進撃の中国
昨日の続きを極々簡単に…
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抗日記念式典で"中国の夢"という名の野望を顕わにした習近平主席ですけれども、流石に世界も徐々にそれに気づいてきたらしく、フィナンシャルタイムズは「中国にとって危険な軍国主義の誘惑」と痛烈に批判しています。
記事では、南シナ海での埋め立てをとりあげ、はっきりと「軍国主義」と批判し、式典での軍事パレードを「アジア太平洋地域の国々の多くは、必然的に、これを未来に関する不穏なメッセージととらえることになるだろう。…多くのアジア諸国が心配しているのは中国による侵略の可能性だ」と警告しています。
そして、その原因は、経済成長の鈍化に端を発するナショナリズムに依存しようとする強い衝動だ、としているのですね。つまり、経済の低迷が「中国の夢」を惹起するというわけです。
これまでのエントリーで筆者は、習近平政権は、経済からの報復を政治で抑え込もうと試みていると何度か述べたことがありますけれども、上海株への介入や人民元切り下げなど、形振り構わずです。
ただ、いくら政府が市場介入でどうこうしようとしても、どこかで限界がでてきます。なぜなら、市場介入は政府が調達・投入できる「資金量」が上限となるからです。やはり、その資金を稼ぐ元の部分をちゃんとしないといけないのですね。
これまで中国は、外資を呼び込んで「世界の工場」となることで、その部分を形成してきました。けれども、今や広く知られているように、その「世界の工場」の役目は、ASEAN諸国等、他国に脅かされるようになってきています。
こちらの記事では「『世界の工場』終焉か」と銘打って、日本や米国企業の撤退・縮小が進むのは、規制や知的財産権が「壁」になっていると指摘しています。
要するに、中国は、経済において先進国並みの環境へと脱皮を求められているということです。
9月1日、麻生財務相は、今度のG20財務相・中央銀行総裁会議で中国を議題にすると明言し、「私から中国経済について発言したい。…中国の具合が悪くなれば、ドイツに影響が出る。欧州経済に大きな影響が出る確率は極めて高くなる。…表面的な市場の動きにとらわれることなく、中国の構造的な課題を見極めるのが重要だ」と述べました。
また、同じくアメリカ財務省の高官も「政策意図を丁寧に市場に伝えることが中国にとって極めて重要だ。…市場の混乱は中国経済の先行き不透明感を反映している」と述べ、インフラ投資で成長を牽引しても長続きしない、中国は個人消費など内需主導型の経済へと移行を急ぐべきだと注文をつけています。
これらを見る限り、G20は中国に「経済構造の転換」を促していくことになると思われますけれども、これは要するに、先進国型の経済構造にせよ、ということですね。
では、今の中国にこれが飲めるかというと、やはり、中々厳しいものがあると思います。インフラ開発だけに頼るなら兎も角、高付加価値産業への転換を望むのなら、最低限、知的財産権を守って、パクりを止めさせることは勿論、政府の規制も止めるようにしないと、今以上の外資の参入は難しいでしょうね。
やはり、これは、自由を規制したところに自由経済を持ち込むこと自体に限界があると捉えるべきだと思うんですね。知的財産が富を齎す高付加価値産業であれば猶更です。
国民や市場の自由を規制して、"中国共産党政府の自由"を謳歌する時代は終焉を迎えつつあります。その意味では、フィナンシャルタイムズが指摘するように、経済的後退を覆い隠そうと、"軍国主義"の誘惑に駆られる可能性は否定できません。
現実は残酷なのです。
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