例えば38度線での局地戦といった具合に、人的被害の出ない限定的戦闘をだらだらと慢性的に続けるということですから、全面戦争にでもなって、国民に被害が出るのは都合が悪いことになります。
全面戦争となれば、どちらかが降伏して半島統一になるか、または、米中の軍事介入によって新たな"38度線"を設けて休戦に入るかどちらかです。けれども、その後を考えると、どちらのケースでも今以上の経済的負担がのしかかることは明らかですね。ですから、韓国にとっては、外国にタカリでもできない限り割が合わない結果になる公算は高いと思いますね。
やはり、これは妄想の類として置いておいたほうがよさそうです。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
写真は元気そうなので替玉の可能性はある.
泣き虫ウンモ
ここが、分岐点になるかなぁと。
ワザか偶然かは、後者でしょうかね。
ヤクザと対話しているようなもので、対話自体が無理ですからね。
一応、民主主義VS独裁国家の図式があるので、国民が黙らないと思いますが。