今日はこの話題です…

8月6日、「原爆の日」を迎えた広島の平和記念公園で平和祈念式典が開かれ、午前8時15分に参加者から黙禱が捧げられました。犠牲となられた方の御冥福をお祈りいたします。
今年は70年目の節目の年ということもあってか、式典には主要国と並んで、EUの代表者が出席。アフガニスタンやスリランカ、フィリピン、モナコなど初参加などの7ヶ国が、初めて参加するなど、過去最多の100カ国となり、また、大使参列国も65ヶ国でこちらも過去最多となりました。
アメリカからは2年連続でケネディ駐日大使、そしてローズ・ゴットメラー国務省軍備統制担当次官が政府高官として初めて参列しています。
その一方、中国と韓国は欠席したようです。
まぁ、中国は2008年に初めて出席して以降は欠席が続いているので、これは例年通りだとしても、今回、韓国が出席しなかったことについては、どうなのかという声が一部で上がっているようです。
ただ、式典前日の8月5日に、民団広島県地方本部が主催する慰霊祭が平和記念公園の韓国人原爆犠牲者慰霊碑で行われたのですけれども、こちらには徐張恩・駐広島韓国総領事が参加しているんですね。
民団主催の式典には出席して、日本が主催する式典には参加しない。となると、やはり外交メッセージが入っていると考えた方がいいかもしれません。
まぁ、今の日韓関係からみると、欠席してもある意味普通のことに見えるのですけれども、ここ最近の韓国は日本にすり寄る姿勢を見せていました。ですから、その動きとは矛盾した行動に見えなくもありません。では、一体どういう思惑があるのか。
これは、筆者の勝手な推測にしか過ぎませんけれども、韓国の欠席は、おそらく中国に向けてのメッセージではないかと思われます。
9月3日に、中国は「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」の式典を行いますけれども、中国は式典への参加を50ヶ国余りの首脳に呼びかけています。
けれども、7月半ば段階では、大半の国が態度を保留し、返事を行いませんでした。まぁ、題名をみれば明らかですけれども、要するに、中国は、日本をファシズム国家扱いした式典を行うということです。
これについてアメリカは、「和解と癒やしを推進する前向きの行事にしてほしい」とはっきりと述べています。世界にはバレバレだというわけですね。
ですから、この抗日式典に参加することは、必然的に日本をそういう国である、と認めることになります。その意味では、招待を受けた国々は、日本と中国のどちらを取るのか、という"踏み絵"を迫られていると見ることもできます。
けれども、仮に、抗日式典に参加して、日本を"ファシズム国家"認定すると、今度は日本のみならず、アメリカをも敵に回す可能性も考慮しなければならなくなります。なぜなら5月の安倍総理の訪米および連邦議会での演説で"歴史的和解"を演出し、日米同盟の強化がなされたからです。今回、アメリカは、中国の抗日式典に対して「和解と癒やしの行事」にしろ、と注文をつけました。この意味は決して軽くありません。
ですから、各国も中国の抗日式典に参加するとは、そうそう迂闊に返事はできないと思いますね。
当然、韓国も中国から招待を受けているわけですけれども、コウモリ外交をしている韓国にとっては、日本は兎も角として、中国とアメリカの両方に"いい顔"をしたい筈です。そのために、今回の広島の平和式典を欠席して、中国へ擦り寄る姿勢をアピールしたのではないか。そう思いますね。
そして、韓国が9月の中国の抗日式典も"欠席"すれば、晴れて、アメリカにも"いい顔"することができるわけです。要は、両方欠席することで、中国とアメリカに両張りする戦法です。
では、その逆に、両方とも「出席」した場合はどうなるかということですけれども、こちらでも、やり方によっては、コウモリというかバランス外交できる可能性があります。たとえばロシアがそうですね。
ロシアは既に、中国の抗日式典への参加に前向きな返事をしたとも言われていますけれども、今回の広島の平和式典にも出席しています。つまり、両方出席することになるのですね。
ただ、ロシアは例のクリミアの件で、既にアメリカとの関係がよろしくないですから、今更、アメリカに気を使う必要はないだろうと思われます。ただ、その一方で、日本との関係も切らさないように気を配っている節があります。
式典前日の8月5日、プーチン大統領の側近のナルイシキン下院議長は、モスクワでロシア外務省の幹部や日本専門家を集めて原爆の投下を検証する会議を開き、「原爆の投下は人道的にも軍事的な必要性からも支持されるものではない。これまで国際法廷で審議されたことはないが、人道に対する罪に時効はない」とアメリカを厳しく非難しました。
このナルイシキン下院議長は、日本との交流の窓口にもなっている人物です。その人物が、こうした発言をする。これは明らかに日本に対するメッセージだと思いますね。
けれども、西側諸国との関係が悪化しているロシアは、経済的な面を考えると中国との関係を完全に切ることは難しい。それ故、中国の抗日式典に出席することはロシアの国益からみて当然の選択なのかもしれません。
ただ、ロシアはその中でも、日本にも気を使っている姿勢をみせることで、日本を敵に回すことは避けようとする動きを見せています。したたかですね。
果たして、中国の抗日式典に何ヶ国が参加するのか。今後の世界情勢を占う意味で、重要なポイントになると思いますね。
この記事へのコメント
白なまず
路人甲
まあ、あの国にはロシアのように巧くやる才覚も無いかと思いますが。
白なまず
【高橋史朗】ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムの源流を暴く![桜H27/8/4]
https://www.youtube.com/watch?v=5UCx742_KrM
泣き虫ウンモ
さすがに、25ドルはきついでしょうけどね。
コウモリ外交ですが、コウモリというのは血を吸う生き物ですよね。
まさしく、血を吸うために躍気になっていると感じますかね。
本当は、両方に良い顔をする程度のたとえ話ですが。