今日は極々簡単な感想エントリーです。

9月25日、米中首脳会談が行われました。けれども、大した成果もなく終わりました。
目立った合意といえば「サイバー攻撃をしないし支持もしない。サイバー犯罪に対処する高位の対話メカニズム構築する」くらいで、南シナ海の埋め立てや人権問題は平行線でした。
しかも、その合意したサイバー攻撃禁止合意にしても、アメリカの事前の水面下交渉でやっと引き出したものです。
中国のサイバー攻撃について、筆者は「サイバー真珠湾61398」や「中国サイバー攻撃部隊将校起訴」、「千粒のバックドア」で取り上げたことがありますけれども、それはもう、えげつない程、やれるものならなんでもやっています。そういえば、最近でも、中国メーカー、LenovoのThinkPadにユーザーデータを収集するソフトウェアを埋め込んでいることが発覚して騒ぎになりましたね。
アメリカは2010年に米軍内に新設されたサイバー部隊などが中心となって、アメリカ企業から知的財産などの情報を盗んだ中国の国有企業など約25社を特定し、アメリカ国内の資産凍結や、取引制限などを盛り込んだ制裁案を策定しました。
今年8月下旬に訪中したライス大統領補佐官は、中国に対して、特定した25社と制裁内容にも言及し、制裁をちらつかせたそうです。制裁を嫌がった中国はようやく重い腰を上げ今回の合意になったようです。
こうした脅しを含んだ下交渉をした上で、本番の首脳会談の合意に結び付けるというのは、外交の現実ではよくあることだと思いますけれども、逆にいえば、その問題の解決を一番重要視しているということです。
その意味では、今回アメリが、テーブルの下で思いっきり中国の脛を蹴り上げたのは、サイバー攻撃であって、南シナ海ではないということです。だから米中首脳会談で南シナ海で平行線を辿っても、それ以上煩く言わなかった。
もしも、アメリカが南シナ海を最重要としたならば、首脳会談前に、おそらく、ISILを空爆するついでか何かで、あの辺りにある中国大使館を"なぜか誤爆"する事故が起こしたと思いますね。
アメリカは、中国側によるサイバー攻撃によってアメリカ企業に年間数十億ドルの経済損失が出ていると主張していますけれども、まぁ、そちらを重く見たわけです。
確かに、南シナ海が"北京の海"になったとしても、あの辺りの国々からの貿易がやり難くなるかもしれませんけれども、アメリカの息の根が止まるわけではありませんよね。要するに、アメリカはアメリカの国益で判断しているわけです。
一方、翻って日本はというと、南シナ海が"北京の海"になったら、途端に"存立危機自体"になる可能性が跳ね上がります。日本の生命線であるシーレーンは、南シナ海を通っているからです。
アメリカが自身の国益に沿って行動するように、日本も日本の国益をみて行動しないと、これからの国際情勢を渡っていくことは難しくなるだろうと思います。その意味では、安保法制を可決して、ASEAN、インドと協力を強化して、南シナ海を"北京の海"にさせないことは非常に大事ですし、北極航路といった別のシーレーンの開拓なども考えておく必要があります。
9月29日に、ニューヨークの国連本部で日露首脳会談が行われ、平和条約締結交渉前進へ対話を継続することで一致しましたけれども、ああした努力を途切れさせるべきではないと思いますね。
まぁ、ロシアなど信用できないという意見もあるかと思いますけれども、日露関係が良好で、対話が進んでいるということは、中国の後背地となるロシアに日本の手が伸びていることでもありますから、その事実だけでも、中国の牽制になると思います。
ですから、今の安倍政権の外交路線は、やはり崩すべきではないと思いますね。
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
国力とは法律ではなく実体経済で決まるものだ.
物価指数2パーセントを公約しながら誤魔化している日銀,
何があっても消費税を10パーセントにすると宣言している政府,
そして農協改革+TPPの荒技を粛々と進めている内閣.
レントシーキング政策ばかりを勧める何とか諮問会議.
誰も経済の建て直しを本気では考えていない.
どうも, 多くの経済ブログで議論されているように,
日本のリセッション入りはかなり確実なようだ.
そして国民は元凶が省庁の役人であるかのように思い込まされている.
しかし実際には, 官僚人事も党内人事も全てを握る
安倍政権の支配体制は今までのどの内閣よりも強い.
石破氏が旗上げしたようだが, 地方自治体改革に反論せずに
肩車に乗ったことから実力は官邸に見透かされている.
TPPが早いかリセッション入りが早いか.
経済衰退が明らかになれば首相は交代せざるを得まい.