TVerという出前

 
今日は唯の感想エントリーです。

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来月10月から始まる「TVer(ティーバー)」というサービスが一部で注目を集めているそうです。

これは、日本テレビ放送網、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョンの民放5社および系列放送局のドラマやバラエティ番組を放送後広告付きで、ネットで無料配信するというサービスで、配信するのは、放送が終わった番組を1週間程度、後追いで流すというもの。各社毎週10番組程度の配信を考えているそうで、要するに、見逃した人向けのネットでの再放送ですね。

なぜ、こんなサービスを始めようとしたのかというと、どうやら、若年層のテレビ離れ対策ということのようです。

テレビ朝日の経営戦略局・渉外担当局長の長谷川洋氏は「昨今は視聴者のテレビの見方が変わりつつあり、特に若年層のテレビ離れが深刻だと言われています。ところが実際にはコンテンツであるテレビ番組を見なくなったというわけではなく、テレビという受像機を使ってリアルタイムで番組を見る方が減っているというのが現状ではないでしょうか?…もうひとつはインターネット上でテレビ番組のコンテンツが違法に流通していることも問題になっております。どちらの問題も、各放送局が個別に対応するよりも業界をあげて取り組むべきという方向にまとまり、今回TVerが立ち上がったというわけです」と述べていますけれども、要するに、リアルタイム放送ではもう視聴率が稼げないというわけですね。

まぁ、こんなサービスをするようになっただけ、テレビ業界も進化を止めていないという見方もあるかもしれませんけれども、全く別の業界の目からみるとまだまだ全然だと見えているかもしれません。

例えば、「テレビを視聴する」という行為を外食に置き換えてみると、良く分かると思うんですね。

「テレビを見る」を「外食する」に置き換えてみると、今のリアルタイム放送はさながら、何処かの定食屋のサービスランチか何かになると思うんですね。

テレビをみようとすると、時間割というメニューを広げて、これを見たいと決める。そして、指定された時間にわざわざテレビのチャンネルという"定食屋"に足を運んで、予め決めたランチを食べる。決まった時間に、決まったチャンネルに合わせないと、みたい番組が見られないようになっているわけです。実に不便ですね。

それに対して、食べたいときに食べらるようにしたいとばかり、定食を"冷凍"しておいて、レンジでチンして食べるという方法が生まれました。録画の登場です。

録画の登場によって、決まった時間にチャンネルを合わせないと見れなくなることは回避できるようになりましたけれども、回避できたのはそれだけでした。見たい番組は、予め録画予約しないといけないですし、録画媒体も無尽蔵に持てるわけではないからです。要するに、あくまでも本人が見る番組を調べるなり、選ぶなりして、更に保管先まで面倒をみないといけないわけです。

こうした録画の欠点を尻目に登場してきたのがネット動画です。ネットは不特定多数のユーザーによって動画がダウンロード、あるいはアップロードされます。つまり、本人が見たい番組のみならず、知らなかった番組や見る積りもなかった番組も一緒くたにアップされているわけです。

それを本人が何かの拍子に検索して見つけたり、知り合いに勧められたり、掲示板で人気になっているようだからちょっと見てみようかという感じで見る事だってあるわけです。本人が意図してない情報なり、番組なりに触れる機会を与えているわけですね。更には、ネット動画には、本人が保管先の心配をしなくてもいいという強みもあります。

最近の回転寿司チェーン店では、寿司だけではなくて、ラーメンやらアイスやら、なんでも流しているところもあるようですけれども、ネット動画はまぁあんな感じだと思いますね。

回転寿司でも、たまに、一体何周回っているのか分からないくらい古いネタが回っていたりすることがありますけれども、ネットにアップされる動画も、新しいのもあれば、古いのもありごちゃまぜですから、そこもよく似ているかもしれません。

では、今回の「TVer(ティーバー)」は、食べ物でいうと何が近いのか、というと、メニュー(番組表)をみて、注文(ネット配信)して、食べます(視聴)から、本人の食べたいものを選んで、好きなときに食べることができるという違いはあると思います。いってみれば、まぁ、出前に近いシステムなのかな、という気がしますね。

その意味では、外食産業からみれば、もうとっくの昔からやっている珍しくもないサービスに映っているかもしれません。

このように、テレビ番組という目線でみると、何やら画期的なサービスを始めたかのように見えるかもしれませんけれども、外食という目線でみると、何のことはない、ただの"出前"かもしれないということですね。しかもメニューは1週間で総入れ替えという慌ただしさもあります。

まぁ、「TVer(ティーバー)」を立ち上げようとしている民放各社は、このサービスを切っ掛けにリアルタイム視聴者を呼び戻して、若者のテレビ離れを食い止めたいと期待しているようなのですけれども、出前をしているからといって、その店に客が戻ってくるとは限りませんよね。繁盛する店は、そこでしか食べられない名物があるとか、何か特別なウリがある筈ですね。

要するに、それだけのコンテンツ、中身がないと駄目だということです。

果たして「TVer(ティーバー)」が、どんなコンテンツを出してくるかわかりませんけれども、位置づけ的に、ただの"出前"にしかならないのであれば、爆発的に人気を集めるというのは難しいのではないかと思いますね。

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